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正月

ゴ〜ン ゴ〜ン

鐘の音が、耳の中まで響いてくる


雪が降りしきる中、二人は初詣に来ていた


「あけました!おめでとぅ〜〜!」

隣で手を叩きながらはしゃいでいるのは、俺の一番の宝物


「ああ、おめでとう」

隆は、そんな美貴を見て、笑みを浮かべ頭を撫ぜた


「今年もよろしくね♪」

美貴は笑顔で隆に言った



愛の見送りで飛行場に行ったときから、約一か月

隆は美貴との日常に幸せを感じていた


12月はいろいろイベントもあり、二人は順調に愛を育んでいた

隆の誕生日、美貴は手作りのケーキを作って来てくれた、味はあまり覚えていないが、二人で仲良く食べたのを覚えている


クリスマス、二人で札幌まで一泊旅行をしてきた

美貴は隆の為に、相当長いマフラーを編んできていた、二人で巻くために長いんだって

隆は美貴に指輪をプレゼントした、この時の、美貴の喜びようは今でも覚えている



隆にとって美貴は、隣にいなければ違和感があるほど、かけがえのない人になっていた

周りから見ててもわかるぐらい、二人は愛しあっていた




隆は毎年新年を、旭川の祖母の家で送るのが恒例になっていた

今年は、父親の聡志が体調不良の為来れなかった、妹の千穂は、父親を一人にするのが不安だと言って自宅に残った

と!言うわけで、隆は、美貴と二人で、旭川にやって来ていたのである

美貴はと言うと、クリスマスからお正月を挟み、毎年海外で暮らすそうなのであるが、レポート?とやらが追い付かないから、今年は一人で新年を迎えると親に言ったそうだ



まぁ、嘘なのであるが・・・




「新年を美貴と過ごすなんて、夢みたいだ」

隆はボソッと言った


「フフフ、本当だね、毎年一緒に来たいね」

隆の隣で寒そうに、手を擦りながら言った


「寒いのか?」

隆が言った


「うん?ちょっとね・・・旭川ってこんなに寒いと思わなかった・・・」

美貴が隆にもたれかかった


「毎年来てるけど、こんなに寒いのは、俺も初めてだよ」

隆は美貴の肩に手をまわし優しく引き寄せた


「暖かくなった」

美貴が行った


「そうか?」

隆が少し照れながら言った


「フフ、幸せ♪」

美貴が笑いながら、隆の顔を見上げた


隆も美貴の顔を見た、ほっぺたを赤くして、めちゃくちゃかわいい・・・

えっ・・・美貴が・・・目を閉じた


(キスしろってことだよな?こんな人前で?・・・マジ?・・・ここでしないと、男じゃないよな?よし!!!)

