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第二話 伝説の剣は世界最強の剣

俺は青空龍我。神様とかいう奴に転生させてあげると言われて転生したら異世界のしかも剣に転生されてた。でもただの剣じゃなくて伝説の剣。そこが不幸中の幸いか。伝説の剣なんだから強いに決まってる。ということは俺はこの世界で無双出来るということだよね。


問題があるとすれば俺を見つけたこの青年。あの霊峰を登りつめた根性は認めるがどうにも弱そうなんだよね。この青年に俺をちゃんと扱えるのか?というか、俺も俺の強さを知っときたいしな。なにか試し切り出来そうなやつはいないのか。けど人間を相手に試すわけにもいかないし。


『おい青年』


「あ、はい。なんでしょう?伝説の剣さん」


『……その伝説の剣さんってのやめないか。俺にもちゃんと名前がある。俺の名前は龍我っていうんだ』


「りゅうがさんですか?変わった名前ですね。僕はジークって言います」


『分かった。じゃあ俺はジークって呼ぶよ。ところでジークこの世界には人に害なすモンスターなるものはいるのか?』


「いますよ。うじゃうじゃ。まぁそのモンスターも魔王が復活するまではいませんでしたけどね。魔王の復活と同時にモンスターも現れました」


『なるほど』


この世界は剣と魔法。モンスターや魔王も存在するファンタジーな世界らしい。


霊峰を降りた俺達は山の麓まで来ていた。


『ところでジーク。そのモンスター達はこんな普通の平原にはいないのか?』


「いないこともないですけど、ほとんどのモンスターは基本的にダンジョンと呼ばれる場所か、もしくは森の中や、古びた遺跡とかを寝床にしてるのでそんな簡単には遭遇しないです。でもたまに街に現れる奴もいますけど街の入り口にいる護衛兵が倒してくれるので街の中も安全です」


なるほど。ここは思った以上にRPGな世界らしいな。でもとなればモンスターに会うためにはそういった場所まで行かないと行けないということか。


「あ、りゅうがさん。山の麓にある街が見えてきましたよ」


『お、おお』


いかにも中世の田舎町っぽい雰囲気を持つ街が視界に入ってきた。俺はその街をきちんと視界に入れる前にある気配を察知した。


この気配は殺気だ。初めて味わう気配にも関わらずそれが明らかに殺気だということは手に取るように分かる。


「ヒッ!こいつはグリズ」


グリズと呼ばれたそいつは身の丈は3メートルほどの黒い気配に覆われたまるで熊のような怪物だった。熊のような体格をしてるが明らかに熊とは違う。なによりこいつは殺気に満ち溢れている。


「ひぇー!」


『え?あ、おい!』


ジークはグリズに脅えてしまい俺を投げ捨てて岩陰に隠れてしまった。投げ捨てられた俺は刀身を下にして地面に突き刺さってしまった。おいおいマジかよ。普通、危機に際して武器を投げ捨てるか?ていうか武器持ってるんだから戦えよ。


まぁとは言え、こんな化物を目の前にして戦えってのは酷な話ではあるか。俺だってジークの立場だったら逃げるかも知れない。というか今すぐにでも逃げ出したい。でも俺は。俺は。


『俺は自分の力だと動けないんだよ!ジーク逃げるなら俺も一緒に連れて行ってくれよ!自分だけ逃げるなよ』


「だって今まで言わなかったけどりゅうがさん実は物凄く重いんですよ。持って歩くだけで精一杯なのにりゅうがさんを抱えて走ることなんて出来ない!」


えー。それが理由かよ。完全にお荷物扱いじゃん。伝説の剣だって言ってたじゃん。俺とジークのやり取りをグリズは黙って見てる訳もなく、雄叫びをあげながら俺目掛けて走ってくる。


『ぎゃー!やめろ!誰か助けてくれ!』


グリズは片手を大きく振りかぶりその大きな爪で俺の刀身に攻撃を仕掛けてきた。だがその瞬間、グリズは雄叫びを上げて消滅してしまった。


『え?』


な、なんだ。なにが起こったんだ?今あいつは俺を攻撃しようと近づいてきて。そしたら一瞬で消滅して。まさか、伝説の剣ってとんでもないパワーを持ってるとか?きっとそうに違いない。そうじゃなきゃグリズが近づいただけで消滅してしまった理由が説明できない。恐らく魔力的なものが強すぎて、弱いモンスターは近づくだけで消滅してしまうんだ。すごいぞ。伝説の剣レヴァルト!


