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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
蝙蝠ウサギと仲間達編

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19.法外なプレゼント!?要らないよおお!!(ニック目線)

お読み頂き有り難う御座います。

ニック目線です。あの子が参ります。

 ハァイ!此方コレッデモン宰相府!現場のニックです!

 お仕事内容は主に計算とか他の部署へのお使い!下っ端やってるよ!

 大変なお仕事で毎日ヘロヘロ!でも頑張っちゃう!だって、再就職だもん!

 毎日獣人の皆さんに獣人とお付き合いする心構えを解かれたり受け入れろと諭されたり……若干パワハラを感じなくも無いかな!


 そして、New!『当て馬か当て付けか!?兎に角理不尽なプロポーズされた』な出来事が加わったよ!

 しかも番さんがボクの飲み友かつ獣人さんのチュイ卿!ん、もう心証サ・イ・ア・ク!


 …………こんな修羅場に置かれた繊細なボクは、顔色もズズ黒く変わろうってもんさ。ストレスに弱っちいからね!

 嘘です!お絵描きして編み物してました!次はおニューの鎖帷子編む予定です!

 夜更かし楽すぃ!ストレスは趣味で発散しようね!うん!



 で、今日も今日とて書類をデリバリーなニックさ!此で道も覚えられたし、角に気を付けるようになったよ!いえい!

 ……いやホント、モブにぶつかったらラブラブ展開なんか待ってないんだよ。ふんだ!


「うはあああ」

「オルガニック殿、お疲れですね」


 おお、優しげなイケメンナイト様が現れた!苦難を乗り越えてユディトお姫様と結ばれたお幸せ全開なジルさんじゃないか。

 ………彼の境遇は涙ながらで聞けるけど、行いにちょい引いちゃったのは秘密さ!バレバレだろーけどね!ボク、顔に出るタイプのサポートキャラだから!

 地味にしこたま飲んでもテンションは変わらないし、チャプチャプなお腹になるだけで酔えないから記憶もバッチリさ!

 ……酒豪じゃーないよ。胃に貯める力が無くなってきたからそんな飲めないってば。


「所で、オルガニック殿。襲撃者が現れましたよ」

「えっ、危ないね。お疲れ様です」


 此処は基本的にお城だからセキュリティはバッチリなんだ。

 いやあ、安全な職場&宿舎って素晴らしいよね!

 此処にお勤め出来て良かったなあ!

 前は権威を嵩に来たボケ皇女達が我が物顔に押し入って邪魔しに来てたからねえ。


 まあ、鬼籍に入っちゃったのも大多数だから死者に文句を言うのも……いや、この非常時にはイラッとする心を押さえつけるの良かないよね!ふんだ!!


「ミーリヤ嬢にくっついて来られたようです」

「あれ?ルディ様のトコに行くんじゃなかったの?」

「そのルディ様に頼まれたらしいですよ」

「やだ、ミーリヤさんったら恋する乙女だねー。愛しの王子様に頼まれちゃーお断りしづらいよね!」

「偉いですよね。俺はユディトに何か頼まれてもある程度我儘と自我を通しますけどね」

「そ、そっかあ……」


 ………王族をお慕いしてる組(勝手に名付けたよ)もマチマチだよねえ。

 メルヘン要素が欲しいトコだけど、現実も大事だもんね。

 強く出れるメンタル強めの幼馴染み萌え。


「で、その連れてきた人が何を襲撃したの?」

「洗濯場だそうなんですよ。大事になる前にミーリヤ嬢が引っ捕らえましたが」

「な、なして洗濯場?まさか……」


 だ、誰かの洗濯物でも奪いに行ったってこと?マニアックにも程がないかな。

 二次元だけならお好きなキャラにハアハアしても、リアルの世界じゃ洗濯物パクっちゃいかんでしょ。犯罪だから!

 ボク、ちゃんとリアルと二次元を分けられるオタクだから!


「働いてる人間に多大なる恨みが募っての犯行だそうですよ」

「あ、そ、そっちかあ」

「下着泥棒も多いんですけど、そっちは大っぴらにドンパチやらないですし」

「多いんだ……。

 安全そうに見えるんだけどなあ。秩序は分からないように保たれてるんだねえ。守って貰ってる現実に感謝しなきゃ」

「騎士とか女官に変な夢見てるアホが内外問わず発生するんですよ。職業だけで妄想を押し付けられてもね。大体好きな人間以外の匂いに興奮要素は皆無だと思いませんか」


 優しげなお顔で、シレッとコメントに困る事を言い出すね!!


