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告白

美貴と隆は堤防の上で二人並んで座っている


隆はさっき買った缶コーヒーを開け、一口飲んで煙草に火をつけた


美貴もカフェオレにストローを刺し飲んでいる


「ねぇ?隆?」


「ん?」

隆は美貴の方を向いた


「何で髪伸ばしてるの?」


「別に伸ばしてるわけじゃないよ、切りに行くのもめんどくさいし、まぁ、昔からだから・・・切った方がいいかな?」


「いや、何か短髪も似合いそうだなぁ〜って思っただけ」


「そう?」


「あのね、店長に聞いたんだけど、彼女がいないって本当?」

美貴が言った


「ああ、いないよ」


「そっかー、本当にいないんだ」

美貴がうなずきながら言った


「この前まで、いたけど・・・別れた」

隆がうつむきながら言った


「なんで?あっ、聞いても良かった?」


「ああ、別に良いよ、まぁ、早く言えば好きじゃなかったのかなぁ〜?」


「えっ、好きじゃないのに付き合ったの?


隆は少し考えながら

「そうなるかな」


「遊び?」

美貴が聞いた


「遊びだったのかなぁ〜?、人を好きになると言う事が今までなくて・・・何かうまく説明できないけど・・・」

隆は考えてる


「じゃ、最初から付き合わなければいいのに、その人は好きだから隆と付き合おうと思っているんだよ、私がその人の立場なら凄いショックだよ」

美貴はちょっと怒っている


「うん、それに気づいたとき一人の人を傷つけてしまった、だから別れたんだ」


「ん?気づいた?よくわからない?」


「その人が、俺の事を本気で好きだと言う事に気づいた・・・いや、俺が最低な人間だと言う事に気がついたから・・」


隆は話しながら、愛への罪悪感を今まで以上に感じていた

そう、今の隆には人を好きになるという事がわかったからだ

どんな気持ちで愛は別れを受け入れたのか、本当に好きな人に、一方的に別れを告げられた時、多分死にたいくらいショックだろう

そういう事が全部、罪悪感として隆の中に残った


(愛に別れを告げたとき、泣きながら「別れたくない」って言っていた、その時の気持ちが、今ならわかる、本当に俺は最低だ)


隆の目には、涙が溜まっている


美貴はそれに気づいた

「ごめん、何も知らないのに・・」


「いや、良いんだ、美貴の言った事は間違ってないし・・・」


「私ね、昔付き合った人に、遊ばれた事があってね、別れた後もその人の事をしばらく忘れられなったんだ、すごく辛くてね、だからつい興奮してあんなこと言っちゃたの」


隆は驚いた

「美貴が遊ばれた?」


「うん、別れを告げられた時に聞いたら、「遊びでしょ、本気にならないでよ〜」って言われたの、馬鹿だよね全然気づかないで一人で本気になってたんだ」


隆の驚きは怒りへ変わった

「なんだそいつは〜俺が世間の厳しさを教えてやる、どこのどいつだ」

隆は美貴にすごい勢いで聞いた


「え?はは、隆も同じ事してたんでしょ」

美貴が笑いながら言った


「う!そうか・・・」

隆はしょぼんとして言った


「でも隆は、ちょっと違うかな〜、それに気づいて、本気で反省してるみたいだし」

美貴は隆を慰めるかのように言った


「いや、本当に最低だと思うよ、今になってわかった、遅いけどね」

隆はうつむきながら言った


「反省してると言うことは、もう適当な気持で人とは付き合わないでしょ?」

美貴が言った


「ああ、もうない」

隆が言いきった


「じゃ、良いんじゃない、もうこの話は終わり、ほら夕日が綺麗だよ」

隆は、水平線を見た


「うん、本当だね、すごい綺麗だ」


「ね?下に降りて、海の近くに行こうよ」

美貴が下の砂浜に降り、隆に手を差し伸べている

隆は美貴の手を握った

美貴はニコっと笑た


砂浜は昼間の暑さの余韻を残している、まだ温かい

隆と美貴は手をつないだまま波打ちぎわまで来た、二人はきわぞいを横に歩いている

美貴は隆と手をつないでいる反対の手で靴と靴下を持ち、波とたわむれている


「なんか、こうして歩いていると、カップルみたいだね?」

美貴が言った


隆は顔が赤い

「う、うん、そうだね」

隆は照れている


「ね?あそこになんかある?」

美貴が海の中を指差した


「ん?どれ?」

隆は立ち止まり海の方を見た

その瞬間、ドン!、背中を強く押された

バシャン!、隆は海に落ちた


「ははは、すきあり!」

美貴はいたずらっぽく笑っている


「この〜やったな〜」

隆は砂浜に携帯と財布を投げ捨て、美貴の近くに行き、美貴の膝の後ろと首の後ろに手をやり、くるっと美貴を抱いた(通称お姫様ダッコというやつだ)


