表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

313/340

第8章320話:公爵家2


厳しい立場に追いやられているグラムスティード家。


なかでも、ラミゼアの抱える鬱屈(うっくつ)とした感情は、グラムスティード一族の中でも(ぐん)()いている。


なぜなら、ラミゼアの適性職が【錬金術師】だからだ。


庶民ならばスーパーエリートのような扱いを受ける錬金術師。


しかし貴族社会ではそうではない。


上流階級において錬金術師とは、政治には役立たず。ただポーションを作るのが上手いだけの薬師。


失敗職(しっぱいしょく)なのである。


しかも、ラミゼアにとって不幸だったのは、現在の貴族社会においては、他に突出(とっしゅつ)した錬金術師がいたことだ。


そう、ルチルである。


ルチルは錬金術においては、(まご)うことなき天才であり、彼女の錬成するアイテムは、時代さえをも変えうる。


錬金術師をバカにする貴族でも、ルチルの作る物には非常に注目しており、敬意を払っている。


しかし、名声をほしいままにするルチルに対して、ラミゼアの立場は最悪だった。


天才ルチルとは違い、ラミゼアは錬金術師の凡人。


彼女が作るアイテムは、()()の錬金術師よりは上ではあるものの、せいぜい秀才の域を出ないものだった。




『ルチルの劣化お嬢様』


『ルチルの下位互換』


『ルチルは天才、ラミゼアは凡才』




などと、口さがない者たちは言う。


ラミゼアは、同じ錬金術師の適性職を持つルチルと、たびたび比較され、そのたびに嘲笑されてきたのだ。


自分の適性が錬金術師だとわかった日から、ずっとラミゼアは、ルチルの引き立て役なのであった。


「ルチルだけが全てを手に入れて、私だけが全てを失う……」


自室のこもったラミゼアは、憎しみの炎を募らせる。


「許せない……」


ルチルを許せない。


許せない。許せない。


許せない……けど。


どうすることもできない。


たとえグラムスティード家が、ミアストーン家に戦争を仕掛けたって勝ち目がないからだ。


貴族も神殿も軍もグラムスティード家を味方しない。


詰んでいるのだ。


このまま何もできずに失脚していくのが、グラムスティード家に待ち受ける未来である。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者は他にもいくつか作品を書いております!

以下は追放ざまぁ系の最強チート作品です。なお本作同様、主人公の恋愛要素はありません↓

悪役貴族に転生した俺は、最強の『念力』使いになる

よろしければお読みください!!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