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8話 レベル上げは順調かな?

さあ、改めて出発だ。

テディには、スライムやゴブリンが多そうな場所を聞いてみたら、それぞれ巣のようなものがあるらしい。まずはスライムのほうに向かってもらった。

テディは獣の時と同じように軽快に荷車を引いて走っている。しかし、獣の時と違って、サイズが合っていない感じだ。

「テディ、二足になって走り辛いとか無い?」

気になって聞いてみた。

「全く問題ないよ!むしろ、視界が高くなって走りやすいかな!」

テディが元気に答える。獣の時は咥えていたから、視点が低かったのか。今は引き棒を手で持っている。むしろ人型になって快適だと答えたテディに、そんなものかと思った。

俺の考え的には、人は脆弱で、獣たちの方がバランスに優れていると思うのだが、なぜか、人型に憧れている奴は多い。人が作り出した話で、人の都合によってそうなのだろうなどと思っていたが、実際その世界に来てみると、人や獣にかかわらず、異種族にあこがれを抱いているということなのかもしれないと、考え直した。

そうか、俺も獣の姿にあこがれを抱いている。逞しい熊もいいが、しなやかな狼もかっこいい。せっかく異世界なのだから、ドラゴンや、ペガサス、鳥類も非常に憧れる。正直、人以外であればなんにでも・・・というわけでもないが、様々な種族、そのどれもが魅力的だ。変身できる呪文などないのだろうか・・・どっかで聞くことが出来ないものだろうか・・・そうか、行く先々でいろいろ聞くことが出来れば、楽しいかもしれない。そうなると、メモが欲しいところだな。やはり、どこかで人里に寄ることも視野に入れなければ。紙があるかはわからないが・・・

物思いにふけっていると、目的地付近に到着したようで、テディが速度を緩める。

「カナメ!大体ここら辺が、スライムの巣の近くだよ!」

着いた場所は、草原と森を足して二で割ったような、まあ、密集していないという感じだが、開いた場所もあるみたいな、そんな場所だった。

見れば、スライムらしきものがちょこちょこ見える。群生とまではいかないが、確かに多いようだ。

見た目は、でっかいゼリーグミみたいな、コロコロした感じだ。色は、緑や青っぽいものが多く、紫、赤、黄色など、実に様々だった。

「この先にスライムの巣があるんだ。このあたりだと、程よくいるはずだよ。僕らが小さい頃は、この辺でレベル上げをするんだ。」

テディが説明してくれる。

「テディもここでレベル上げしたのか?」

「もちろん!ここで10くらいレベル上げして、次にゴブリンのところに行くんだ。」

「なるほど。そういうの聞けると、りりィ達にも使えて助かる。ありがとうテディ。」

思わぬ情報に破顔して礼を言うと、テディは照れたような顔をして俯いた。

ん~この調子がずっとかぁ。今のところ、答える気が無いのだから、罪悪感が半端ない。

「リリィ、ミディ、マリス!スライム狩りつくしてきて。」

どのくらい狩れば10まで上がるのか・・・

「テディは何匹くらいで10レベルまで上がったの?」

「うんーー・・・100か200か、そんな感じ。」

すごく適当だった。そりゃそうか。

「うーん、何日くらいでレベル上がったの?」

聞きなおしてみた。

「何日?大体30日くらい?かかった。かなり小さい頃だったからミディたちはもっと早いと思うよ。」

なるほど。ということは、概算でスライム30日。ゴブリンにも最低30日かかるってことだな。

話しながら眺めていたが、三人でさっき見えていた十数匹はすでに倒したようだった。狩ったら多少移動をしないといけないのかと思いきや、新たなスライムがまた湧いてきている。

なるほど、程よい個体数が湧いてくるのか。確かにレベル上げには最適の場所だった。

というか、大半をマリスが狩っているような気がする。なんだろうあの気迫は。

りりィやミディがちょっと怯えているな・・・

「マリス!ちょっとおいで。」

「カナメ!何なのだ?ちょっと忙しいのだ。」

目の前のスライムを倒して、文句を言いながらもマリスはこっちに来た。うん、素直でいい子だ。

「マリス、ちょっと落ち着こうか。りりィ達が怖がってるよ?」

「む?それは、申し訳なかったのだ。早くレベル上げがしたかったのだ・・・」

マリスは申し訳なさそうにりりィ達を見た。

「焦ることは無いよ。三人ともレベルが上がらないと動けないから、三人で頑張ろう?さっきテディに聞いてたんだけど、結構な数こなさないとダメみたいだし、ていうか、なんか鬼気迫る感じだけど、どうかしたの?」

