第一章 最終話「信じてくれなくても」
メビウスが「魔王の勇者」として戦うと決め、そしてレイン村襲撃から始まった問題を終わらしたその日。
魔王城の魔族たちは浮かれに浮かれ、体力の持つ限りにどんちゃん騒ぎを続けて、そして体力を全て使い果たしたほとんどの魔族がすっかり眠ってしまった。
きっと、レイン村でバハロンを倒した後の晩御飯で盛り上がっていたのに、途中で今度はビオグラードが襲撃されるとわかったことで、楽しみきれなかったこともあったから今回は余計に楽しみたかったのだろう。
さて、前述した通りほとんどの魔族が疲れで眠ってしまった中、自然に笑顔になる魔族たちを見て嬉しくなって、自分も大いに楽しんだメビウスが今どこで何をしているかというと、
「……この扉もだいたい一、二週間ぶりか」
相変わらずいつ見ても不思議な絵が描かれている扉を開けて、メビウスはその部屋に入った。
そこはとても広い部屋だが、置かれているものは壁に飾ってある様々な種類の絵と一番奥にある玉座、そして天井にいくつもぶら下げられたシャンデリアがあるだけでそれ以外には何もない。
ここは「流転の間」。かつて勇者だったメビウスと仲間たちが、魔王ヴァニタスとの最終決戦を何度も何度も何度でも繰り返していた場所だった。
「…………」
メビウスは無言のまま左右を交互に見つつその部屋を歩いて行った。
メビウスはここで闇の魔法に体の跡形もなく潰されて、ドレイクはここで首を剣で切り落とされ、メランコリーは四肢をもがれて、ティナは臓器が全て腹のなかから溢れ出て、メビウスもドレイクもメランコリーもティナも、みんながこの場所で何百回もの死を重ねて、気がつけばメビウス以外は記憶すらないまま、お互いが誰のことも知らない五年前まで時間が巻き戻されて。
あの戦いは、その痕跡すら残すことが許されないまま魔王の勝ち逃げで終わった。
メビウスはそのもうやり直しで覆せない敗北を知ってとても辛くて、死ぬほど辛くて、死にかけたほど辛かったのを覚えている。そして、メビウスにはもう何も残されていないと信じ込んだのを覚えている。
でも、それは間違いだった。メビウスには失ったもの以上に大事な、本当は守らなくてはいけなかったものに気づけた。
メビウスが心の底から憎んできた魔族たち。彼らはもうメビウスが倒すべき敵ではない。メビウスが守りたい大切な者たちなのだ。
メビウスはあのヴァニタスとの戦い以降、体はヴァニタスのものに、近くにいる者たちはかつての人間の仲間から四天王といった魔族たちに、守るべき者は人間から人間と魔族に変わっている。
でも、たとえメビウスが勇者であろうと魔王の勇者であろうと、たった一つだけ変わらないものがあった。
『俺はこの体を俺の手で鍛え上げて魔王であるお前を倒せるぐらいにする、そしてお前を倒して今度は魔族じゃなくて人間の王になって全部を手に入れる、それが俺の目的だよ……』
これは、かつてヴァニタスがメビウスと体を入れ替えてからレイン村で別れる前にメビウスに言ったことだ。
勇者になっても、魔王の勇者になってもメビウスの敵だけは変わらない。
メビウスが、かつてヴァニタスと戦いを繰り広げた「流転の間」に来たのは、いつかまたヴァニタスと本当に最後の決戦をする日が来るのだと、改めて心に刻むためでもあった。
――そして、メビウスがそれに気づいたのはちょうど玉座の前に立った時だった。
「……シオンの花?」
たくさんの薄紫色の花びらが特徴的な、かつてマリーが育てるのが好きだったので覚えている小さな花が一つ玉座の上に置かれているその光景に、メビウスは当然なぜシオンの花がこんなところにあるのだろうかと疑問に思い、シオンの花に触れようとゆっくり手を伸ばして――、
「やあ、こんばんハ!」
