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2話 過去の事

リリアの過去

この結婚は、

実家であるカーナイト侯爵家が持っている土地改良技術を、土地が痩せていて環境が厳しい辺境伯家に伝える為になされたもの。

わたくしが6つの時に結ばれた。


元々はわたくしの母の実家の技術で、

母がカーナイト侯爵家に輿入れした時に伝えられた。そのおかげで作物が上手く育たなくなり、

領地の収入が激減して虫の息寸前だった侯爵家は息を吹き返した。


母は隣国の伯爵家出身で、わたくしが7歳の時に病で亡くなった。

その葬儀後すぐ父親が、幼い頃から親しかった公爵家出身の後妻と小さい子供を連れて来て

「新しいお母様と妹だ。仲良くするように」

と言った。

小さな子供は1歳年下。


(元々政略で愛は無かった。

父はわたくしやギルハートに興味もなかったし。

時々出掛けていたのは知っていたけれど・・・)

ギルハートは弟で後継。2つ下。


後妻は元々父の幼馴染だった。

父は後妻と婚約したかったそうだが母と婚約した。

後妻は別の公爵家に嫁入りしていたらしいが、

白い結婚だったとか。

離婚後は離れの屋敷にいたそうだが、

こっそりと抜け出して父と逢瀬を重ねていたと語っていた。

そしてカレアが産まれたのだと。


後妻と異母妹(いもうと)が来てからは、

わたくしはいない者して扱われた。

衣食住は一応保証されていたが最低限。

服やドレス、宝石はカレア優先。

わたくしのは古い物ばかり。

食事は豪華なモノを楽しそうに笑う父達を他所に質素なモノを1人黙々と食べていた。

部屋は奪われなかったが侍女は減らされサラ1人。

カレアには数人。

淑女教育は厳しい先生に変えさせられ、

少しでも間違えると鞭が振るわれた。

前の先生はカレアに教えるようになったが、

わたくしと違い、

興味があるもの(ダンスやピアノ)は率先して行うが、その他はやりたがらなくて困っていたとか。

(こんなもの勉強しなくてもいいじゃない!

と言って親2人共許可した)

カーテシーも合格点ギリギリ。

弟のギルハートはそんな家族を見たくなくて、

部屋で教育を受け、食事も部屋で摂っていた。

(2人は義姉に冷たいと怒っていた)


貴族学園に通い始めた時は1年生の間だけは楽しかった。だが2年生になりカレアが入学してからは、

「わたくし、お義姉(ねえ)さまに

嫌われていてるみたいで・・・」

とある事ない事吹き込み、

わたくしを悪女に仕立て上げて孤立させた。


曰く

・無視をする。

・厳しい教師をつけて

少しでも失敗すれば鞭を打つよう指示した。

・冷めて硬くなった食事を出す。

食べないと床にわざと捨てる。

・宝石やドレスも新しいモノは奪って

自分が着た古いモノを押し付ける。

・使用人に世話をしないよう命令する。

・カレアが苦手な事をわざと押し付けて出来ないと叱る。

・得意なものなどを自分の手柄として発表した、

などなど・・・

両親が注意しても聞く耳を持たない、

「母のおかげで持ち直したのに不貞をしていた。

その罰を受けてもらう」

なと言って両親を黙らせ、

散財をしているそうな。


実際に肌の手入れなどを抜き、

食事も少ししか食べず、

教師を脅して鞭を打たせた為に

肌はカサカサ、髪も艶がなく、

細身の身体で古いドレスを着てお茶会に行っていた為殆どの人間が信じ込んだ。


筆頭が王太子で側近達や、夫となった辺境伯も。

令嬢達も信じてしまった者達も一定数いて、

親かった友人達の中にも離れる者がいた。


怪しむ者達もいたが、

信じた令息や令嬢を説得しようとして

関係が壊れたり、

婚約を破棄してしまった者達もいた。

王太子の婚約者の令嬢はわたくしの友人で、

我が家の事をある程度把握していた為に

王太子と話をしようとして怒りを買い、

婚約を破棄された。


悪女に仕立て上げられて、味方も少ないわたくしと

違い、王太子達自称

『カレア親衛隊』に守られチヤホヤされるカレア。


調子に乗ったカレアはわざと自分に傷を作り、

モノをなくして登校し、親衛隊に

「お義姉(ねえ)さまに打たれて・・・」

「貰ったペンを捨てられて・・・」などと言い、

それを信じた親衛隊に「カレアに謝れ」

と言われ、カレアに謝る。

という日々を過ごしていた。


ただこの出来事は

卒業直前になって解決する。


ある日学園にカレアが

印章入りの家紋付きペンダントを持って来た。

それは当主に受け継がれるもので、

父にねだって持ち出した。

本来当主以外は付ける事を禁止されていて、

家族にも貸し出す事を禁止しているモノだった。

カレアはわたくしが父を脅して持ち出した事にしようとした。

そして王太子に

「お義姉(ねえ)さまがペンダントを持ち出し付けようとして、慌ててその手から奪って持ってきました」

と言い、ペンダントを入れた箱を開けて中を見せた。

王太子達は激怒。

わたくしを呼び出した。

「よりにもよって家紋のペンダントを持ち出すとは!重罪だぞ!?

