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出会い

「あ〜疲れた〜」

そこには頭をかきながら、ラーメン屋の裏口から出てきた隆がいた。

2・3分裏口でだるそうに立っていると、遠くからエンジン音が聞こえてきた。

そのバイクは隆の前で止まりヘルメットを脱いだ

「あ?隆さんですか?お疲れ様でした〜」

茶髪でパーマをかけた、まだ幼さが残る顔、その男は、隆に話しかけてきた


隆は目を丸くして

「お前だれ?」


「あっ、慎也さんの代わりに迎えに来ました、俺、慎也さんの後輩で、横井って言います!よろしくお願いします」


「慎也は?」


「俺、隆さん憧れだったんですよね〜、マジ感激です。」


「お前、俺の話聞いてるか?」


「隆さんと会話をしてるだけで、感動しまくり♪」


「おい?話を聞け」


「いや〜明日自慢し」 ゴン! 「ま・く・り・ま・す」

隆は我慢しきれずに殴ってしまった


「すいません、ケツ乗って下さい、慎也さんの所案内します」

横井は頭を押さえながら隆に言った


隆は横井のバイクの後ろにまたがり慎也の所に向かった。




慎也家・・・


「おい!こいつはなんだ!」

隆は横井の後ろ襟をつかみ、慎也に投げ捨てた。


「え、こいつなんかやりました?」

慎也はとぼけた顔して、隆に聞き返した。


「ず〜〜〜〜としゃべてる、女みたいにペチャクチャペチャクチャ、うるさくてたまらん」


「ほんと、すいません、つい感動して・・すいません」

横井はちょっと涙ぐんで謝ていた


隆はそれを見て、ちょっと言い過ぎたと思い

「いや、べつに良いけどよ」


「えっ、ほんとすか〜、ありがとうございます」

横井はニコニコだ。


「まぁ〜そんな横井はほっといて、何で慎也、お前が来なかった?」


「いや〜ちょっと野暮用で・・・」

慎也はちょっとあせってる


「ふ〜〜ん、まっいっか」

隆は慎也が何か、隠し事をしているのがわかったが聞き流した


「あっ、仕事どうでした?」


「ずぅ〜〜〜〜〜〜と、ヤキ入ってた、マジ疲れた。」


「マジすか〜ハハハ、いい気味ですよ」

慎也は言った瞬間「まずい」と思った、だが遅かった、隆の鉄拳が慎也の顔面にヒットした。


「ぐは・・・!」


「まぁ〜そんな慎也さんはほっといて、何で隆さんは、そんなにあそこのバイトにこだわるん

ですか?隆さんならもっと稼げる仕事あると思うですけど」

横井が隆に聞いた


「あっ、それ俺も聞きたかった!」

慎也が鼻を押さえながら隆に聞いた


「あ〜あそこの店長さ・・・・・・・死んだばぁちゃんに似ててさ・・・」


「え・」


「それだけ・・・アハハハハハハハハハハハハハ」

慎也と横井は顔を見合せながら笑った


「うるさい!笑うな」

隆は顔を赤らめながら言った。


「明日、昼から仕事行くから、迎えに来てくれよ、頼むぞ!」

隆は慎也の部屋から逃げるように出て行った


隆の家は慎也の家から歩いて5分ぐらいの所にある


隆がとぼとぼ歩いていると後ろから声が聞こえてきた


「隆さ〜ん」

横井だ


「どうした?」


「いや、慎也さん、隆さんには言うなって口止めされてたんですけど、隆さん仕事しているとき、愛さん家に行ってたみたいですよ」


隆は驚いた、だが不思議と怒りはない、多分、愛の事を好きだという感情がないからだ


隆はにやけながら、

「へ〜そっか、だからお前が来たんだ、そっかそっか、へ〜慎也がね〜」


横井は不思議そうに

「え、怒らないんですか?」


「お前なぁ〜、慎也を売るようなマネはやめろ!今回は聞かなかった事にしとく」


「・・・・・・・・はい」


「お前、俺に気にいられたくて、こんな事言ったんだろ、大丈夫だ、もうお前はおれの仲間だ」


隆は声を荒げてこう言った

「俺の仲間はみんなファミリーだ、家族なんだよ、だから、家族を売るような真似だけはやめ

ろ、わかったか!」


隆は熱く語った


「はい、わかりました、ありがとうございます!」

横井は感動した。


次の日の昼ごろ・・・


「隆さ〜ん迎えに来ましたよ〜」

慎也がバイクにまたがり外で叫んでいる


「ああ、今行く」

仕事の用意をして外に出ていく


「おはよう」


「おはようございます」


「慎也」


「はい」


「俺さ、愛と別れようと思うんだ、どう思う?」


慎也はビックリして


「何でですか、愛さん、本気で隆さんのこと好きなんですよ」


慎也は本気の目だった


隆はカマをかけてみた

「お前が何でそんなこと知ってるんだ?」


慎也はマズイと思った


「お前何か隠事してるな!」


慎也は諦めた

「すいません、俺、昨日愛さんの家に行きました。」


「ふ〜ん、そっか」


「やったか?」

隆がにやけながら言った


「な!何言ってるんですか?そ!そんなことするわけないじゃないですか」

慎也が声を荒げていった


「じゃ何しに行ったんだ?」


「愛さんが相談したい事があるって言うから・・・ずっと隆さんの話でしたけど・・・」