いきなりシオンの花が風船のように膨らんで、見覚えのあるアンカウンタブルのローブが現れたのには、さすがのメビウスでも驚きを隠せなかった。
「アンカウンタブル! 全く……驚かさないでくれよ……」
「ごめん、ごめん、魔王様。いやー、魔王様がこれだけ驚いてくれるとぼくも変身した甲斐があるネ」
アンカウンタブルが、宙に浮いている手ぶくろの親指を立てて喜びを表現したのをメビウスは仕方ないなと許して、
そしてメビウスはシオンの花を見たときのように一つの疑問が浮かんで、
「なあ、アンカウンタブル」
「ん、どうしたの魔王様?」
「なんでここでシオンの花になんかなっていたんだ?」
メビウスが疑問を口にするとアンカウンタブルは手袋を漂わせながら、
「……なんか、魔王様がここに来る気がしてサ」
「えっ……」
メビウスが驚いているとアンカウンタブルは声を出して笑って、
「改めて魔王様、今までおつかれ様でしタ。ぼくは本当に、よく頑張ったと思いまス」
「おい、アンカウンタブル。何を言って……」
「ぼくは初めとても不安だったんでス。ぼくしか何が起こったかに気づいていないから誰もこの状況の危険性に気づいていなイ。何もわかっていなイ。でも、魔族にかつてなかった最悪の事態がずっと続いていテ……」
「……」
「だから、ぼくは君が立ち直ってくれて本当にありがたいと思っているんでス。本当に、心の底の底の底かラ。だから……」
アンカウンタブルは握りしめていた手袋をメビウスの目の前で開き、一つの不気味な形をした木の実を見せて、
「本当にお疲れ様でした魔王様……いえ、メビウスさン。やりたくもないような魔王の仕事をやらされて心中お察ししまス。このパンドラの実を食べてどうぞ魔王の座をお離れくださイ」
メビウスはアンカウンタブルに本当の名を呼ばれたことで、アンカウンタブルのことをかつて勇者として初めて戦った時以上に警戒した。
「メビウス? 何の話をしているアンカウンタブル」
「……はあ、そんなバレバレな態度しても無駄ですよメビウスさン」
誤魔化しても無駄だとわかったメビウスは、アンカウンタブルにヴァニタスとしてではなくメビウスと話すことを決めた。
「どうやって、その名前を?」
「……メランコリー、ドレイク、ティナ・メイザース」
アンカウンタブルの口から、今のアンカウンタブルが知り得るはずがない、メビウスのかつての仲間たちの名前が紡がれたことにさらなる驚きが生まれた。
「これは、君がレイン村から帰って来たその日の夜に、何度も何度も口にしていた名前だよネ」
いつ、メビウスがあの日泣いていたのを聞いていたのだろうか? フィルモアはあの日メビウスがいた魔王の部屋に魔族全員を近づけないようにして、ずっとメビウスを一人にしていたというのに。
まさかだが、メビウスの泣く声は遠くにいても聞こえるほど大きくてそれでアンカウンタブルにも聞かれてしまったのでは……
「でも、ぼく以外にはこの三つの名前の魔族がいないか調べるように頼んだフィルモアちゃんしか知らないと思うヨ。魔王様の部屋でシオンの花に変身していたぼく以外に、ずっとメビウスさんが泣くのを聞いていた魔族はいなかったシ、フィルモアちゃんがぼくが極秘に調べといて言ったことを言いふらすなんてしないシ」
「あっ、そうなの?」
「でも、やっぱりこの三つの名前を持つのが全員人間の子供だってわかった時には背筋が凍ったと思ったけどネ」
アンカウンタブルは華麗に一回転した後に一度閉じた見えない口をもう一度開いて、
「で、すぐにわかったヨ。魔王ヴァニタスは誰かと入れ替わって、きっとそれは人間でどこか遠いところに行ってしまったと……ネ。後は簡単。レイン村を魔族たちが奪い返した際に行方不明になった人間を探せば自然と」
木の実を持っていない方の手袋でメビウスを指差すと、アンカウンタブルはその手袋をメビウスの顔のすぐ近くまで近づけて、
