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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
狙われた希少スキル

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8.救い主は悪役令嬢(ニック目線)

お読み頂き有難う御座います。

ニック目線でお送り致します今回、残酷表現が御座います。

 大して使い途も無い割に珍しいだけマイナー&マイナススキル狙いの犯人に、繁殖目的で拐われたボク、オルガニック・キュリナ。

 地下に閉じ込められて状態異常掛けられてる割に、ベラベラ喋れる謎な環境で、萌え供給としては最高だけど恋愛対象外の仲良しフォーナの姿で迫られて……ボクどーなっちゃうの!!


 ピンチなボクに……其処に現れた悪役令嬢、ブライトニア!!

 ボクには感じられないけど、床とか壁がガタピシ鳴ってる!!

 彼女が心のままに暴れたら、こんな場所はあっという間に瓦礫の山!!ソースは前世の乙女ゲームのバッドエンド!!

 巻き込まれて死んだ『ゲームの中のオルガニック・キュリナ』の姿を再現!?

 今、このボクが!?

 いやああああああ!!

 ボク、マジどうなっちゃうのおおおおおお!!


「はうわ……」


 気絶したい。いっそ気絶したい。よく見えないけどあああああ!!

 でも此処でボクが倒れては……瓦礫を避けることも出来ないで候!!

 メンタルだ……メンタルを正常に保つんだ……。ビークールぴええええ!!無理ぇ!!


「ここここ、こっちに来なさい!!」


 なりふり構わず偽フォーナがボクを盾に!!した感じが!!するんですけど!?

 ヒイイ!!冷たい感触が喉にイイイイイイ!!先端の尖った刃物のようなものが押し当てられている感じィイイイイイ!!

 よく見えないのがまた恐怖をガチそそるうううう!!


「こいつを殺しても良いのね!?殺されても付いて行かないって言ったものね!!責任を取ってもらうわ!!」

「言ってない!!ボクは命が大事なんだから!!生きるって大事!!」

「だったら私達の命乞いをあの化け物になさいよ!!」


 はぁ!?化け物!?

 いや、自分の行いを棚に上げてそりゃなくない!?ハッキシ言ってボクの身の危険は……思いっきり今ブライトニアから放たれてるけど!!漫画的にオーラとか見えたらシュンシュン鳴ってそうだけどね!?

 大体何でボクが誘拐犯の命乞いをせにゃならんの!?しかもブライトニアに!!

 それに、それに!!化け物呼ばわりが許せないよ!!

 ああもう腹立つな!!


「ブライトニアが化け物並みに強いのは認めるけど、誘拐なんてする方が化け物だよ!!つまり君ら!!」

「何だと!?俺らは国の為に戦って」

「余所の国の嫌がる人間を連れ去って、繁殖用の奴隷か家畜として使役する奴なんて化け物以上の卑劣でしょ!?違うんなら自分が体験してみなよ!!嬉しい訳無いでしょ!!」

「家畜か奴隷!?」

「ふざけんな撤回しろ!!」


 いや何その言い方!!当り前じゃない人拐いなんだから!!よく見えないけど凄い顔してそう!!

 いやでもあんまりにもあんまりでしょ!!人を騙して連れ去って、使役だよ!?

 ボクが言い返そうとした時、べちゃって音がした。


「え」

「そう、繁殖用の奴隷か……家畜」


 べちゃり、ぐちゃり。

 ぼとり、って……何か襟元に落ちたみたいですけどおおおお!?


「あたくしの、オルガニックをそんな風に……扱おうとしていたの」

「ぎゃ、ぎゃあああああ!!ぐまっ!!」


 ちょっと待って。

 え、コレ……この、控えめに言ってお肉をいや、柔らかめの固形物を踏んでるみたいな音は……。

 きょわいよおおおお!!


「ぴえええええ!?何してんのブライトニア!!あ痛っ!!」


 多分ボクを脅していたらしい刃物がチクって服の上から掠った!