隆は周りをキョロキョロと確認した


「まだかな・・・」

美貴が言った


「ご、ごめん、今する!」

隆が言った


「え!?何を」

美貴は目を擦りながら言った


「何をって?キスだろ?」

隆が美貴の方を向いた


「え?ハハ、ごめん、コンタクトがづれたんだ、フフフ、ゴメン勘違いさせて、ハハハ」

美貴が笑いながら言った


「え?マジで?だって、まだかなぁ〜って言わなかった?」

隆が必死になってる


「うん、お参り、いつになったら、私たちの番かなぁ〜って」

美貴が笑いを我慢しながら言った


神社では参拝する人たちで、列になっていた

隆と美貴は、この列中で順番を待っていた


「そ、そうだよなぁ〜こんな人前で、ハハ、ハハハ」

隆は恥かしさで、顔が真っ赤だった


「キスしたいの?」

美貴が真面目な顔で言った


「そ、そんな事ないよ、こんな人前で、なぁ」

隆は美貴の方を向いて行った


ちゅ


美貴が不意に隆の唇にキスをした


「な!・・・」

隆がビックリして声が出ない


「な?」

美貴が笑顔で隆に聞いた


「何でもない・・・」

隆の顔が真っ赤だ


「フフフ」

美貴は満足そうに笑った

隆は顔を真っ赤にして黙ってる


「おやおや、雪が溶けそうなくらい、熱いわね〜」

隣で並んでいた、老夫婦の女性が言った


「わしらも昔はなぁ?ハハハ、幸せそうだの〜」

今度は老夫婦の男性が言った


「ハハ、ハハハ」

隆は笑ってごまかした


この時、隆は恥ずかしさで一杯だったが、同時に幸せで一杯だった


「もう30分ぐらい経つなぁ〜」

隆が暇そうに言った


「多分もうちょっとだから我慢して」

美貴が言った


「ああ、煙草吸っていい?」

隆は美貴に聞いた


「ダメ!歩き煙草はダメって言ったでしょ!」

美貴が言った


「・・・うん・・・」

隆がふくれながら言った


隆が今まで当たり前のようにやってきたことが、美貴と出会ったことで、ドンドン変わっていく、だけどそれで良かった、それが、当たり前だから・・・



「あ!あそこに甘酒売ってるよ」

美貴が言った


「ん?飲みたいのか?」

隆が聞いた


「ううん、私はいいの、隆好きでしょ?」

美貴が言った


「お、おう、好きだけど、何で知ってるの?」

隆がビックリしながら言った


「おばあちゃんが言ってたんだ」

美貴が言った


「ビックリしたよ、そう、昔からね甘酒が大好きでね」

隆が言った


「じゃ、買ってくるね!?」

美貴が列から離れ、甘酒を買いに行った


「おい、俺が行くよ」

隆が美貴に向かって叫んだ


「ううん、待ってて、すぐ来るからね」

美貴が言った


甘酒が売っている所までは、そんなに遠くはない、美貴の事はよく見える距離だ

ちょっと離れるだけで、もの凄く不安になる


色んな事があったせいか、何があっても美貴だけはと、日々張りつめていたのかも知れない



美貴は俺といることで、毎日、心配で不安で、時には怖い思いもしてきたと思う

だけどこれからは、美貴にそんな思いをさせない

隆は、そう心に誓っていた


「お待たせ!」

美貴が両頬を真っ赤にして、隆のもとまで戻ってきた


「おお、ありがとう、寒かったか?」


「ううん、大丈夫、はい飲んで」

美貴は隆に両手で甘酒を渡した


「ん〜、うまい、体が温まる、ほら」

隆はちょっと飲んで美貴に手渡した


「本当だ、凄く美味しい、初めて飲んだ」

美貴がビックリしながら言った


「本当?初めてなの?」


「うん、私、日本のお正月って、あまり経験したことなくて・・・」

美貴が言った


「ハハ、甘酒は別にあ正月じゃなくても飲むけどね」

隆が言った


「へ〜そうなんだ、お節料理とかはお正月に食べるでしょ、それと一緒かと思った」

美貴が恥ずかしそうに言った


「えっ、もしかしてお節料理も食べた事ないの?」

隆が聞いた


「小さい頃に、食べた記憶があるかな?」

美貴が言った


「そっかぁ、じゃ明日はお節をたらふく食わしてやるよ・・・まぁ〜ばあさんが作るんだけどな」


「フフ、隆と付き合ってから、食べた事ないものばかりで楽しい」

美貴が言った


美貴の家は、お父さんが、全国にホテルを持つ大オーナーで、もの凄いお金持ち


何回か、誰もいない時に、美貴の家の中に入ったが、もの凄く大きいのなんのって

で、さっきも言ったけど、お正月は毎年海外なので、この時期日本にいる事は、15年ぶりだそうだ、

三姉妹の長女で、社長令嬢・・・


要は、本当のお嬢様ってわけ・・・

俺とは、すんでいる世界がまったく別、あまりそんな事は考えないようにしたけど

やはり不安だった



隆と美貴は、やっとお参りできる位置まで来た

二人は手を合わせ、列から離れた


「ねえ、ねえ、なにお願いした?」

美貴が隆に言った


「・・・」

隆が顔を真っ赤にしながら黙っている


「?」

美貴が不思議そうな顔で、隆の顔を見ている


「お前は、なにを、お願いしたの?」

隆が話をそらした


「え〜ずるい〜、まっいいか、私はお礼を言ったの」

美貴が言った


「はあ?」

隆が不思議そうな顔で、美貴に聞き返した


「去年、ハワイから帰って来てから、妹と二人で初詣したんだ、まぁ、一月の半ばだったけど、その時にお願いしたことがあって、それが叶ったからお礼を言ったの」

美貴が嬉しそうな顔で言った


「なに?そのお願いは?」

隆はドキドキしながら聞いた


「運命の人に出会えるように・・・」

美貴は恥ずかしそうに小さい声で言った


その瞬間、隆の顔が真っ赤になった


「で!隆は?」

美貴が恥ずかしさをぬぐい去るかのように、強気で言った


「う、運命って・・・俺?」

隆は顔を真っ赤にしながら自分を指差した


「もう!恥かしいから、行こう」

美貴は顔を赤らめながら、隆の手を引いた


このあと、おみくじを引いて祖母の家まで、手をつないで帰った

おみくじの結果は・・・俺が末吉と微妙〜な結果、美貴は大吉で手を叩いて喜んでいた

そんなかんだで、俺たちのお正月は終わった



あと、俺がお願いしたことは

美貴とずっと一緒にいられますようにって・・・


ありきたりで素朴なお願い

だけど・・・隆にとって、それが一番幸せ・・・




恥かしくて美貴には言えなかったけどね













更新の間隔が長くなってしまって申し訳ございません

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