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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
狙われた希少スキル

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25.憂いは泡と消えて(レルミッド視点)

お読み頂き有り難う御座います。

石化したフォーナとレルミッド、いつの間にか入り込んだティムでお送り致します。

ちょっとホラーめいてるかもしれません。ご注意を。

「石化ってどーやって解くんだよボケが……!!」

「あ、はうううう」


 結局あの後ルディを何でかコレッデモンに送って、フォーナを……貸してくれたヤツの風呂に突っ込んで……単にびしょ濡れの石が派手な石造りの風呂に突っ立ってるだけになった。

 ……俺もずぶ濡れだがよお!! 石……フォーナもだが。

 改めて考えると、マジ何なんだこの状況!! キレてえ!


「魔力の流れが悪くなる……肩凝りみたいなモノですからねえ」

「だからって物理的に石になるかフツー!? 人為的に石!? どーやんだよ!?」

「フォーナは、あの者達に何かされたか覚えてませんか?」


 ……何でかティムがいつの間にか入り込んでやがるしよ。何か良い手段持ってんのか単に野次馬なのか!

 あー!! 気に入らねえな取り敢えず!! 追い出してーけど、それ所じゃねーし!!


「あのあの、ええと、ええと……ですね」

「はい深呼吸してください。ふうー、はあー」

「ふ、ふー、はー!」


 ティムの野郎の掛け声の後にフォーナが深呼吸してやがる……。石に深呼吸を強いるティム……。端からみたらおかしすぎるだろ。

 ……何だこの光景。


「思い出しましたか? 何か道具とか、薬を飲まされていませんか?」

「ええと、何か、粉末を……味は無かったんですが、とても口の中が乾いてしまうようなピカピカした粉でした」

「何だソレ」


 怪しすぎて意味が分からねー。まあ、意志疎通が出来ねーよーな粉で無くて良かったけどよ……。石も大概だが、未だ喋れるだけマシだ。

 ……本当に意味不明な事ばっか起きんな。


「ははあ、それ多分とある木の化石の粉です。普通、吸収は木属性ですが……魔力を吸い出されたんでしょうねえ。……益々巻き戻しの塔の知識っぽいですねえ」

「ハァ? ソレ何だ」


 心当たりが有んのか?


「んんー、何と言えば良いのか。

 まあ、アレッキアに話す前ですがレルミッドにもお教えしましょうか。

 知識集団の拵えた永久機関と言うか、残骸と言うかですかね」

「えっ、エーキュー機関って何ですか?」

「人知を超えた不思議な力ですかね」


 ザックリしてんなおい。


「まあ兎に角、其処って僕のお祖父様の故郷なんですよ」


 ……ホントかよ。コイツ、シレッと嘘吐きやがるしな……。

 コイツのじーちゃんって、あの王女のババアに騙された、未だ子供だったんだよな。……何か俺の変な呼ばれ方と似た名前の。


「……つまり、その学校みたいな塔にお前のじーちゃんが住んでて、フォーナの石化を解く手段が有るって事か?」

「いえ、石化させる手段は有ると思いますが、石化の解き方は塔に無いと思います」

「はわ!?」

「何でだよ!? そんなら言うな紛らわしい!!」


 何なんだよその中途半端なのは!!バカにしてんのか!? つか、マジどうでも良い!!


「関係ねえ情報要らねーだろ!!」

「いえ、アレッキアに聞かれた時にレルミッドに助力をお願いしようかと」

「ハァ?アレキちゃん?何でお前を助けなきゃなんねーんだよ」

「手酷い態度ですね。ですがお願いします。石化を解くのをお手伝いしますから」

「いやお前知らねえんだろ」

「知ってますよ……と言うか、分かりました」

「はへえ!?」

「ハァ!?」


 ちょ、ちょっと待てや。

 コイツ、俺らがあんだけアタフタしてんのに、分かりましただぁ!?