「レイン村で唯一死亡でも魔族にこき使われているわけでもなかった、気がつけば行方不明になっていたメビウスという少年にたどり着くわけサ」
そしてアンカウンタブルの話が終わった今、メビウスはこれから唯一真実を知っていたアンカウンタブルとの会話がすぐそこにまでやって来ている。メビウスは何を話すことになるのか覚悟して、
「でも、すごく変な話だよネ?」
話がまだ終わっていなかったアンカウンタブルが、手袋をローブのちょうど頰がある位置に当てて考えながら話を続けたのに、メビウスはなんだか嫌な予感がしてたまらなかった。
「メランコリーもドレイクもティナ・メイザースも、ぼくが人間の情報を集めている間に自然に耳に入って来た有名人なのに、なぜ魔族領に接しているレイン村という、ど田舎出身の君がその三人の名前を声に出して泣いていたんだろウ? 少し情報集めもしていたけどその三人と君の接点は見つからないシ……」
アンカウンタブルの発言は正しい。メビウスがメランコリーやドレイクやティナと関わりを持ったのは、かつてのあったはずの世界のもう絶対にやってこない未来での話だ。
だからメビウスとみんなが仲間だったという話はどう頑張っても見つけられるはずがなく、
「でも、ぼくはすぐにわかったヨ。君が魔王ヴァニタスに本気を出させるほど強い力の持ち主で、魔王様はそんな君の体を……時間を巻き戻す力を持つ体を奪って行ったんだっテ」
「なんでそこまで……!」
「だって、君の時間を巻き戻す力をヴァニタス様が奪って、君とその三人が関わることになる前の時間まで戻したのなら、全部説明がつくでしょウ?」
メビウスが誰にも言ったことがない「勇者の力」のことまで把握しているのには、さすがに驚きを通り越して訳がわからないとさえ思った。
まだ、アンカウンタブルがメビウスの今の状況を当てたのはヴァニタスがアンカウンタブルに、あの体を入れ替える能力のことを話していれば納得できるのかもしれない。
しかし、なぜメビウスが本来出会っているはずがない三人の名前を呼んで泣いていただけで、メビウスがそんな人知を超えた時間を巻き戻す力を持っているなんて突飛な想像ができるのだろうか? いや、できるはずがない。
「まあ、そんなことはどうでもいいヨ。どうせもう君には関係ないことだから――」
「関係ないことって僕は――!」
「魔王様に本気を出させたということは、ぼくたち四天王も全員殺したことがあるってことだよネ? そうじゃないと魔王様は戦いすらしない……なら君は魔族の敵ダ」
吐き捨てるようなアンカウンタブルの言葉。アンカウンタブルに告げられた事実をメビウスは改めて再認識して、続くアンカウンタブルの言葉を聞いた。
「そんな君を誰が信用できル? なんで魔王の地位を利用して魔族を滅亡に追い込まないと確信できル? ねえ、これくらい君にもわかるよネ?」
奇しくも、今メビウスが考えてメビウスに言ったことはメビウスが何度も何度も考えていたことだった。
メビウスは勇者ではなくても魔王という地位はある。その地位を上手く利用すれば魔族を倒せるのではないか……、
「だから、今ぼくは君のためにこのパンドラの実を持ってきてあげたんだヨ」
そう言ってアンカウンタブルは、ずっとメビウスに見せていたパンドラの実を持つ手袋をメビウスの口元まで持っていった。
「これを食べれば、君は激痛に襲われるけどその代償にこの木の実を食べ続けないと魔法が使えなくなる体になル……それはつまりパンドラの実を食べないと魔法を使えないということで、魔王様に死んで欲しくないフィルモアちゃんたちは絶対にパンドラの実を食べさせなイ。だから君はごく普通の流れで魔王を辞めることができて、穏やかな生活を送ることができる……魔族の体だけド」
「……」
