昼休み

　俺は校舎の階段を飛ぶように駆け上る。　耳を澄ませば、後ろから数人の足音が追ってくる。

　息を絶え絶えに、しかし走る足は一向に緩めることなく、最上階まで昇りきる。　呼吸を整えていると、響いてくる。

　そう、奴らの足音がゆっくりと、だが確実に俺の方へ近づいてくるのが分かる。

　俺はすぐに最上階のさらに上、つまり屋上の扉を開き、ただのコンクリートの広がる屋上に転がり込む。

　荒く息を切らしながら、俺はブルーシートをフェンス付近に広げた。　はぁはぁ、これなら、もう、大丈夫だ。

　そうして膝に手を当て一息付いた刹那、笑い声と共に屋上の扉がゆっくりと開かれる。　入ってきた人数は四人。

　各々が、手に何かを持ちながら、俺の方へ近づいてくる。　しかし、俺はその場を離れない。

　そして彼らは、俺の前で止まると、全くためらいもせず、その、懐から、黒く光る・・・・・・

　水筒と弁当箱を取り出した。

　「おまたせー。場所取っといてくれてありがとう」

　「あぁ、ほら見ろ、特等席だぜ」

　「ありがとう」　「どうも」　「よくやった」

　ここまで感謝されると、急いだかいがあったな。　これで、気持ちよく昼飯が食べられる。

　そうして俺を含めた五人は、ブルーシートの上に座り、合掌して言う。

　「いただきます！」