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迷殺  作者: アキラ
10/13

第10死 仲間⑥

俺はその提案に対して正直躊躇った。

この刑務所で生き抜くために仲間は多いに越したことはない。

それを最優先に考えるとすれば、彼女たちの提案を受けるべきだろう。


だがしかし、ここが刑務所であるという事実と昨日まであったことを

考慮に入れると即断できるようなことではないことは明白だ。

この2人も何らかの罪を犯している。

この事実は仲間に引き入れるうえでかなり大きな要素の一つだろう。

美穂のようにそんなことで捕まっていないように見えて、

実はハッキングで捕まったなんて例もある。

人は見かけによらずだ。

もしかしたら、彼女たちは殺人を犯したことによって、

この刑務所に収容されているのかもしれない。

そうであれば、至極危険だ。

俺や竜一、ましてや美穂が殺人犯と対峙してなお、

生き残れる可能性は極めて低い。


そしてもうひとつ、仲間は多いに越したことはない。

これも考えようによれば、この刑務所から無事に生還するためには重要な要素だ。

ただ人が多いだけでいいのであれば、

どんどん声をかけて規模を大きくする方がいい。

だけど、最初のあの怪しい放送の通りに、この理不尽極まりないゲームが

展開されていくのだとすれば、ある結論が提示される。

これはあのアナウンスでも言われていたことだが、

助かる人数は限定されている。

人を殺さず、素行を良くしていけば、最終的には35人

人を10人ずつ殺せば、40人が助かる。


この刑務所にいる人間が常識ある人間ばかりだったのならば、

“35人“しか生き残ることが出来なかった。

だけど、初日と昨日、そして今日の様子を見る限り、

この刑務所にも当然のように存在する。

人を殺すことを厭わない人間が。それも大勢・・・。


そんな人間が跋扈するこの刑務所の中では、

仲間を作りすぎるというのも考え物になってくる。

仲間が多ければ多いほど、最後になるにつれて、

同士討ちをするリスクが増えていくのだから。

そうなってしまっては、この悪趣味極まりないゲームを提案した

あの男の思い通りに動いているということに違いない。


それだけは避けたかった。


だからこそ、俺が今考えている仲間の最適人数は多くても6人。

最低でも3人は必要。

そして今のところ、竜一と美穂の二人が仲間であり、

彼女たちを入れるとすれば、4人になる。

この人数は最適人数の範疇内になる。

普通に人数の面だけを考えれば、これでいいと思う。


だけど、このメンバーでは色々と不都合がある。

一番大きなものはやっぱり戦力が極めて低いことだ。


俺は言わずもがな、戦力になる気がしない。

そもそも窃盗という罪で捕まった俺たち刑犯罪者には

武力を行使する考えがあまりないように思う。

初日の朝に渡された拳銃だって、どちらかと言えば使いたくはない。


次に竜一もおそらく俺と同様で闘うということを念頭に置いていない気がする。

但し、彼のコミュニケーション能力は俺よりも高い。


そして美穂。彼女に至っては、女性ということもあるが

あの人見知りようからして完全に戦力にはならないだろう。

最悪の場合、真っ先に狙われて殺されてしまう可能性が極めて高い。


総じて、俺たち3人の戦力は低い。

仮に俺たちが狙われたとすれば、為す術無く殺されてしまう未来が見える。

このままいけば、俺たちは生き残ることはできない。


だとすれば、俺たちが生き残るにはどうすればいいか。

答えは明白。高い戦力を持つ常識のある人を仲間にすることが最善である。


そう考えると、彼女たちを仲間に加えると、さらに戦力が低くなり、

守らなければいけないものが増えてしまう。

このままいけば、真っ先に他の囚人の餌食になってしまう。



とここまで考えて、俺は彼女たちに対する答えを決断した。

(申し訳ないけど、断ろう。)



「悪い。俺たちは君たちとは・・・。」

仲間になれない。そう言葉を続けようとした時だった。


刃物を手にした男性が目を赤くさせながら必死な形相で

俺たちの部屋へ飛び込んできたのは・・・。


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