「そして、ぼくが魔王様に無理矢理パンドラの実を食べさせたって自首すれば二人揃って魔王城から離れて、ぼくは君に魔族がほとんどいない静かに過ごせる場所に案内することができル。ぼくの故郷なんだけど、本当にそこは良いところだヨ。だから……」
「そんなの駄目に決まってる」
なぜ、アンカウンタブルがメビウスにそこまで気を使ってくれるのかはわからない。でも、メビウスはその提案を受け入れられる訳がなく、アンカウンタブルが言い終える前にもう断っていた。
「駄目なのはこっちだヨ。なんでぼくを、みんなを殺した君が魔王である必要かあるノ!」
だが、アンカウンタブルはメビウスのそんな言葉だけでメビウスを信用する馬鹿ではなく、もっともな理由でメビウスを魔王の座から引きずり下ろそうとする。
でも、メビウスの決意もアンカウンタブルの言葉で折れるような弱いものではない。
「アンカウンタブル、君はなんで僕がこうやって戦おうとするか知らないだろう」
「……どうせ魔族を倒すためだろウ? 魔王様を信頼しているフィルモアちゃんやイヴちゃんやアシュラの目を欺いテ!」
「違う! 守るためだ! 人間だけじゃない、魔族も殺そうとしてるヴァニタスを倒すためだ!」
「ヴァニタス……様ガ……?」
今度は驚く方が逆になった二人の立場なんて気にせずに、メビウスは魔王の勇者として生きると決めた経緯を語った。
「ヴァニタスは、僕から奪った時間を巻き戻す力を使ってかつて僕がしたように魔族を滅ぼす気だ。それを知っているのは僕だけだし他の魔族に話せる訳がない……だから、僕がやらなきゃいけない。僕がやらなかったらこんなこと誰もしない。それに……」
メビウスはアンカウンタブルをまっすぐ見つめると、ついさっきまで並べていた理由なんてどうでもいいくらい大事な、メビウスの本当の理由を伝えた。
「なによりも、今までずっと見てきた魔族たちのあの笑顔を守りたい」
「……!」
アンカウンタブルは俯いて黙り込んでしまった。そうなるのも仕方ない、今までずっと信頼していたヴァニタスが魔族を殺そうとしているなんて言われても、言っている人がメビウスならなおさら信じられないだろう。
「アンカウンタブル、自分の言っていることが信じられないのはよくわかる」
「……」
「僕だって、アンカウンタブルの立場だったら今アンカウンタブルに言ったことは信られない」
「……」
「でも、僕は信じてもらわないといけない、僕がやらなきゃいけない」
「無理だヨ」
ようやくアンカウンタブルがメビウスに言ったことは、どこか諦めたようなところがあった。
「この戦争を、君はどちらかの種族の殲滅じゃなくて平和で終わらせられると本気で思っているノ?」
「うん」
「三百年も積み重ねてきた憎しみを、君は消せるというノ?」
「うん」
「君は、そんなことができると思っているノ?」
「うん」
「できるわけないじゃないカ……そんな、夢物語! 君一人の、ヴァニタスにすら勝てない君ガ!」
「僕ひとりじゃ無理だね」
アンカウンタブルは顔を上げてメビウスの顔を見た。その顔は、メビウスを憎むようで、恐れるようで、縋るようで、涙が流れているようで、
「だから、アンカウンタブルにも手伝って欲しい。いつか、人間と魔族が手を取り合える未来のために……」
「そんな未来誰が望むノ! そんなのただの君の理想の押し付けでしょ、君のわがままでショ!」
手袋を握りしめて今すぐにも殴りかかってきそうなアンカウンタブルの怒声は、メビウスには子供が泣いているように聞こえた。なぜ泣いているのかはメビウスにはわからない。
でも、今ここでメビウスが手を差し伸べないといけないことはわかって、
「そうだね。これは僕の勝手な思いだ」
「そうだよ、君の勝手な願いダ!」
「でも、大っ嫌いだって思って生きるよりも仲良くしようって思って生きた方が絶対良いよね」