「きゃ!やだ、重くない?」

美貴が心配そうに言った


隆は無言で海の中に入って言った

隆は膝ぐらいまで入ると、バシャン!美貴を落とした


「お返し!」

隆が笑いながら言った


「ひどい!女の子にそんなことしたらダメなんだよ」

美貴が笑いながら言った


「ごめん、ごめん」

隆は濡れた髪をかきあげながら言った


バシャン!隆に水がかかった、美貴が両手で隆に水を掛けた


「この!」

隆も美貴に水を掛けた


「ははは、楽しいね〜」


このあと二人は一時間ぐらい海の中で遊んでいた




あたりはもう暗い、二人は疲れて、海の中に顔だけ出し浮いていた


「星綺麗だね?」

「ああ、こんな綺麗な星空初めて見た」


「じゃ、もうそろそろ上がろうか?」


美貴が起きて砂浜の方へ向かおうとした


「美貴!」


「ん?」


美貴は後ろを振り返った

隆は水が腰まで浸かっている辺りで止まっている

隆の回りの海は星が反射してとても綺麗だ

美貴は見とれた


「俺と付き合ってくれ!」

隆は何時にもなく真剣な顔をしている


「え?ウソでしょ?」

美貴が笑いながら言った


「ウソじゃない!本気だ」



「私、もう遊ばれたくない・・」


「遊びじゃないんだ、信じてくれ!」


「今までだって、そういうこと言ってきたんでしょ?」

美貴が笑いながら進みだした


「美貴、真剣に聞いてくれ、俺は今まで人を好きになった事がなかった、初めて人を好きになった、胸が苦しくてこんな気持ち初めてなんだ、だから真剣に聞いてほしい」


美貴が振り返って


「私も隆の事が好き、すごく好き、でも、隆はかっこいいし、優しいし、すごくもてそうだし

、遊ばれるのが怖い」

美貴がうつむきながら言った


「絶対に後悔はさせない、ずっと一緒にいてくれ、愛してる」

隆がいった


美貴は涙を流している

「信じていい?」


「ああ、信じてくれ」


「嬉しい・・・ずっと一緒にいる、私も愛してる」



美貴は隆の方へ近づいてきた

隆は無言で美貴を抱きしめた


「ありがとう、信じてくれて」

隆は美貴の耳元でささやいた



二人は砂浜まであがってきた


「ちょっと寒いね」


「今、火焚いてあげるよ」


「え?」


隆は焚き火の跡を見つけ、その上に新しい木を乗せた、


「これでよし!」


「あ!私そういえば、・・・あった♪」

美貴はかばんの中から、一枚の大きめなタオルを出した


「すごいな、かばんの中からタオルが出てきた」

隆はびっくりしながら言った


「フフ、すごいでしょ、これね、仕事来る前に可愛かったから買っちゃたの」

美樹が言った


「そうなんだ、タイミングがいいね」

隆が笑みを浮かべながら言った


隆は火をつけた

隆はTシャツを脱ぎ、木を縦てそれに掛けた


二人は一枚のタオルを並んで肩に掛け火にあたっている


上半身裸で加え煙草をしながら座っている隆に、美貴は見とれていた


「暖かいね」


美貴は隆の肩に頭をもたれた


隆は、美貴の肩に手をまわした


「ねぇ?」

美貴が隆に聞いた


「ん?」



「好き?」


「ああ、好きだよ」


隆は美貴に微笑みかけた


美貴はニコっと笑った


「浮気しないでね」


「ああ、絶対にしないよ」


「本当?」


「ああ、絶対にしない」


美貴はニコっと笑った


このあと二人はこんな会話を一時間ぐらいして、バイクをコンビニの店長に託し、タクシーで美貴の家の近くまで送って行った


二人ともタクシーを降りて


「今日はありがとう、本当に楽しかった」


「ああ、じゃ、また明日」

隆はタクシーに乗り込もうとした


「隆!」

美貴が呼んだ


「ん?」

隆は美貴の方を向いた

その時、隆の唇に、やわらかい美貴の唇が重なった


「じゃ、明日」

その瞬間、ドアが閉まった

美貴は微笑みながら手を振っている


隆は何が起きたのか、飲み込めていない


タクシーは走り出した


隆はあわてて美貴に手を振る


美貴が見えなくなるまで、隆はタクシーの後ろの窓にしがみついていた


隆は世界で一番大切な宝物を手に入れた

隆にとって何よりも大切な宝物・・・ずっとずっと一緒に・・・・

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