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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
王城では穏やかに

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突然のご訪問は滅茶苦茶ビビるよ!(ニック目線)

お読み頂き有難う御座います。

義兄さまはとある場所にアポ無し突撃してきました。

「……おい、アレキちゃんよ」

「俺に用があるなら、有益な情報か金銭を差し出しなよ、鳥番」

「俺にカツアゲたあいい度胸だな、オイ」


 ぴええええ! ボクの前でお争いにならいでくだちいいいい!

 と、叫ぶ気力も無い無力な、かなちいモブ系男子なボクはニック!

 何でも……あっ、此処は旧ネテイレバ、今はブライトニアが皇帝となり、何故かボクが皇帝の伴侶となりヒイコラいいながら治める国だよ。

 何でか知らないけど、今日はおにいたまとレルミッドさんが来てるよ! 

 このふたりは移動魔術でビュンっと瞬間移動出来ちゃうチートだから、神出鬼没過ぎて心臓縮むんだよねん……。

 自宅……とは思いたくないメルヒェンなお城からよっこいせって出てきたら、このジャンルは違えどキラキラ美形なおふたりが、朝日に輝く湖眺めていがみ合ってるから恐ろしーてしゃーにゃーよ。


「な、何故に此方にお出でに……? い、イラシャイマセ……?」

「蝋燭野郎、聞きたくないけど来てやったよ」

「ひ、ヒイィィィ!? あっつ! な、何の御用で御座いましょーか!?」


 おにいたまの火花が……チラチラいや、結構殺意に満ちた火花がボクをザクザク刺してくる! 痛い! 火傷は結構痛い!


「お前も異郷か魔境の記憶が有るんだろ。前世混じり」

「えっ……、あ、有ります?」


 まさかおにいたまのお口から、ボクの前世にご興味を持たれるとは?

 ……もしかしなくとも、アロンたん関連だよね?

 でもでもー、アロンたんの事って……ゲーム内と出会ってからの知識しか無いんだよね。当たり前だけど。多分おにいたまの方がご存知だろーにゃあ……。うう、誰よりも推しに詳しくなくなってしまい、悲しいでヤンス。


 あ、前世のアロンたんの事? でも、お知り合いじゃないから、マジ知らないしにゃあ……。そもそも、前世のボクの性格……はそのままだけど、職とか本名すらうろ覚えザンスよ。ハイパーな脳ミソも備え付け無いし。

 前世知識チート……儚き夢で御座った……。多分前世のアロンたんもきゃんわゆかったんだろーねえ。ご職業は何だったのかにゃあ。教育者とか、あ、意表を突いて警察とか? 


「予知能力とやらは前世知識?」

「は、ハイ。そうです……。もうな、無いので……お役には立ちにくいかと……」


 やんべえ。眼の前にアロンたん強火いや、業火勢であらせられるおにいたまがいらしたよ。要らん妄想はサッと止めないと死んじまうでよ。


「ふーん、やっぱり役立たず」

「言い方悪ィなオイ」

「有難うレルミッドさん。事実だから……」


 しかし、だろうね? みたいなリアクションだから期待せずにいらしたんだろうね。おにいたま……。


「ティミーの父親の話は聞いた?」

「ティミーの、父親ですか? いえ、その情報は……特に存じ上げません……」


 知ってたら多分ティミーが嬉々としてボクを脅しに来ると思うんだよね。仲良い方だとは思うけど、そーゆーの容赦ない系王子だって拙者知ってる。


「ハァ? フロプシーが人外魔境から来たとか言ってた奴かよ……。流石にティムの親父が人外はねーだろ」

「ティミーはラッコの獣人だから立派に人外だろ」

「そーゆー話じゃ無かっただろーがよ」


 ティミー……。第二王子ティム・ジニー・ドゥッカーノ。

 あの子……幼少期から知ってるけど、まーまー謎多くて最近知った事にビックリしどおし人ランキング上位に入るよね……。

 いや、『ゲームの登場人物』全員がそーかもしんない。そーいや、オルガニック(ボク)の今の経歴も大分イレギュラーだよねえ。

 そもそも、眼の前のレルミッドさんとか敬語キャラだったからね……。


 ゲームの強制力は消えたかもだけど、何かの力は未だ働いてるかも……かも?

 そもそも異世界転生しちゃう時点で摩訶不思議だもんね。

 ……ん? 異世界……魔境?


