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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
王の婚礼と周りの反応

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1.国王陛下の結婚を何故か知らされなかったんだけど

お読み頂き有り難う御座います。

何時もの通りユール公爵邸にいるアローディエンヌの前に、蝙蝠ウサギの悪役令嬢が突撃して参りました。

「知っていてアロン。ディマが近々結婚するらしいわね」

「知らなかったのだけれど!?」


 何で他国の皇太子であるブライトニアからそんな一大事を聞くのよ!!

 シアンディーヌの誕生日が過ぎて、1週間。今日もブライトニアは窓からアポ無し訪問中。

 ……しまった、危ないから止しなさいって言い忘れた。その場で言わないといけないのに、私ったら突発的な出来事に弱いわ!


「馬鹿兄貴は教えなかったのね。だから言いに来てやってよ。感謝なさい」

「あ、有り難うブライトニア。何で義兄さまは教えてくれないのかしら……。私の社交が絶望的だからかしら」


 成程、納得の理由しか思い当たらない。

 いや、義兄さまも社交……前に見たけどツンツンと言うか極寒だったわね。やれば出来るの?でも愛想良い義兄さまは全く予想できないわ。出来ない訳じゃ無さそうだけどやらないタイプだものね。

 でも私の社交は更に自信無いわ!!ああいう場に出る経験値がマイナス切ってるもの!悲しくなってくるわね。


「アロンの社交?アロン、まさか誰かに媚を売るの?必要ないから止めておいた方が良くてよ。そんなに誰かを構いたければあたくしを撫でなさい」

「いや、言い方……」


 相変わらず手触りの良いツインテールね……って思わず撫でてしまったわ。条件反射になりつつ有る……。何処かで手入れを受けているのかしら。あの4人の子供達かしらね。うーむ、大丈夫なのかしら。


「そうじゃなくてね、義兄さまが私を社交の場に出したくないのかって話よ」

「そんなもの、アロンを他の男の前に出したくないからでしょ」

「え、何でよ。他の殿方の前なんて結構出てるってば」


 自他共に引きこもり気味だとは認めるけど、其処まで人付き合い絶ってるって訳じゃないからね。

 対人恐怖症でも無いしなあ。どっちか言うと義兄さまの方が人嫌いの傾向有るわよね。


「どうせ結婚式に出席させたら、他の男の目に止まって不愉快だからでしょ。馬鹿兄貴は心が狭いもの」

「ええー?そりゃ義兄さまのお心は広くないけど、意味が分からないわ」


 他の殿方の目に止まるような秀でた所がない、背景に溶け込めるモブなんだし。

 そもそも他の出席者がた……義兄さまとルディ様とレルミッド様がおられる時点で、誰も私に目なんか止めないでしょう。あれ、そうだったら社交楽勝じゃない。なーんだ、モブで良かったわ。いえ、向上心が無いのは良くないわね。バッチリなマナーを観察しに行くことにしましょう。呼ばれれば、だけど。


「でも退屈よ、行くの?」

「人様の結婚式になんてことを。ブライトニア、もしかして私の結婚式2回もやったから嫌になってるの?御免なさいね」


 変なトラウマを作ってしまったかしら。


「どうして?暇でも無かったし参考になったわ。馬鹿兄貴が相手で無ければとても素敵だったわよ。アロンだけね。それに3回位あたくしも式を挙げる気だから」

「……オルガニックさんとの話し合いを重ねて、納得の上のお式が出来ると良いわね」


 絶対嫌がられそうな気配しかしないけどな……。


「そういえばブライトニアには招待状が来てるのね?」

「アロンの所は馬鹿兄貴が握りつぶしていそうね」

「有り得るわね……」

「どうするのアロン?バカ兄貴から招待状を奪う?何ならあたくし、手伝ってやってよ」


 腕をブンブン振り回さないで欲しいわ……。何で臨戦態勢取ってるのよ。


「いや何でよ。普通に聞くから。それに、もしも来てたら陛下の御親戚の末席に居させて頂いてるんだから、出席するわよ。ご招待が有ればだけど」


 思わず予防線張っちゃったけど、来ないかもしれない可能性有なのよね。出席をご遠慮くださいかもしれないわ。小さい子持ちだし……いや、巨大芋虫持ち?

 我ながら変な肩書きね……。いや、間違っちゃいないんだけど。

 最近シアンディーヌは無事に1歳になったけど、ひと回りお腹が大きくなった気がするのよね。乳離れも済んだことだし。そもそもキャベツと平行でお乳を飲ませて良かったのかしら。まあ、元気だからいいか。