アンカウンタブルはメビウスの言葉を聞くと、握りしめていた手袋が開いて手袋からパンドラの実がポトリと床に落ちた。
「僕は人間のみんなに魔族のみんなは楽しいやつだって教えてみたい」
「……」
「僕は魔族のみんなに人間のみんなは楽しいやつだって教えてみたい」
「……」
「僕は、人間と魔族が手を取り合ったらすごく楽しくなるって教えてみたい」
「だからそれが君の……」
「なら、共存なんてできやしないって思っているみんなに僕が教えるんだ。そして、その未来が良いって思わせてみせる! ……たとえ、なんと言われようともね」
「……」
「……」
「……馬鹿魔王様」
ふと、アンカウンタブルは手袋を本来の腕があるあたりに浮かせると、きっと満面の笑みを浮かべて、
「わかりましタ、ぼくはその理想の実現に手を貸しますよ」
「ほ、本当に!?」
「どうせもう何を言っても聞くわけないんでしょウ?」
「あっ、バレた?」
メビウスとアンカウンタブルは心ゆくまで笑い合い、笑いに笑ってそして笑い終えた。
「魔王様も、今日はもうこんな時間でス。今日はもう寝ましょウ?」
「なんか、急に敬語消えたね」
「いヤ、今敬語使う理由ありまス?」
「――ははっ! それもそうだね!」
そしてメビウスは玉座から離れて、少し下の階に行ったところにある魔王の部屋に向かって歩き出して、
「頑張っテ、魔王の勇者様」
アンカウンタブルがメビウスと別れる寸前にそう呟いたのを、メビウスは聞き逃さなかった。
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そして、アンカウンタブルはそんなメビウスを一人見送った後、地面に落ちているパンドラの実を見つめ、そしてそれはアンカウンタブルの服に溶けてアンカウンタブルの一部に戻った。
そもそも、アンカウンタブルにはメビウスにパンドラの実を食べさせて魔王の座から失脚させるという考えはなかった。
アンカウンタブルは、自身の体をこの世界中さまざまなところにばらまいている。そしてその姿は、基本的に先程玉座の上にいたようにシオンの花なのだ。
そしてそのシオンの花は盗聴器のようになっていて、いち早くメビウスとヴァニタスとの入れ替わりに気づいたアンカウンタブルはずっとメビウスを見守っていて、どんな道を辿って行ったのかを全て把握していた。
その結果、最後に「魔王の勇者」となると宣言したメビウスを見たアンカウンタブルは、きっとメビウスは魔族のために動くと考えた。
あのパンドラの実は、アンカウンタブルの体の一部で作った偽物で食べても魔素はたまらないし激痛も起きない。
ただし、アンカウンタブルの体は体の中で消化されることなく永遠に残り続け、アンカウンタブルの指示一つでアンカウンタブルの体を飲み込んだその体をどうにでもできる状態になってしまうのだ。
そして、アンカウンタブルはそれを利用して、メビウスがもし魔王を辞めて静かに暮らすなどと言って食べた時に、拷問して人間の知り得る情報全てを聞き出そうとしたのだった。
「まあ、意味なかったし、あの人がぼくが色々言ったくらいで諦めるとは思ってなかったけド……」
――なんせ、かつて魔族のほとんどを殺したであろう立場から、「魔王の勇者」になどという、きっと人間も魔族も救うという意味を込めた名前を自らに課した人間なのだから。
アンカウンタブルはため息をついてローブを少し整えて、そして一人つぶやいた。
「あんな悲惨な戦争が、たった数人の人間と魔族の強欲から生まれた怪物の副産物だなんて、誰が信じるかな……?」
突然ではありますが、今まで投稿していた「超える絆」編を削除してこの回を「勇者の知らない世界~魔王になった勇者は何を得るか~」の最終回にすることにしました。
応援してくださった皆様、本当に申し訳ございませんでした。




