初めての友達
森の奥深く。人はなかなかそこまでは入っていかない。妖精のいたずらに合うからだとかいうけれど、一番大きな理由は魔女が済んでいるといわれているからだった。
「登れっかなぁ。よっと、うっわ、すっげー大量じゃん! 落として拾った方が早いな、えいっ」
「いったーーーっっ…なんで実が…」
「へっ!?」
「誰? …人がいるの?!」
「い、いるっ! …悪い、当てるつもりはなくて」
ひょいと木から落ちれば目の前の相手は固まってしまう。
「!! 君…その髪…眼も…」
「ん?」
何か変だっただろうか。伸びてきたら母さんが切ってくれるから変ってわけではないと思うけれど他の人に会ったことがないから比べることが出来ない。
「いや、えっと」
「けが、してねーか?」
「ああ、うん。大丈夫だよ」
「っててて。ひっかけちゃっちゃったや」
「大丈夫?!」
肘を見れば木の皮でかすって血が出ている。
「大丈夫大丈夫。これくらいほっとけば治るよ」
「でも血がそんなに…」
「大丈夫だってこれくらい。それより何してんだ? 散歩?」
「いや、えっと…街ってどっちかわかるかな?」
「街なら真逆。あっちだよ」
どうやら全然違う方へ歩いていたようだ。これだから慣れない森へは入らないように言われるんだな。
「あー…へへ、同じような木ばかりだから。今日曇ってて太陽の位置もわからないし」
「森に何しに来たんだ? 迷うってことは普段来ないんだろ?」
「父さんに飲ませる薬草を探しに来たんだ。流行り病にかかって寝込んでてね」
「どの薬草?」
「えっと、これなんだけど…分かるかな? 街じゃもうこれ以上手に入らないから自分で探せるかなって思って来たんだけど迷っちゃってどうしようもなくなってたんだ。これくらいじゃ足りなくて」
「ちょっとまってな」
「? うん」
「…よし、ついてきて」
「えっ? どこ行くの? むやみに中に入るとまた迷って…」
「大丈夫大丈夫。この辺は俺の庭みたいなもんだから」
そういいながら自分の背丈ほどもある草むらをかき分けながら進む。
「…君、この森に住んでるの?」
「ああ、もう少し奥に家があるんだ。そこに母さんと二人で暮らしてる」
「そ、そうなんだ」
好奇心できいてみたが聞いてはいけないことを聞いている気分になる。だってこの子はもしかしたら…。
「他の人に会ったことなくてさ。街には行くなって言われてるし、晴れてる日は外に出られないのもあるんだけど」
「晴れた日に、出られない?」
「腕とか顔とか、陽があたると赤くなってどろどろになってくんだ」
「そ、そうなんだ」
「お前もそういうことない?」
「僕は…ない、かな」
「いいなー。母さんも平気なんだ。鳥とか猫とかも平気なのになんで俺だけだめなんだろ」
「…それって…いや、でも…」
告げるべきなのだろうか。彼の言う所の母親は事情を隠しているようだし…。
「あった! ほら、これだろ?」
あれだけ探していたものが群生している。
「!! そう! これだよ!! なんで場所が分かったの?」
「匂い、かな」
「君、すごい、ね」
「君って呼ばれるのなんか変な感じするな…ウリカ」
「へ?」
「ウリカってんだ、俺」
「ウリカ…僕は…ステファン」
「ステファンか。よろしくな。俺、初めての友達だ。なんか嬉しいな」
えへへ、とウリカが嬉しそうに笑った。
「とも、だち…」
「そうだ。街が見えるとこまで連れてってやるよ」
「あ、ありがとう…そうだ、ウリカ怪我してたよね。このハンカチつかって」
何だか親切にされると親切を返したくなる、と聞いたことがあるけどまさにその気分だ。
「怪我?」
「ああ、さっき木から降りるときにひっかけてたから…あれ…?」
「あんなのすぐ治るよ。ほら、な?」
「これって…やっぱり…君は、」
それは十分な証拠だった。
だんだんかっこ付けだけの作業のようになってきました。
地の文苦手なんです。