『見たか!ジーク、俺は凄いんだ。いつまでも隠れてないで早く出てこい』


「あっ……あ」


どうやらジークは驚きすぎて声も出ないようだ。まぁ分からなくもない。なんせあんな凶暴そうなモンスターを一瞬で消滅させたんだから。


「あ……なんでこんなところに」


なんだ?どこを見ているんだ?空?そんなことを考えてると突然大きな地響きが起きた。そして大きな咆哮。俺はその先に目を凝らした。


『あ……あ、なんでこんなところに』


ジークが発した言葉をそのまま復唱してしまった。無理もない。異世界に転生されたばかりの俺でも分かる。30メートルはあろうかという大きな体躯。大きな牙と爪。そして大きな翼。これは間違いなく。間違いなく。


『ドラゴン!!』


「グァアアアア!!!」


ドラゴンは周辺何キロも認識できるであろうほどの大声で咆哮した。俺でも分かる。このドラゴンはさっきのグリズとは桁が違う。さっきのグリズがレベル1だとするとこのドラゴンはレベル999はあろう。


ドラゴンは俺がそんな分析をしていると、俺目掛けてその強烈な尻尾で攻撃をしてきた。グリズは俺に近づいただけで消滅したがやはりドラゴンは違う。俺はドラゴンの強力な尻尾の打撃を受けて飛ばされる。


飛ばされた先には岩陰に隠れて完全に怯えきっているジークがいる。


ドラゴンの攻撃に耐えた俺の刀身を褒めてやりたいところだが今はそれどころではない。なんとかこの場から逃げなければ確実にやられてしまう。


だが逃げると一重に言っても目の前にいるジークは怯えきっていて頼りにならない。だが周りには他に誰もいない。ジークをなんとかなだめて説得してこの場から離れなければ。


『ジーク。よく聞け。俺は伝説の剣だ。俺のレベルは999はある。だがお前はレベル1の人間だ。今、目の前にいるドラゴンは倒せない。けどこの場を逃げ延びることが出来ればお前は俺を使って無双出来る。そうなればお前は富も名声も手に入る。だがその為には、今はこの場から、逃げて生き延びなければならない。俺を持って。俺を持って遠く離れろ。そうすればお前は英雄になれる。だから早くこの場から……』


「えい……ゆ……う?」


俺のジークへの説得はうまく行ったのか?さぁ早く俺を持って逃げろ。でなければ俺もお前も死ぬだけだ。


「英雄か。やってやる。その為に俺は伝説の剣を探してたんだ」


お?効いてるのか?そのいきだ、さぁ俺と共に逃げよう。


ジークは俺の元へと歩み寄り俺の柄を握る。そしてドラゴンの方に向き直す。


『え?』


いや、いやいやいや。なにしてんの?逃げないと駄目だって。なんでドラゴンと対峙してんの?勝てるわけない。勝てるわけないのに。


ドラゴンは自分への視線と闘気を感じたのかこちらを睨みつけている。そして大きな咆哮と共に口から何万度もあろうかという炎を打ち出した。


あー。死ぬ。なんで逃げねぇんだよ。なんだ異世界での人生短かったな。今度転生されたら現実世界に戻してもらおう。


「うわぁああああ!!」


ジークはドラゴン目掛けて思いっきり剣を振り下ろす。


その瞬間、炎はかき消され、炎を吐いたドラゴンは脳天から完全に真っ二つに分断された。さらに勢いは止まらず、地面をも切り裂き遥か先に見える山さえも分断した。


『……え?……えーーー!』


あまりの出来事に俺は言葉を失った。伝説の剣は紛れもない世界最強のとんでもないチートレベルの破壊力を持った剣だったのだ。

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