慎也が少し淋しそうな顔で言った


「お前、愛のこと好きだろ」


「え!」


「愛のこと好きなのか?」


「・・・・・・・・・は・・い・・・・・」


「そっか・・・愛はお前といた方がいいと思う」


「え?」


「だって、好きなんだろ!?愛も好きになってくれる奴の方がいいだろ!」


「隆さんは、やっぱり愛さんの事好きじゃないんですか?」


「う〜ん・・・・わからん!嫌いじゃないと思うけど・・・」


「でも、愛さんは隆さんに本気ですよ・・・」


「・・・ああ、俺も昨日本人に言われて・・・悪いと思ってる・・・お前にも愛にも悪いことをした」


「いや、俺は別に・・・」


隆はうつむいた。

「愛もほかの女と同じで、俺を利用しているだけだと思った・・・だったら、やっぱり俺は愛

とは付き合えないって思ったんだ」


隆は初めての罪悪感という気持ちを知った



「俺は今付き合っている女すべて切る!」



「え!!」

慎也は驚いたが、複雑な気持ちだった


「いやもう決めた」


「ちょっと電話かせ」

隆は今付き合っている女、すべてに電話をし別れを告げた、

           




「ほんと勝手な男だな俺は」


「ほんとすよ」

慎也が少し、呆れながら言った


「よし!行こう!」


「来伝すね、いきましょ!」(来伝=ラーメン屋)


「ちがう、ちがう、電話買いにいくぞ!」


慎也はビックリしながら

「え!仕事は?」


「ちょっとぐらい遅れても大丈夫だ!」


「マジすか?電話なんてすぐに出来ないんですよ」


「何分ぐらい掛かるんだ」


「多分1時間とか・・・」


「いい、いい、俺は電話が欲しいんだよ」


隆のわがままは今に始まった事ではない。


「はい、はい、わかりましたよ」

隆は電話がないことで、みんなに迷惑をかけていることを、昨日寝る前に考え、やっと気づいたのだった。


一時間後・・・・


「おおおおお!!!!俺の電話だ」

隆はかなり嬉しかった


「はい、はい、じゃ行きますよ」

慎也はちょっと呆れてた


「おい、もっと感動しろよ!」


慎也はため息をつきながら

「うおおおおおおおおおお!すごい!電話だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「お前・・・・・・」


慎也は真面目な顔で

「じゃ行きますよ」


「お、おう」


来伝近くの交差点・・・



「おい?なんでこんな所で降ろすんだ?」


「バイクの音が営業妨害だ〜って怒られるんですよ」


「マジか?わかったよ」

隆はバイクの後ろから渋々降りた


「じゃがんばってくださいね」


「お前、また愛の所か」


隆は少しにやけながら言った


「行けるわけないでしょ、ふられたばかりの人の家に、冗談でもそういう事言わないでください!」


「ごめん・・・」


今日の慎也は迫力が違う


「じゃ帰り来ますから、頑張ってください」


「おお」

隆は片手をあげ慎也に手を振った


「じゃいくか」

隆は煙草に火をつけながら歩き出した



来電の引き戸を開けると、カランカランと音がする、こんな暑い日にはちょっと涼しげにも聞こえる


「ただいま〜」

隆は大声で入って行った


「なぁにが〜ただいまだ〜今何時だと思ってるんだ〜〜〜」

60代半ばの、女性が怒鳴った、


「ごめん、ごめん、ちょっと忙しくてさ〜、店長そう怒るなって!」

隆は髪を片手でうしろにまとめ、口にゴムをくわえ、もう片方の手で、手を縦にして謝った


「新しい子もいるんだからしっかりしなよ」


「ああ〜!?新しい子?おい、ばあさん、あんたまだ子供作れたのか?」

隆は真面目に言っている、どうやら本気らしい


店長は、ため息をつき呆れた様子だった。


「ハハハハ面白い人、店長紹介してください」

 

「あっ、そうだね、この子が新しく家で働く事になった」


店長をさえぎるように

「橋本 美貴です、よろしくお願いします」


隆は美貴を見た瞬間

衝撃が走った、稲妻が走った、何も話せなくなった、手が震える、初めてだったこんな気持ち、俗に言う一目惚れだ


「あの〜お名前は?」


隆はまだ衝撃が走っている最中


「気を付けなよ〜こいつ、女に手を付けるのが早いからね〜」

店長が余計な事を言った


その言葉で隆は正気に戻った

「て、店長さん、な、なにをいう、言うん、です、するか?」


自分でも何を言っているかわからなくなっている


「店長さん?気持ち悪いね〜この子は、何か変だよ、大丈夫?」


「俺、いや、私、小嶋 隆と申されます」

隆が、かしこまって言った


「フフよろしく」

美貴が笑いながら言った


「はい、はい、仕事仕事」

店長は手を叩きながら言った




その日は仕事にならなかった・・・




俺はこの日のことを忘れることは、絶対にないだろう、

この出会いこそが、俺の運命を大きく変えた。



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