「おにいたまは……ティミーのお父さんがいせ……魔境に居るとお考えですか?」

「此処まで誰の記憶にも記録にないと、そうなるだろ」

「ハァ? 魔境? ティムの親父が違う世界の人間? ……それ、可能なのか?」

「前世混じりが居るなら、魔境に住む人間と婚姻した奴も居る可能性が有るだろ」


 正直リアル前世は思い出せないけど、ゲームの方なら……。1か2だよね。今ボクの居る世界観は……4の後だろーから。

 ティミーのお母さんって、ティナさんってお名前だよね。で、今は王妃様のジーアさんと同じく白い髪に赤い目。そんなキャラ、現代日本ベースの1と2に居たかなあ。攻略キャラ……思い出せる範囲で微妙にカラーリング違う気がするなあ。


「ティナ様でなく、ティミーに似てる奴を思い出せ」

「ティミーに似てる……奴をですか」


 そーいや、ティミーってば痩せて背が伸びてから、何故か漫画みたいな消えない傷拵えてるし。余計顔怖いなあと思ったんだよねえ。

 幼気な怖さが薄れて薄暗くヤベェ怖さが増えた感じ?


 ……じゃなくてだよ。

 うーん、眼鏡オフイベントのしかめっ面に似てる人が居たな……。眼鏡キャラに有りがちなやつ。

 そーいや、この世界眼鏡っ子居ないよね。需要無い攻略キャラのボクですらも目だけは良いんだよね……。


「椎名会長……」

「シーナ会長? 誰だそれ。どっかの商会の会長か?」

「いえ、学校の……ヒイィィィ顔怖い! どうしたのレルミッドさん! ボク何の失言をやらかしたのおおおお!?」


 近来稀に見る闇堕ち顔だったよおおお!? レアスチルと言えば聞こえいいけど、コレはリアルなアカンやつ!


「コレ如きの悪人面如きで煩いなあ。本当に臆病で大袈裟。とっとと言えよ」


 おにいたまは通常運転が過ぎるよねえ……。いや、そりゃ驚かれないだろーけど……。


「あぁ……ニック悪ィ……。あの女神学園がムカ付きすぎて思い出したらよぉ……」

「迷惑な奴」

「お前も一端だろーが!」


 学校……。女神学園を思い出されたのかにゃ?

 おおなんと、それは…………悪役令嬢と魔法使いとのラブロマンスが有ったとか……。無いよね。繰り広げてにゃーいよね。通った人が総出で碌でもない思い出しか無いみたいだもんね。

 そもそもおにいたまはアロンたん、レルミッドさんは次回作のヒロイン(フォーナ)と結ばれたもんね。おお、まさかこの世界ではイレギュラーの神が爆笑しておられるのか……。居そうで怖いよ。


「それで? その、シーナとかいう奴は何者?」

「あのおにいたま、その、ボクの記憶が間違ってるかもしれませんが……」

「間違えてるか確認のしようがないけど、致命的に不愉快なら燃やすから早くしろ」

「ピエエエエ! お、お慈悲をおおおお!」

「脅すな」


 レルミッドさん居ないと、ボクマジでこんがりな粉にされて湖に投げ込まれそうだよお……。


「め、女神が出てくる……別の世界の、お話なんですがあ……」

「人外魔境だっけか? フロプシーが言ってたな」

「な、何と……」


 ……いや、ブライトニアどーゆー解釈……。で、でもまあここの人以外の住んでる所……いや、魔境は酷いよね。


「どの女神だよ」

「こ、恋を愛する女神像です」

「アレ、別の世界にものさばってんのか? マジかよ危ねーな」

「増えりゃ埋めれば? ショーンにでもさせりゃいいしどうでもいい」

「お前な……」

「そ、それでそのお話に……ちょっとティミー似なイケメン……美男子さんがおられます」

「どの辺が似てんだ?」

「眉毛とおでことか、瞼の厚い感じとか、濃い緑の瞳とか……背格好も、似てますね」


 椎名会長の公式ガイドブックの身長は……流石に覚えてないな……。細かいんだよアレ。ゲームとは言え、余所の男子の身長とか抜けちゃってたよ……。おにゃのこは覚えてるけど……此処で悪役令嬢アリアたんの身長152cmやらサポートキャラのララたんの身長151cm披露してもしゃーないもんね……。

 でも比較するにしてもティミー、身長幾つくらいなんだろ……。ボクとレルミッドさんよか高く、おにいたまやルディ様よか小さいみたいな……、感じだよね。つか、この世界って背の高い男子多くね? 獣人さんも闊歩するコレッデモンだと余計にちみっちゃいよボク……。格差社会に負けたくないけどメゲちゃう。