聞いてみると、マリスはテディの方をちらりと見た。テディがどうしたのだろう。大人の姿が羨ましかったのかな。

「委細承知したのだ!ちゃんと気を付けるのだ。」

俺の質問には答えずそういうと、マリスは戻っていった。ちゃんとりりィやミディにも謝っている。本当にいい子だ。

しかし、焦っている理由はちゃんと聞けれなかったな。また今度聞いてみるかな。

それからは順調に三人で協力もしつつスライムを退治して、俺は薪になる枝を集めつつ、テディには狩りを頼んでおいた。すると、幾何もしないうちに、テディは大きな(俺にとってだったこちらでは小型らしい)1メートルほどのイノシシのような魔獣を狩ってきた。

そこからはイノシシの解体作業に追われ、暗くなるころにやっと捌き切ったのだった。

「じゃあ、こっちは今日食べて、半分は保存の呪文掛けて、半分は干しとこうか。皮はなんかの材料になるよね。」

今食べる分の肉は適当に一口大にしておく。干す分も一口大にしておく。保存する分は塊だ。

その間に、テディに火おこしをしてもらい、採れたての肉を焼いてもらう。塩コショウ無いのかなぁ?やはり明日は人里に行ってみるか。香辛料は、今後どうしても欲しい。

「テディ、どうなるかわからないから、良く焼いてね。こげないように気を付けて。」

ばい菌とかは気になるが、とれたてだし、言うほど気にしなくてもいいのかもしれない。

テディに焼くのを任せているので、俺は干す方を呪文で乾かす。

本当は塩につけるのだろうが、海もなければ塩などない。

そうこうしてるうちに、リリィたちも帰ってきた。

「おかえりー。そうだマリス。生活呪文?的なのに、洗濯あったよね?人には使えないの?」

「ただいま。洗濯の呪文は、結構なもみくちゃ具合だから、人に使うのはお勧めしないのだ。使用人が遊んでいるのを見たことがあるが、目を回していたぞ。」

「そっかぁ。あ、テディこの辺に川とかある?」

「近くに小川があるよ。」

じゃあ食べた後にでも行くか。三人とも汗かいただろうし。しかし使用人。そうか、城だもんなー王様だもんなー。

「そういえばマリスは、こんな野宿とか、嫌じゃないの?」

「嫌なものか!むしろ自由でとてもいいのだ。城は堅苦しいし、面倒くさいし、好きじゃなかったのだ。」

想定外に力説されてしまった。

「なるほどー。それでも、帰るの?」

「どっちにしろ、レベル上げには魔王城へ向かう道のりがちょうどいいのだ。魔王城に着くころには100レベル!を目指すのだ!」

「そっか、高レベルになると上がりにくいから、強い奴を倒さないとだしね。」

「帰るか帰らないかは、そこから決めるのだ。とにかく、我はレベルを上げたい。親父をがっかりさせてやるのだ!」

「なるほど。帰るのが目的ではないんだね。そういや、レベルってどうやってわかるものなの?」

「レベルは鑑定の呪文で分かるはずなのだ!我も使えるぞ!」

「おお、じゃありりィとミディを見てやってくれるか?」

「お安い御用なのだ!彼の者のステータスを我に開示せよ 鑑定。」

鑑定をして目を通したマリスは、その場に頽れた・・・え?そんなに魔力を使うの???

「マリス!どうした?大丈夫か?!」

マリスは、うなだれたままで何かしらぶつぶつ言っている。様子から、魔力を使いすぎたとかとは違うようだった。

まあ、呪文はわかったのだから、俺も見てみることにした。

「彼の者のステータスを我に開示せよ 鑑定。」

唱えると、ゲームウインドウのようなものが目の前に表示された。窓は4つあり、りりィとミディ、マリスとテディの名前がそれぞれ頭についていた。


名前:マリノティウス・ユル・フェルマール 111歳 Lv5 性別: 男 種族: 高魔族

称号:魔王子

 HP  1200/1200

 MP 1200/1200

 攻撃力 60 防御力 350 魔法防御力 1000 精神抵抗力 1000

 速度 320 収納力 無限

スキル:潜在能力開放・成長促進


名前:りりィ 10歳 Lv 9 性別: 女 種族: 猫獣人

称号:奴隷 非隷属状態

 HP   1548/1548

 MP   50 /50

 攻撃力 120  防御力 215 魔法防御力 50 精神抵抗力 70

 速度 250 収納力 50

スキル:鋭利な爪 狩人Lv2


名前:ミディ 11歳 Lv10 性別: 男 種族: 犬獣人

称号:奴隷 非隷属状態

 HP  1754/1754

 MP  80/80

 攻撃力 160 防御力 315 魔法防御力 50 精神抵抗力 65

 速度 320 収納力 100

 スキル:嗅覚特攻Lv2 狩人 Lv3


名前:テディ 年齢不明 Lv38 性別: 男 種族: キラーベアー

称号:奴隷 非隷属状態

 HP  4600/4600

 MP  0/0

 攻撃力 2500 防御力 3000 魔法防御力 200 精神抵抗力 200

 速度 1530 収納力 0

 スキル:バーサーカー


なるほど、リリィやミディは年齢に見合ったレベル・・・しかし、マリスのレベルは、かなり低いな。

しかも、このスキルってかなりレアなのでは?

