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5話 毎日ずっと

本編戻ります

それからは同じ事の繰り返し。


メイドはサラがいたので着替えや湯浴みは助かった(湯浴みさせるな布で拭くだけにさせろという命令もあったらしいが、

メイド長達が説得してなくしたそう)


食事は1人で摂り、日中は刺繍や編み物などをするだけ。

(刺繍などを取り上げられそうになったが、

トーマス達が誤魔化してくれた)

貴族夫人達とこっそり手紙のやり取りをして

(こちらもトーマス達が頑張った)

刺繍や編み物の制作を頼まれ、

制作した物をトーマス達が夫人達にこっそりと送るよう手配する。

バザーの品物も侯爵家宛にこっそりと送ってもらって侯爵家のメイドがバザーに参加して売っているらしい。

今の所何も気づいていないが

バレないよう慎重にしているせいで

売り上げや夫人達に渡せる量も前より減っている。


外出はさせて貰えず、友人達の手紙も旦那様が送らないように手紙を書いたとか。

たまの公式行事に参加はするが、

旦那様はドレスはトーマス達にドレスを用意させるだけ。馬車に乗れば不機嫌さを隠さず、

嫌々エスコートし、1曲踊った後はわたくしを放置して貴族達の所に行く。


わたくしは壁の花になり、1人で過ごす。 


最初は久しぶりに再開した友人達と話をしていたが、

その姿を見た旦那様が不機嫌になり、

わたくしを連れて退場した後、

話をしないように、と気を遣って距離を取るようになった。


貴族達相手に何を話しているのか気になっていたが、どうやら

学園の同級生だった令息令嬢達や先輩後輩にカレアの無実を証明する為に協力をお願いしていたらしい。

親切な令嬢に聞かされて頭が痛かった。

(哀れみの目で見られた)


「新しい辺境伯当主は頭に藁が入っているのでは」

「与えてもらった猶予を無駄に使う愚か者」

「悪女を信じている頭に花が咲いている阿呆」

などと言われているが本人は周囲の視線など気にしない。


「息子に協力をして欲しいと言っている。

迷惑だ。

どうにかしてくれないか」

と言われた事もあるが、

わたくしが言っても怒るだけなのでどうしようもない。


公式行事には王族も参加するので

国王陛下達の視線も痛い。

(挨拶時に労られるのは救いではある)


最近は招待状が来るたびに憂鬱になり、胃も痛くなる。


そして3ヶ月後、

義弟ライナス様が貴族学園に入学する為に王都に向かった後は、

離れを使えと旦那様が命令し、離れに移り住む事になった。


ライナス様が使っていた物は物置に仕舞われ、

内装もわたくしが住むように整えられたが

カーテンの色は黒や茶色などの色合い。


わざわざ旦那様が来て「私の指示で整えた。お前にはお似合いだろう?

ライナスは長期休暇には帰って来ない。

私と会いたくないそうだからな。

文句はないだろう?

お前には地味な物がお似合いだ」


言いたい事だけ言って帰っていった。


「ふぅ、編み物や刺繍はバレていないわね。

それにしても、黒いカーテンなんてどこから調達したのかしら?

初めて見たわ」


「奥様!何呑気な事を!

離れですよココ!あのダンナ、よりにもよって奥様を・・・!

しかも何ですかこの内装!

ご実家のほうがマシでしたよ!」

サラはかなりご立腹のよう。 


「サラ、口調が乱れているわ。

ライナス様は帰ってこられなくなったけれど、

予想はしていたそうよ?

『自分がいなくなったら部屋は処分されるだろう。

そしてお義姉(ねえ)様を入れるだろう』って」


「そう言えば、お聞きしましたけど。

旦那の処分について話していた時に。

たしかライナス様は剣は余り得意ではないのでしたよね?

その代わりに戦略を立てたりするのが好きだとか。

旦那様は剣の才能はおありですが、

強引な所があるとか。

自分より剣で劣るライナス様を馬鹿にしていて、

あの女に騙された旦那様と衝突していたとか」

「剣の腕前は中の上と言っていたわ。

自分より、兄を含めて腕が上の人達が大勢いるとも。

でも離れで生活するほどまでになったのは、

旦那様が学園でわたくしを蔑ろにし始めてからよ。

ライナス様はカレアの本性に気がついていたから。

わたくしと話をするよう、カレアと離れるよう説得していたけれど、激怒した旦那様が模擬刀で怪我をさせたから、離れに住まわせる事にした、って

先代辺境伯から聞いたわ。

互いの誕生日パーティーにも呼ばせなかったそうよ」


互いに誕生日は両親だけ。


短気で人の話を自分の都合の良い事しか聞かない、戦略は立てるが自分の腕を過信しがちな兄と、

思慮深く、噂に惑わされずに戦略を立てたりする事が好きな弟。


剣の腕は兄が上だが、頭は弟の方が良い。

兄は交渉事は苦手で弟の方が得意。

兵站を軽視しがちな兄と重視する弟。

剣の腕があまり無い者を馬鹿にし、辞めてしまえと言う兄と

慰め、一緒に訓練しようと言う弟。


辺境騎士団員や臣下達は、後継の兄より弟の方が

相応しいのでは、と思うようになっていったらしい。

婚約者であるわたくしよりカレアと仲良くしていると噂が流れてきたのでより一層思いは強まっていたとも。

そんな時に、学園での騒動。


騎士団員や臣下達は嘆き、兄を見限った。

早く廃嫡して欲しいとも願った。

侯爵家の援助は無くなるだろうがこんな無能には勿体無い、長年お世話になった。後は自分達でなんとかする。

だが先代が病に倒れ執務が出来なくなり、

特例で兄が当主になる事は納得がいかなかった。

辞めたかった。

が、わたくしの思いや繋ぎの当主で成人後、弟が正式に当主になる事を知り納得し、使えてくれているそうだ。


「生活は変わらないわ。

ライナス様が成人したら当主を引き継がせて旦那様は罰を受ける。

土地改良技術の提供は完了して、農作地は少しずつ良くなってる。

少しの辛抱よ」






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