「ティム、テメェ……」

「おおお落ち着いてくださいレルミッドさん! ちょ、ちょっと魔力が激しくていらっしゃいますよ!!」

「知るか!!」


 ボチャボチャ風呂の水が揺れてっけど、どうでもいーだろうが!!


「いえいえちょっと待ってくださいレルミッド。言う機会を逃しただけです」

「嘘吐けや!! お前、アレキちゃん関係が面倒だから巻き込もうって腹だろーが!!」

「違いますよ」

「じゃあ何だよ!?」

「アレッキアは面倒なんじゃありません。怖いんですよ」

「ハァ!? マジな顔で言うことか!?」


 目茶苦茶不本意そうな顔すんな! つかあんだけシレッと相手しといてアレキちゃんが怖いとか嘘だろーが!! 確かにアレキちゃんとコトを構えるにゃ……目茶苦茶しんどそーだし、悪辣だが……。

 コイツもアレキちゃん並みに腹黒いだろ!!


「ええ? フォーナはアレッキアが怖いと思いませんか?」

「は、はわ!? は、はあ、はい……ええと、怖いです」

「ほら、君の愛しい婚約者様もこう言っておいでですよ」

「煩っせー! お前本気でイラつくヤツだな!!

 そのニコヤカつか、キバ剥いた笑い止めろや!イラつく!!」

「まあまあ、お平らに」

「レ、レルミッドさあん」


 くっそ!!


「気が付いたのは先程のフォーナのお話ですよ。恐らくですけど、兄上様や、アレッキア。そうですね、陛下や……騎士団なら君の叔父上のロナウド・アルヴィエなら見当が付いたと思いますよ」

「悪かったな、俺が気付かなくてよ!」


 つーか、コレ……。俺がコイツに何とかの塔の件で味方しねーと動かないヤツかよ!!

 て言うか塔の話はあの鳥の住み処と……クソボケブスの処刑の件で充分だろ!!

 アレも目茶苦茶嫌だったけどよ!


 癪に障る!!だが……。

 ……振り向いても石っつー……変な姿に変えられたフォーナは……。


「ティム」

「はい、レルミッド。年下の従弟に救いの手を差し伸べてくださいますか? 円滑な親戚付き合いは、持ちつ持たれつですよね?」

「ヌケヌケと……」


 仕方ねえ。本気で腹が立つが仕方ねえ。

 ……今コイツをブッ飛ばして叔父上様を呼びに行くってのも……考えなくもないが。

 ただ、コイツ、王子なんだよな……。此処でブチのめしたら……目茶苦茶怒られる所じゃ済まねえ。こーゆー事、アレキちゃんなら考えねーんだろーけどよ!!

 しかも、コイツの言った事を丸ごと信じらんねー。此処にいねールディと叔父上様にフォーナの石化の解き方が分かるとも限らねーし! アレキちゃんにはもっと頼りたかねえ!!

 ムカつく。ムカつくが!!


「その巻きまくった塔とやら関係で、アレキちゃんの邪魔をすりゃいーのかよ」

「あはは、『巻き戻しの塔』ですよ。適時適宜にお願いしようかと思っています」

「はわ……ティミーちゃん、危険な事なんですか……!? それなら止めてください! きっと石なりに生きて行けそうな気もします!!」

「フォーナは斜め上ですねえ。石として生きるなんて普通に無理ですよ。ねえ、レルミッド」


 コイツは何処までも陰険野郎だな……!!

 あークソボケ!! どの道拒否は出来ねー状況に持ち込みやがって!!

 あー、コイツと問答したくねー!! アレキちゃんと話す並みにイラつく!


「分かった! 分かったからフォーナを元の姿に戻せや!!」

「勿論です。フォーナは僕の大事な親しいお友達ですからね」

「どの口が言ってんだ? アァ?」

「はわあ!! レルミッドさん!? い、いけませんよそんなお言葉は!