「………ボ、ボクは獣人さんじゃないから、匂いで興奮は分かんないかなー。

 その優しげな表情で首を捻らないで欲しいし、往来で猥談は止めようよ、ジルさん」

「室内でします?」

「あらあら、こんな所にいらしたの?ニックちゃん」


 あれ?柿みたいなオレンジの髪と色っぽい垂れ目が綺麗なルーニアさんじゃないか。

 彼女ともお話が合いそうだから、懇意にしたい所ではあるんだけど、彼女の番の黒猫卿が嫌がるんだよね。

 番って束縛激しいよね……。いや、獣人で無くともおにいたまのアロンたんへのラブラブ囲い込み加減は番束縛とニアリーイコールな感じだけど。

 何てったって幼少期からだそーだしね。

 いやいやそーじゃない。


「ルーニアさん、今日は。今日も綺麗ですね、白いドレスもお似合いで」

「あらあら、有り難う。ニックちゃんもお仕事を頑張っていて素敵ね」

「番同士で褒め殺し合いですか?お互いの番が拗ねますよ」

「あらあらフランジール卿ったら。アレは未だ番じゃないから」

「若気の至りで婚約したんだし、ブライトニアにはもっと若くてイケメンが押し寄せると思いますよ!」


 そうだよ。

 ボクにはね、ブライトニアの問題が重くヘビーにのし掛かっているのさ!悩み多きお年頃なの!!うえん!


「人当たりがいいおふたりが番にはツンデレなんですよね」

「ツンデレちゃうよ!」

「そうよ!」


 この世界、何故かツンデレは通じるんだよね!!言語体系おかしくにゃい!?和製英語は通じない事も有るのにん!


「あらあら私ったらいけない、死体掘りが死体になる所だったわ」


 ミイラ取りがミイラになるっていう慣用句と一緒なんだけど、ダイレクト過ぎやしないかな。

 いや、この辺砂漠無いしミイラは通じないんだけどね。でも広い世界に砂漠を見に行きたくない。ボク、乾燥の気になるお年頃だし。海のお近くに住みたい、若しくは海産物が食べられる範囲に住みたい派だから。

 あー、貝が食べたいなー。

 今日のご飯は城下町に貝のパスタを食べに行こうかなー。アサリとアオサノリ的な海草と合わせてあって、美味しいとこ見つけたんだよねー。

 まあ見た目はド真っ赤なアサリなんだけど、慣れりゃどってことないんだよ。鉄分が豊富そうでいいよね!

 貝の血にヘモグロビンは無いから赤いのはおかしい?ファンタジーアサリだから分かんないけどね!ボク、元神官だけど技術者だし!生物分かんない!


「フィオール・ブライトニア皇女が来ているの、ニックちゃん」

「……………」


 …………海産物に思いを馳せていたらとんでもない名前が耳に飛び込んできちまった………ボク、オルガニック・キュリナです。

 喉が思わずひゅんって鳴ったよ。


「まさか、洗濯場を襲ったのは」

「キエラ嬢を害する前にミーリヤが取り押さえたわ」

「大丈夫ですか、オルガニック殿」


 ……………ジルさんに両脇を抱えられて引き起こされる、ボクの情けなさを………通行人の皆さんに焼き付けてしまったよ。

 いや、ちょっと!!色々言いたいことが交錯しすぎて口から出ないんだけど!!

 頭の回転が空回ってる!!ボクのポンコツ!!


「にゃんで暴力行為に……」

「踏み込んで襲いかかる直前位ならよく有ることですよ」

「いやよく有っちゃ困るでしょ!!」

「番でなくても、人の伴侶に声を掛けるのはマナー違反ですよ」

「いや限度が有るでしょ!!」

「あらあら、獣人はやり過ぎ傾向だと報告が上がっているのよ、フランジール卿」


 そうなんだよ!それが言いたいの!

 やはり、ルーニアさんとはお話が合いそうだよ!


「兎に角……拘束したままじゃミーリヤが面倒がっているから、申し訳無いけれど来て欲しいそうよ」

「お手間をお掛けしました……」


 あの子は何をしているんだよ!!ふええん!!

 ブライトニアは謁見の間に連れていかれたってことで、駆け付ける事になってしまった!!

 あああ!色んな人にお詫びしなきゃいけないよ!!


「ウサギ姫が魔力操作があまり上手くなくて、直ぐに激昂される性格で良かったですね。弱点を無くされればユディトの出番でしか止められないでしょうし」

「………待って待って。直ぐにキレなくて魔力操作に長けてればミーリヤさんに止められなかったってこと!?目茶苦茶強いんだよね!?」

「あらあら、勿論私達4人の中じゃ天才的に強いわ」


 よ、良かった。流石にブライトニアが強いったってね。

 ……いや、怪我して欲しい訳じゃないよ!止めて頂ける抑止力が有ると安心なだけでね!