「見た目だけか……。確たる何かは無いと。

 役立たず」

「ぴえ……」

「それで、何で俺を連れてきたコラ」

「さあ。じゃあ、勝手に帰れよ」


 ……便利だなあ移動魔術。レルミッドさんが言い返す前にお帰りになられたよおにいたま……。早えええ。


「……レルミッドさん、ウチにお泊りされます? 昨日焼いたチーズケーキとクラッカーとナッツクッキーが有るんだけど……。お夕飯はお肉がいいかな、若いし」

「いやケーキって……。しかもお前が飯作んのかよ」

「一応ご飯係さんしてくれてる使用人さん居るけど、今日はお子さんの看病でいないんだよね。

 ふむむ食べ盛り男子……。生姜焼きとか、いや揚げ物かな。それとも香辛料煮……」

「お前、何でも出来るな……」

「わあ、褒められた! 有難うね、レルミッドさん! でも、明日はコレッデモンで多分モミクチャにご馳走になれると思うよ!」

「急に元気だなお前……」


 いやあ、若い男の子の食いっぷりは……まあ、普通だったね。ブライトニアの子分ちゃん達(呼び方変えたいのに頑なに断られてるよ)も食べるからね……。謎アットホーム空間だね……。


「旨え。お前飯屋やれんじゃねえのか」

「原価計算とか経営がムズいかなあ……」

「誰か雇えや」

「レルミッド、オルガニックはあたくしの伴侶なのよ。グウタラしてくれるよう勧めなさい」

「ニックがグウタラしてたら、永遠に飯に有りつけねえだろーが」


 ……た、確かに……。

 ハラハラ見てる子分ちゃん達も、イマイチ調理センスが……なんというか、残念気味でね……。いや、貴族だったのに頑張ってるんだけど……。

 ちょこちょこっとした、食堂も有るんだけどね。

 まだまだ発展途上なんだよね……。この旧ネテイレバ現ソーレミタイナ飛び地国……。そーいや国名未だ付いてないね。


 でもまあ、コレでレルミッドさんのおもてなしは出来たことだし……安心してスヤスヤお休みしてたら……。


 何でかボクは歩道橋にいたよ。


 ……何で?


「……この個性的な歩道橋、見覚え有るけど……」


 でも、足を踏み入れたことは無い筈だよ、ね?

 だって……。


「此処って、1か2の女神学園へ向かう通学路から見える歩道橋……だよね?」


 背景に映ってるけど現場にはない場所……。


「あの人、コス?」

「コラボ服じゃない?」


 ……え、ボクの格好……。いや、滅茶苦茶現地服とは違うタイプ……つまり異世界仕様な自作フード付きの自作服!

 いや、ボクってモブ系だから、そりゃーそこまで奇抜な色味じゃないけど……! 奇抜なんてオサレは、似合いもせんのにそんなの着れないのじゃよ。でも、イキったパッション溢れてたのと、死亡フラグ避けに防御に振ろうと思ったから鉄板とか入ってるんだよ! 怪しすぎる! 思いっきり……お近くイベもないのに、往来で何か手作りコス衣装着てる人じゃん……!

 ひええええ!


「あわわわ……!」

「キャアアア!」

「え?」


 ボクが身の置きどころに困り果ててアワアワしてたら、女の子が落ちたぞー! って、聞こえた。


 お、女の子……!?


 慌てて声のした方を見たら……。


 ボクのコス衣装的な自作服も真っ青な、異世界的水色ドレスを着た、白い髪の女の子が……。

 お顔は見えないけど、ありゃあ美人さんのオーラ満載。

 しかも、見覚えのある眼鏡のイケメンの腕に、抱えられていたよ。

 ひょーおー、絵になるゥ! ……じゃなくてだよ。


「シンデレラの王子様……。椎名ニトシじゃん……」


 メインビジュアルやパッケージの、一番目立ったところにいるメインヒーロー。周りの人に悪いけど、ピントが何故かくっきりフォーカスされてる……。アレがイケメンヒーロー力ってやつ?

 冗談抜きで此処、2の世界だ……。

 何でまた……ボクは異世界ジャンプを!? え、夢だよね?



ゲームのメインヒーローが置き去りにされがちな話です…。

椎名会長の名前はシンデレラの鐘から取ってます。10プラス2でトニーと迷いましたが、どっかで使ってる気がしたので却下しました。

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矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
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