 今裏返って、いや仰向けで寝てるけど、体長と腹囲を計っておくべきかしら。


「流石に芋虫のシアンディーヌ連れじゃ駄目かしらね」

「ディマは虫が好きなんでしょ。それに、この国章にもなってる芋虫が生まれたんなら余計に子連れで要求されてよ。政治利用の為に」

「いや、国章は蝶々よ……。でも、政治利用……されるのかしら」

「あら、それ以外無いでしょ。国外から来賓が来るのよ。見せびらかす絶好の機会じゃなくて?」


 そ、そうか……。巷では話題になっているのか……。

 シアンディーヌの存在が……。

 奇異の目で見られる、のかしら。嫌だわ。少し胃のあたりがシクシク痛んできた。

 きっと義兄さまはそういう点を考慮されて……るんでしょうね。ええ、多分。そういうマトモな理由も鑑みて私に何も言わないでおいでなんだわ。と言うかそういう流れでないと腹が立ってくるんだけれど。


「……ちょっと、いえ、大分嫌だわ。シアンディーヌが見世物になるなんて」

「王侯貴族に生まれたからには見世物の人生だものね。鬱陶しいわ」

「……ブライトニアでもそう思うのね」


 ふふん、って偉そうに鼻で笑う仕草が似合うわね……。

 肩から払い落としたツインテールが靡くのも華やかで可愛いし。


「あたくし、注目されるのには慣れていてよ。不安ならあたくしの背中にへばり付いて隠れる事を特別に許すわ。あたくしに侍って良いのはオルガニックとアロンだけなのよ。光栄に思いなさい」

「……そ、そう……。有難う……。有事の際には頼りにするわね……」

「そうよアロン、覚えておきなさい。あたくしを頼っていい贅沢な立場であることを!」


 いや、有難いけど。我ながら何でこんなに懐かれてるのかしら。本当に謎ね。

 て言うかオルガニックさんも強制参加なの、ご存知なのかしら。凄く言ってなさそうな気がするわ。揉めそう。


「えっと、お式にはオルガニックさんもお連れするの?」

「ええ、本当は見せたくないけれど公式の場だもの。他の国の奴等にあたくしの最愛の夫となるオルガニックを見せびらかしてやるわ」

「お、お忙しくないのかしら……お仕事とか」

「大丈夫よ。制定も残り3割位だもの。後は人材ね」

「……早くない?」


 制定?半年位しか経って無くない?え、他国を侵略するのってこんなスピーディーなの?て言うか侵略って終わってるの?

 2つの国がそんなにホイホイ負けていいの?……ブライトニア、軍隊を率いている訳では……率いてたのかしら?ノーマルにやってたのかしら?そもそもノーマルな侵略って、何かしら。


「ブライトニア、侵略ってえっと、大丈夫なの?そんな早々と……。危ない目に遭っているのでしょう?」

「まあそれなりよ。意外とあの善人ぶったグレゴリオと手下どもが役に立っているわ」

「いや言い方……」


 目茶苦茶コキ使われて御出ではないのかしら。急に心配になってきたな。


「そうだわアロン、あたくしの功績を讃えさせてやってよ。見に来なさい」

「え、何を?」

「勿論、現場に決まっていてよ。あたくしがオルガニックに捧げるオルガニックを称えるための彼の地!」


 目をキラキラさせて私の手を取る姿は可愛らしいのだけど、発言が物騒過ぎるわ。


「ご歓談中失礼致します、奥方様、ブライトニア様。シアンディーヌお嬢様が起きられました」

「んもー!」


 使用人がシアンディーヌを抱いて連れてきてくれたのね。

 今日の鳴き声は虫なのに牛みたいね……。


「あら、シアン。元気なようね」

「んもももんず……も!」


 ブライトニアが唸るシアンディーヌを受け取ってくれたわ。

 うん、美少女が巨大芋虫を抱えてるの……やっぱりシュールよね。何時になったら目が慣れるのかしら。親なのに。


「畏れながら、フィオール・ブライトニア皇太子殿下にお言付けをお預かりしております」

「許すわ、聞いてやってよ」


 鷹揚に頷く仕草にオーラが……。こう言うところは生まれながらのセレブって言うか皇女様オーラが凄いわよね。


「ソーレミタイナ大使館より、お忍びのお客様が御出で御座います」

「文句を言いに来た本国の役人なら、逆さ吊りで追い払って良くてよ」

「いや、仮にもお国の人を逆さ吊りにしちゃ駄目でしょ!ちょっと、未だ出ていっては駄目よ!!」


 この子はホントに目を離すと、とんだ暴君ぶりを発揮するのよね……。

 使用人も何事も無かったように頷いて……まさか実行する気!?


「来た方はどんな方なの?」

「変装しておられますが、褐色の肌に黒髪、薄い赤の瞳の年の頃14歳の少年で御座います、奥方様」


 ……マジか。

 予想以上にお早いお越しで……!!


「ああ、愚弟?」

「皇太子殿下とは名乗っておられませんが、ご本人かと」

「何で変装なんかしてるのかしら。愚かね」

「ブライトニア……貶さないで差し上げて」


 変装見破るのは兎も角ディスるのやめて差し上げて欲しいわ。

 しかし、此処までいらしたなら会うしかないな。

 流石に着替えなくとも良いでしょう。




アローディエンヌに恋する少年皇太子殿下、フェレギウス・ナサニエルが来ちゃいましたね。


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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
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