地球外生命体との同居について
私は宇宙人と暮らしている。
宇宙人は言う。
私に対してイライラしている。
私のことがムカつく。
私がストレスの原因だ。
おはようという、それまで通じていた共通言語が、その日の朝は無視された。
代わりに放たれたレーザービームは私の心を確かに抉った。
私は宇宙人と友好的であろうと努力していたのだが、無言だが確かに存在していた筈の協定は破られ、私は自分の部屋で泣いた。どうすれば良いのかわからなかった。宇宙人に対して笑顔で接しようとすることは、もはや自分を殺すことだった。
かつて宇宙人に何度か殴られた時、私はもう十分に自分を殺したから、これ以上は嫌だった。
私は自分が何を感じ、どう思っていることすらわからない迷子になった。落ち着こうと思って本に手を伸ばす。途中で止まる。また手を伸ばす。途中で引っ込める。その繰り返し。
私の中で、どこかが壊れてしまったのかもしれない。だから中古のレコードプレイヤーみたいに、調子の狂ったことをしているのかも。
ある朝、私は戻した。
すると宇宙人は言った。
まともな場所で吐くこともできないのかと。
私にはよくわからなかった。
いや、わかったような気持ちにはなれた。ただ、わかりたくなかった。
狭い家の中で。
何億光年と離れた場所で、私は宇宙人と暮らしている。
時々ふと思う。
この場合、地球外生命体なのは一体どちらだろうと。