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地球外生命体との同居について

作者: 九藤 朋

 私は宇宙人と暮らしている。

 宇宙人は言う。

 私に対してイライラしている。

 私のことがムカつく。

 私がストレスの原因だ。


 おはようという、それまで通じていた共通言語が、その日の朝は無視された。

 代わりに放たれたレーザービームは私の心を確かに抉った。

 私は宇宙人と友好的であろうと努力していたのだが、無言だが確かに存在していた筈の協定は破られ、私は自分の部屋で泣いた。どうすれば良いのかわからなかった。宇宙人に対して笑顔で接しようとすることは、もはや自分を殺すことだった。

 かつて宇宙人に何度か殴られた時、私はもう十分に自分を殺したから、これ以上は嫌だった。

 私は自分が何を感じ、どう思っていることすらわからない迷子になった。落ち着こうと思って本に手を伸ばす。途中で止まる。また手を伸ばす。途中で引っ込める。その繰り返し。

 私の中で、どこかが壊れてしまったのかもしれない。だから中古のレコードプレイヤーみたいに、調子の狂ったことをしているのかも。


 ある朝、私は戻した。

 すると宇宙人は言った。

 まともな場所で吐くこともできないのかと。


 私にはよくわからなかった。

 いや、わかったような気持ちにはなれた。ただ、わかりたくなかった。


 狭い家の中で。

 何億光年と離れた場所で、私は宇宙人と暮らしている。

 時々ふと思う。

 この場合、地球外生命体なのは一体どちらだろうと。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 共通の言語があっても通じない相手。明らかに同国、同郷の人間でもあり得るのですもの、ましてや……。 宇宙人の謂は各々の解釈であろうと思います。 いくら苦しくとも悲しくとも、憤りを感じようとも…
[一言] 宇宙人とは地球外生命体だと考えがちですが、一歩地球を離れたら、わたし達もまた異邦人。異星の出身者と暮らす未来もいつか現実になる日が来るのでしょうか? 現在以上に意思の疎通が難しくなりそう。…
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