 う、嬉しいです! 私達、親しいお友達ですものね! ティミーちゃん!!」


 フォーナは善人で可愛いとは思うよーになってきたけどよ。

 この……アホっぽい騙されっぷりはマジなんとかしてーな。何とかなるのかコレ。……何とかしねーと。


「水を染ませて癒すのが魔力障害への普通の治療なんですが、逆ですね。

 少し木の魔力を溶け混じらせて……水の魔力を取り去って停滞を起こさせるよう誘導させたのが、フォーナが飲んだ粉で、この石化を」

「良いから早くしろや!」


 こんなイライラしてんのに、グダグダ聞けるか!! 仕組みとかマジどうでもいーだろうが!!


「はい、ではレルミッド。フォーナの為に何か羽織るものをお願いします。お嫁入り前のご令嬢ですからね。婚約者とは言え、お湯……冷めちゃってますから水ですね。濡れて透けた肌を晒すのはちょっとね」

「……」


 ドツきてー。

 つっても、まあ確かにズブ濡れ……見たことあっけどな。

 ……あん時は、まあ、時効だろ。立場も違うし。


「顔赤いですよレルミッド」

「煩え!!」


 何か布転がってたからコレでいーだろ!!

 デケー……何か無駄にフカフカした体拭く布みたいだが。


「ではフォーナ、水に向かって……そうですね。回復系の魔術を放ってみてください。僕が余剰を吸収します」

「ハァ?」

「わ、分かりましたあ!」


 いや即信じていーのかよ!? つか、魔力停滞してて、治癒魔術!?


「ええいっ!!」

「バカ! ちったあティムを疑え!!」


 何かチカチカ光始めたし、ボコボコボコって……ハァ!? 水面泡立ってんじゃねーか!

 目茶苦茶泡立ち始めたぞ!?


「あ、良い感じですね」

「何なんだコレ!? 石鹸並みに泡立ってんぞ!?」

「まあまあ、落ち着いてくださいレルミッド」


 フォーナを覆い始めて……いや覆う!? 何で回復魔術で泡立つんだよ!? しかもただのお湯なのに、魔術合わせて泡立つ!? 目茶苦茶おかしいだろ!!


「ティムお前何の仕込みを」

「あ、解けてきましたね」


 ……泡が小さくなって……小さく? 何か、デカイ石が、泡が、小山になって……!?


「おいフォーナ!? フォーナ!」

「は、はわあ……」

「あ、ちょっとレルミッド。待ってください。未だ途中……」


 ぬっ、て。

 泡の中から……手が出てきた。

 フォーナの手、だけが。

 後、泡で。


「……」


 フツー、呪いとかなら、解けるの生身全部揃ってだろ?石化は泡に包まれて解けて、泡の中から手だけが飛び出て来るたあ……聞いてねえ!!

 解けるなら、もっと全体的に解けるべきだろ。何で部分的に、解けるんだよ……!?


「ギャアアアアアア!!」

「れ、レルミッドさん!? レルミッドさん!! きゃあああ!!レルミッドさんが、気絶を!! レルミッドさあん!! お気を確かに!」

「落ち着いてくださいフォーナ!?

 泡を振り回さないでください! 泡の中から出ないで!! 余計長く掛かる上に怖い事になりますから!!

 ああもう、このふたり、意外に手間が掛かるんですね!? 兄上様と師匠のご苦労が分かりましたよ!!」


 つか、お前に手間が掛かるとかマジ言われたくねえ……。

 あー、何か、目茶苦茶……ヤベエ。俺って泳げねーよなそーいや。


「レルミッド!! レルミッド!!ちょ、誰か!!即刻駆け付けてください! 僕の従兄が本気で死んでしまいます!! 折角話の通じる従兄を逃したくないし、兄上様に殺される所じゃ済まない!!」

「レルミッドさあああああん!!」


 お前と話が通じた事なんてねーだろ……。




フォーナとの出会いもちょっとホラーめいてましたね。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
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