第2話
暴れまわっていた男が潰されて死んでから数時間が経った。
未だに現状が理解できずにおびえるもの、現状を理解しこの理不尽なゲームに挑もうとするもの、こんなゲームおかしいと叫ぶものなど様々な集団に分かれた。
俺は何とか理解した。いや正確には理解しなければいけなかったからしたといった方が正しいだろう。
そして俺は草鹿と名乗る人物が提示していたルールを今一度思い出し、あることに気が付いた。そう俺も楓季も35位以内には入っていない。ということは上げなければいずれは殺されてしまうということに。
俺は殺人鬼ではないから殺しはしたくはなかった。だからこそ草鹿の提示した誰かを殺すする気がなかった。
そうして現状について考えていた時だった。
「なぁ、君ぃ」
見るからにチャラそうな男が俺の肩をたたき、声をかけてきた。
「えっ、なんですか?何かご用でもあるんですか?」
あまりにも突然現れ、声をかけられ驚いたものの、冷静に何か用があるのかを聞いた。
「なぁ、君って今何位なん?」
男は不躾にそんなことを聞いてきて、俺は少し躊躇したものの別に教えたとしても、どうってことないだろうと思い、教えることにした。
「俺は現在は68位ですよ。というかどうしてそんなことを聞くんですか?」
「そっかぁ、ありがとね~!ああ、自分より上の人がいたら仲良くしておこうかなぁって。その人の動きを真似してたら俺の素行もよくなるじゃん。で君なんとな~く、優等生っぽかったし声をかけたんだ~。じゃあ、正解だったぁ。俺140位だからぁ。」
なんとも頭の悪そうな理屈ではあったものの、話を聞く限りこの人は人を殺すということはなさそうだ。
そのことに安心した俺は手を差し伸べ、握手を求めた。
「俺の名前は紫峰 伊南です。この理不尽なゲームを一緒に生き延びましょう」
すると、その男は握手に応じてくれた。
「あ~、うん、俺の名前はね~、安達竜二だよぉ。よろしくぅ。それじゃあ、俺はまた自分より高い順位の人を探してくるね~。じゃね、いっくん~」
竜二が去って行ったあと、講堂に着いてからどこかへ消えていた楓季が声をかけてきた。
「伊南君、探したよ。あの男、少し可哀そうだったね。殺した後じっとしていればよかったのにね」
楓季のその発言に対していささか俺は疑問を覚えた。
もしあの人があのままおとなしく従っていたとしたら、5日後に出てきてまた人を殺すんじゃないのか。それを分かっていての今の発言なのか・・・
だとしたら、この人は殺人に肯定的なのでは
俺は思い切って、楓季さんへの疑心を晴らそうと一つ質問を問いかけた。
「楓季さんにとって人が殺されることは大丈夫なんですか?」