 ……他力本願にも程があるけど、ボクは無力なモブ野郎なんだよ!!……防具でも開発したいね。何か別の面からでもお役に立たなきゃ。


「でも、ウサちゃんに純粋に真っ向から勝てるのは姫様か、レルミッドちゃん、ユール公爵位でしょうね」


 …………スペシャルなチート………って、事っすね。

 ボク、スンゲー御方達とお知り合いだなあ。おにいたまは却下されるだろーけど!!ヒイイ、怖いよう!!

 どうかその組み合わせで争いが起こりませんように!!

 おにいたまとブライトニア、レルミッドさんは頻繁にいがみあってそーだけど!!ヒイイン、現実から目を背けたい!


「ルディ様も搦め手ならいけるのでは?」

「あらあら、そもそも戦われないでしょう」

「た、確かに……」


 そもそもルディ様の武器って何なんだろ。

 死骸がなんちゃらってのは、命の危機を感じるから大人の都合でスルーしといたよ!モブの聞きたがりはいけないよ!ただでさえボクは死亡フラグたんまりなんだからね!

 ゲームでもバトルスチル担当はサジュ君だったもんね。いや、おねえたまは燃やす側担当しておられましたけどお!うわん!!怖いよう!


 って、グダグダ考えてると幾ら広くても着いたね。

 此処の謁見室は扉が日替わりで変わるらしーんだよ。

 どーゆーメカニズムなのかな。ファンタジーだよね。

 魔術適正が自滅方向へマイナスだから、サッパリ分かんにゃいけどね!


 そそっとノックなしにルーニアさんが扉を開けてくれたから、そそっと足音を忍ばせて……いや、普通に靴音は鳴るね。訓練されてないモブに足音消すとか無理ゲー。


 ユディトお姫様の裏手に出る扉だったみたい。

 スゲーバックヤードに来ちゃったな。これ、大丈夫なの!?

 ジルさんも全く動じてないけど、関係者じゃないよボク!!良いの!?場違いさ炸裂だよ!?怖いよう!!

 ………うう。で、でもそれ所じゃないよね。


 えっと、水色の髪を弛くハーフアップにした妖精の女王様みたいな雰囲気は……うん、今日も美しいユディトお姫様だ。

 ルーニアさんが目配せしたら、鷹揚に頷かれてる。


 お、あの薄茶から黒のグラデなツインテはブライトニアだ。一応、拘束はされてないみたい。……今は落ち着いてるかな?珍しく裾の長い踝丈スカートのカーキ色なワンピースだね。アロンたんのお洋服の雰囲気に似てる気するなあ。着る子が違うと目茶苦茶雰囲気違うけどね。

 後ろにミーリヤさんも居るね。いやー、相変わらず美人さんだ。


「それに、ルーザーズに海産物系の獣人を住まわせれば良いのよ。見た目が個性的だから大概迫害されているでしょう」

「まー、いい案では有るよな、そこは上手く行くかどうかは不明だけれど」

「上手く行かせてよ。オルガニックのお城を建てる場所だもの。ちゃんと制圧して征服見せるわ」

「お前、即位もしてねーのに他国制圧とか出来んの?て言うかその歳でお城を貢ぎたいの?」


 ……………ボク、オルガニック・キュリナ。

 とんでもねー場でとんでもねー事を聞かされています。


 セイフク?オシロ?


 オルガニックのお城って何!?一国一城の主的な意味で、マイホームをプレゼントしてくれるってこと!?

 いいいい家を!?こ、困るよおおお!!ティーンエイジャーに家を貢がせるアラサーって何処のクズストーリーの始まりなの!?


「オルガニックはお花が好きだからそういう造形にしようと思うの」

「凝った造りだと修復と整備が大変だぞ」

「夢がなくてよ、ユディト」

「まぁぁ、気持ちはぁ分かるけどぉ。クリームケーキみたいなぁお城でぇ、愛しい人を閉じ込めたいってぇのはぁ」

「ミーリヤの方が話が通じるようね」

「でもぉ姫様のご意見は最もよぉ。内装に凝ってぇ、外観はお花の色合いにぃした方がぁ良いわぁ」

「花の形の天蓋が良くてよ」

「それは可愛いな、私も普通に欲しいわ」


 ………横のおふたりの視線がどんどん気の毒にってオーラを増してくし、顔汗が止まらないんだけど!!

 お城って、お城!?お城!?

 しかも、他国を征服して建てるお城おおお!?この、モブ野郎なボクに、お城!?

 い、要らん要らん要らん!お城なんて要らないよおおおお!!


折り重なる花の天蓋……見てみたいです。

因みに北の魔王と悪魔の四騎士中、ルーニアだけはメルヘンチックが好みでは有りません。

ブライトニアはメルヘンチックが好きですし、メルヘンチックに包まれたニックを見たいと切望しております。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新、ありがとうございます。 フロプシーの空想の世界では、オスカル様の顔でバックに薔薇を背負うニック?なのかな? 一応攻略キャラなので、モブよりはイケメンでしょうし、性格が乙女キャラ?なので…
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