 ……切れてはないだろうけど反射的に言っちゃった!


「オルガニック!?……お前ら、オルガニックを」


 ガタガタガタガタ、ゴトゴトギュチャグチャリ、って……振動音と、柔らかめの固形物が、叩かれてるっぽい音が……。


 もう、悲鳴すら聞こえない、けど。

 あかん、コレスプラッタなヤツだ。ホラゲとかで聞こえてくるタイプのリアルバージョンじゃにゃい!?


 ボクの耳、状態異常なんですよね?

 うん、何かこう……アレですよね!?残酷度が増してるんですよね必要以上にさああああ!?そーだと言ってええええ!!


「オルガニック」

「はひっ!?」


 ぴええ耳許でふにゃんな感触がするうううん。


「ああこんなに汚れてしまってオルガニック……」

「ひっ、ええん」


 何で、汚れてんの!?とか聴きたくナッシング!!

 いかん、あかんやつ!!


「こんな辛い目に遭って、あたくしを想ってくれたのね。アロンが言ったことは正しかったわ。安全に助けられて良かった」

「ひっあ、安全に……あんぜ、安全……安全!?」


 安全にって何ぞな。

 いやまあ、ボクは一応五体満足だね。確かにね。

 よく見えないけど、抱き締めてくるのはブライトニア。

 背中がベチョッとしてる感じに目を瞑れば……ヒイイメンタルが、メンタルがああああ!!

 あああ状態異常で臭いもよく分からんくて良かったああああ!!


「何だ薄着の皇女……ニックは見つかったのか?」


 あああイケメンな雰囲気のお声……がザラザラしてるうんん!!

 多分この言い方と抑揚の付け方はルディ様!間違いない!!


「るるるるルディ、ルディしゃま」

「……何と言うか、何をされた?視覚と嗅覚と……ふむ、麻痺か?酷いな色々と。ずぶ濡れではないか」

「ずぶ濡れ……ひろ……」


 雨に打たれても無いし、水を被った覚えはナッシングなんですが。

 ああ、どんなグロ仕様なんだろボク……。一周回って冷静になってきたで候。

 亡くなったであろう偽フォーナともひとりは……哀れだとは思うけど、そんだけ!ボクを酷い目に遭わせて結局殺そうとしたんだし!……うう、考えたく無い。


「あたくしのオルガニックに……ルディ、元締めは見つけて?」

「いや、逃げたようだぞ」


 あ、そなんだ……。悪者はさっすが足がお早ぁ……。

 そりゃま、こんだけ大騒ぎしてたら……此処に居ない奴は逃げるやね……。ぴえん、特に何も出来ないけどくやちい。


「……ぐちゃぐちゃにしてやるわ……」

「取り敢えず引き揚げだ。ニックの治療もせねばな」

「ああそうだったわオルガニック!!状態異常にされたのよね!?あたくしが分かる!?」

「そりゃま、強烈だから直ぐ分かったよ……」

「強烈!?あたくしに再会できたのがそんなに嬉しかったのね!?」

「いや……そうでなくてだよ」

「何でも良いが、騎士団の捜査が入るから早く退くんだぞニック。邪魔だ」

「あ、はい。スミマセン」


 ぴえん……ボク、被害者なんだけど……。

 いや、ハイ助けて貰ったのにグダグダとワガママですよね。そうですよね!現場検証必要ですよね!構ってる暇有りませんよね!他にも被害者居るんだし!

