13. 今度こそ本当に帰れる
「……はい10秒。終わり―」
「くぅッ……!! 決闘が……。私の自慢の剣が……ッ!!」
決闘バカの挑戦は、案の定の結果に終わった。
カンカン自分の剣を岩に打ち込んで、刃こぼれボロボロにまでして頑張ったのにねー。惜しかったねー。
「という事だから。諦めな」
「い……いゃっ…………」
「諦めな」
「嫌だ!」
「そうか。それなら……仕方ないな。今度は本気でお前に剣を向けなきゃいけないか」
「……ッ!?」
ビクッと反応する女騎士。
「こういう脅し的な言い方は嫌だが……分かるだろ? 岩をも斬れるこの剣なら、その剣ごと、その装備ごと……」
「……」
「って事だよ。俺だってしつこく付き纏われたり追いかけられたりってのは散々なんでね。……ああ、但しそれを承知の上でなら別に良いけど――――
「分かった! もうしない! 貴様を背後から狙ったりなんかしない!」
……なんだ此奴。俺を背後から狙おうとしてたのかよ。
恐ろし過ぎるな。
「言ったな?」
「無論! 騎士に二言は無いからな!」
……ハァ。一先ずこれで、やっと決闘バカも諦めがついたようだ。
今度こそ本当に帰れる。
「そんじゃあおばちゃん、また明日。今度こそ本当に帰るんで」
「うん。明日も質の良い獲物、待ってるよ」
「はいはい。任せとけ」
おばちゃんと蹲る決闘バカに軽く手を振り、ようやくコミュニティを後に。
ぱぱっと買い出しを済ませ、俺は独り帰途に着いた。
「……本当について来てないよな?」
ちなみに、その帰り道で何度振り返ったかはもう覚えていない。