この事は陛下に報告させてもらう!

お前は退学になり、貴族籍も剥奪になるだろう。

・・・ありがとうカレア。

ペンダントをよく守ってくれた。

君が持っていてくれ」

王太子にそう言われたカレアは舞い上がり、

「ありがとうございます殿下!

・・あの、箱の中を見ても?

よく見た事がないのです」

上目遣いで見上げたカレアに

王太子は「まあ少しならいいのではないか?

ただし箱を開けて見るだけだぞ?

触ってはいけないよ?」と許可を出した。


許可を貰ったカレアは

ペンダントを入れた箱を開ける。

金でできた綺麗なモノ。

「やっぱり綺麗。

殿下は触れてはいけないと言ったけれど、

少しはいいよね?」


触れてはいけないのに、それに触れた。

その瞬間ペンダントが光り、

「きゃああああ!!!」

と悲鳴が上がる。

皆がカレアを見ると、

「手がっ、手がぁぁ!痛いぃぃぃぃ!!!」


見ると右手が焼け爛れ、熱さと痛さで泣き喚くカレアが。


「どうした!?」「火傷を!?」

「誰か氷を持って来い!!」「医務室に!」

てんやわんやの大騒ぎ。

その後医務室に運ばれ手当を受けましたが、

酷い火傷だった為に痕が残った。


王太子達は大激怒してわたくしに詰め寄った。

「さっきのは何だ!?答えろ!!」と


だがわたくしはこう言った。

「カレアが火傷をしたのは、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からですわ。

ペンダントには、当主以外の者が悪用しない為に

悪用を防ぐ為に守りの魔法がかかっている。

あの中に、印章が入っているからですが。

普通当主以外が触ると弾かれるだけです。

その家の血を引いていない者が触れると、

火傷をします。

赤の他人に使われないように。

常識ですが」


わたくしがそう言うと王太子達は顔を顔を赤くし

「ふざけるな!

カレアが、侯爵家の血を引いていないだと!?」


「ええ、そうです。

・・・カレアは義母似でしたが、

父に似ている所は全くありません。

不思議に思っていましたが」

カレアの髪と瞳は義母と同じ金髪と蒼の瞳。

父は赤みがかったブラウンと翠の瞳なのだ。

(わたくしのシルバーブロンドの髪は母譲り)


その後王宮に呼び出された父、義母、カレアに

わたくし。

「貴族学園での騒ぎは知っているな?

そこなカレア嬢がカーナイト侯爵家の血を引いていないと判明したとか。

侯爵、何か知っているか?」

国王に問われた父は否定。

義母は青ざめていた。

「夫人は何か知っていそうだな?

・・・貴族牢に連れて行け」

衛兵に連れて行かれる義母。


そうして尋問の末に分かった事は、

カレアは義母が侯爵である父ではなく、

侯爵家専属の庭師との間に出来た子供、

という事実だった。

侯爵には妹がいて、学生時代にお茶会に招待された時に見かけた庭師に一目惚れして結ばれたかったが、叶わないと知った。

実家に戻った後こっそり会いに行き愛を伝えたら応えてくれた。

侯爵は隠れ蓑。いつも避妊薬を飲み事をしていた、

侯爵が帰った後で庭師と会っていた。

そして授かった子供を侯爵との子供と偽り、

贅沢をしたかった。

前妻の達は邪魔だった。


庭師に問いただした所認めた。

王やカレアの親衛隊(信じていなかったので見せた)が集まる前で、

親子鑑定の魔法を使い鑑定してもらい、

父とカレアの間に血縁関係がないと証明されて、

庭師とカレアの親子関係も証明した。


庭師は処刑。


義母は貴族籍を剥奪され、離婚したがその後行方不明に。

カレアはその後の王家の調査でこれまでの嘘がバレて修道院行き。

父はカレア達とわたくしを冷遇していた罪と、

赤の他人に唆されて当主の証を渡した罪で当主剥奪の上蟄居。

後継である弟が成人するまで伯爵位を持つ叔父が預かっている。


カレアに騙されていた王太子は、婚約者との婚約破棄もあって王位継承を剥奪。

『親衛隊』も殆どのものが廃嫡、貴族籍を抜かれる事になった。


侯爵妹は後妻を嫌っていたのでざまあと思ってる。

家の関係で仕方なく友人になっていたから。

ちょくちょく嫌味を言われたりしていて離れたかった。

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