 しかし、捜査……異世界なのに科学捜査っぽいね。多分魔術の気配とか探るんだろうな……。そういうジャンルもカッコ良さそう……。脳を誤魔化す妄想が滾るなあ……。ううう、背中とお尻がビチャビチャするよう。


「オルガニック殿、此方をどうぞ」

「ええええ、ハイィ。ど、……何方様ですか?」


 何か上の方から大きな布っぽい物を渡されてしまった。何時の間にいらしたのかな何処の誰……。ルディ様が落ち着かれてるから多分味方だよね。


「騎士団の騎士だ。歩けんようだから運ばせるんだぞ」

「な、何から何まですみましぇん」


 ……いい歳のオッサンを担がせてすんません。うう、肩の筋肉逞しい。マッスル羨ましす。


「あっ、ブライトニア!オルガニックさんは見つかったの!?って、義兄さま!!何で目を塞ぐんですの!?」

「えー、より気持ち悪いからに決まってるじゃない」

「うわ、グロ。大丈夫かよニック」

「何ですって馬鹿兄貴!!あたくしのオルガニックが気持ち悪い訳が無いでしょう!!オルガニックはどんな姿でも愛しいわ!血塗れでも清らかで素敵なのよ!!」


 ……言わんといてよおおおお。

 後、世間の手垢に塗れた薄汚れアラサーに清らかって何よ!?無理だよ!!耐えられない!!ハズい!


「あっ、オイ!?ニック!!」


 担がれた騎士さんすみましぇん。

 ボクのメンタルは……限界だよ。スプラッターは二次元に限るし、血に弱いとかじゃなく……限度があるでよ。


 ああ、フォーナはどうなったんだろ……。散々範疇外だとか罵ってゴメンよう……。前から言ってたし事実だけど。

 後、人拐いした人達……出てきて罪を償った方がスプラッターにならなくて済むから、早くフォーナを返して……。

 多分レルミッドさんが怒り狂ったらルディ様もお手伝いして……やっぱり残酷度が上がりそう。

 でも、やっぱりおにゃのこだからボクみたいに……いや何の心配してんのボク。

 酷い目に遭ってる方を心配するべき……いや、ボクも結構酷い目に遭ってんにゃあ……。


「何だ、蝋燭野郎死んだの?

 丁度いいやショーン。お前、現場検証住んだらこの薄汚い部屋ごと埋めてやれば」

「いや死なれてませんから!!目茶苦茶寝息を立てられてますから!!聞こえてますのよ!!」

「お前が埋まりなさい馬鹿兄貴!!」

「狭い所でモメんな!!あー!!つかフォーナは何処だよ!?」

「魔力残滓が残っているようだから暫し待て、レルミッド」


 ……あ、何か解決に向かってるっぽい……。流石チートが揃うと違うわあん!!

 はううう。フォーナ、もう直ぐ助かるよ!良かったねえ!もう少し頑張るんだよ?


「オルガニック!!あたくしが看病するわね!!」

「ブライトニア、看病したことあるの!?」

「無いわ!!取り敢えずお風呂に一緒に入るの。オルガニックをあの忌々しい者共の血から清めなきゃ!」


 ……ボクの身が更に危ないかもしれない。……ああ、完全に気絶出来ない自分が超イヤ。


「そもそも、自分ひとりでお風呂に入るのも嫌がるじゃないの!駄目よブライトニア!具合の悪いひとに無理強いはいけないわ!」

「失礼ねアロン!番の体を見るのは合法よ!!」

「いや清めるって建前すら飛んだわね!?駄目よブライトニア!看病は他にもあるから!えーと、スープを食べさせて差し上げるとか!」


 ああ、アロンたん……。救いの女神アロンたん……。

 それ、ボクの喉が確実火傷するフラグだよ……。

 フォーナ……起きたら

「はわあ!ニック!大丈夫ですか!?看病はオールちゃんから代わりましたよ!」

 位ご都合主義でピンピンしてて欲しいな……。流石に妹よりは、マシな筈……。



見た目とメンタルと状態異常以外は無傷なようです。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます。 いざという時に頼りになるウサちゃんですが、助け方がヒーローではありませんね。 どちらかというと残虐悪役系なのですが、その見た目とのギャップも愛しい?です。 物理特…
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