少女との出逢い
ただただ立ち尽くしていた。
辺りを見渡たすと、ちょっと歩いた先に川がる。
川に近づき、のぞき込んでみると、
「うわあっっ!」
川の中には血だらけの男の子が映っていた。
ん??よく見てみると僕にそっくりじゃないか!?
僕はおもむろに頬に手を当ててみた。
ベトッ
いやな予感がした。
手を見てみると血だらけだった。
そうか、ここは天国だったのか。
そしてこの川が三途の川、か、、。
少し思い出した気がする。
「あの時僕は、ぼーっとしてて、車に轢かれたのかな、、、。たった15年の短い命だった、な、、。」
冷静にしているつもりだったが、自然と涙が出てくる。
やり残したことが多すぎる
まだ読んでない本や、読みかけの本が残ってる
将来は小説家になりたかった
親孝行すらしていない
僕だって、恋とか、、してみたかった、、、
もう、全部叶えることはできない。
何もかも分からなくなり、その場にへたり込んだ。
ぐすっ ぐす
辺りは静かで僕のすすり泣く声と川の流れる音しか聞こえなかった。
その時、微かだが誰かが居る足音がした。
僕は足音のする方へ顔をやると、遠くでお花摘みをしている女の子が見えた。
「っっ!!!あのおーっ!!!」
精一杯両手を大きく降り、気付いてもらえるように叫んだ。
「あの女の子に聞けば、、これからどうしたらいいか教えてくれるかも知れない」
女の子はようやく僕の合図に気づき走って来てくれた。
少女「はぁ、はぁ、遅くなってしまいました。ごめんなさ、、」
ドサッ
少女は摘んでいた花を落とし、驚いた様子で僕を見た。
僕「ど、どうしたんですか?」
少女「ダメ!」
僕「ダメ?何がなんですか?」
少女「あなたは、この死者の世界の者じゃない!早くここを立ち去って!!」
僕の頭はますます混乱していった。
僕「あの、どういうこと????」
少女「いい?よく聞いて。あなたは交通事故にあったの。そして死者の世界との境までやってきた。あなたが今居るココよ。」
僕「じゃあ、、、やっぱり僕死んだんだ、、、、。
」
少女「いいえ。最後まできいて!あなたはまだ死んでない!だから早くここを去らなければならない!私の言うとおりにして!」
え、、、僕はまだ死んでないって、、!?
僕「ど、どうしたらいいわけ??去るってどうやって!?君は誰なんだ!?」
少女「私は、この境目で死者を導く『おくりびと』よ。私が元の世界に導いてあげる。この川に沿って歩いていって。どれだけ時間がかかるか分からないけど、とにかく歩いて!あなたは歩くだけでいいわ!」
三途の川を沿って歩くだけ?
たったそれだけで僕は助かるのか!?
僕「う、うん。歩くだけ、、、。」
少女「ええ。歩いていくうちにあなたが入院している病室までたどり着くはずよ。ただ、、、、」
僕「ただ、、、?」
少女「ただ、後ろを振り返ってはダメ!!振り返ってしまえば、元の世界に戻ることはできない!わかった?」
後ろを振り返ってはダメ、、、
僕「わかった、、。君の名前は?」
少女「こんなときに名前??私は、、ソラ。
あなたは、颯汰でしょ?」
僕「え、なんで知ってるの?颯汰だけど、、、」
少女「それは内緒。早く!戻って!手遅れになる前に!」
少女はそう言って僕の背中を強く突き飛ばした。
ドンッ
少女「さようなら。」