テディは、なかなかの高レベルだ。この辺ではサブボスクラスじゃないだろうか?盗賊たちはよく捕まえられたものだ。しかし、スキルのバーサーカーは気になる。

いや、盗賊のレベルを知らないからどうなのかわからないが…

しかし、今日一日スライムを倒してこれってことかな?最初に聞いて確認しておくんだった。

「マリス、レベル5ってことは、結構上がったんじゃない?りりィ達がすでに10以上だから落ち込むのはわかるけど、獣人も姿に影響あるんでしょ?じゃあ、年相応の背格好だし、その可能性はあったわけじゃん。大丈夫だよ、マリスも絶対上がるし、俺が上げるから。」

「うぬ、4は上がったと思ったのだ。そこまで低いとは思わなかったのだ・・・それは別にいいのだが・・・」

マリスはじっとこちらを見つめてきて、またすぐに目を逸らした。なんだろう?

しかし、マリスってばもともと1ってことじゃん!涙目で落ち込んでいるマリスの背を撫でてやる。年齢のわりに、姿が幼すぎるのは、低すぎるレベルのためだという実証が取れたようなものだな。一人で納得していると、リリィとミディが興味津々で聞いてきた。

「ねえねえ、かな姉、私のレベルはどうだったの?」

「僕は?僕は?!」

「リリィが10で、ミディが11だったよ。ということは、二人はあまりここじゃ意味ないかもね。」

「そうなの?さっきのでも一つしか上がった感じしなかったから、そうなのかも。」

レベルアップって感覚があるのか。

「僕も!でも、少しでも上げたいから明日も頑張る!」

ミディは拳を作ってやる気に満ちている。ミディも1レベル上がったんだな。

「ミディはやる気でいいね!でも、とりあえずマリスのレベル上げを重点的にだね。俺は明日、町に行ってくるから、リリィとミディとテディで協力して、食料を狩っといてくれると助かるよ。その方がレベルも上がるんじゃない?」

今日テディが狩ってきた魔獣も、スライムよりは経験値が高そうだ。

「ちょっと待つのだ。我は一人でスライムなのか?」

マリスは心許無いというように、抗議してきた。

「まあ、確かに。じゃあ交代ってことで、明日はりりィ、明後日はミディが狩りね。明日は、ミディがマリスについていてあげて。俺もなるべく早くに帰ってくるから。」

「カナメ、この近くに町は無いんだ。だいぶ行ったところにあるけど、一人で大丈夫?」

心配そうにテディが聞いてくるが、そうか、遠いのか。でも、俺の足なら他愛もない。

「大丈夫大丈夫。俺の足なら全く平気。後で方角だけ教えてくれると助かるよ。」

「わかった。でも、気を付けて行ってきてくれ。」

テディは結構心配性のようだ。というか、みんな心配症だなぁ。

とりあえず、明日の予定は決まった。

焼いたイノシシの肉は、やはり俺にとっては少々味気なく、干し肉に塩味がついていたことを考えると絶対この世界にも塩だけでもあるはずだった。明日は絶対町に行ってやると思った。

食事をとりながら、俺のステータスも確認してみる。彼の者を我に変えればわかるはずだ。

問題なく表示された自分のステータスは、ちょっと異常だった。


名前:杉宮要 スギミヤカナメ 17歳 Lv716 性別: 女

種族: 人間 称号:転生者・庇護者・愛の伝道者

 HP  71600/71600

 MP  71600/71600

 攻撃力 7160 防御力 7160 魔法防御力 7160 精神抵抗力 7160 速度 7160

 収納力 716

スキル:ユニーク:浅学菲才・多種多様・神の加護

身体強化Lv10・剛力Lv10・俊足Lv10・遠見Lv10・聴覚Lv10・嗅覚Lv10

拳聖・剣技Lv2・料理人Lv5・無属性魔法・奴隷商・回復魔法上昇・鑑定・攻撃力肥大・防御力増大・痛覚無効・仕立て人Lv7


見覚えのある数字が不自然にたくさんある・・・誕生日??盗賊やテディに対して圧倒していた理由はこれだろうが、レベル設定おかしくない?誕生日適用の意味も分からんし。しかし、上限はどこなのだろうか。999?というか、誕生日の数字だからってステータスに起用しすぎじゃね?というか、収納力だけ0が足りないし。0あればもっと入っただろうに。あ、あれか、マリスがうなだれていたのは俺のも見えたからかも?

称号のとこの愛の伝道者が気になる・・・愛の契約が使えるようになったから?庇護者はまあ、わかるけど。

というか、スキルに四字熟語ある。浅学菲才の意味は・・・なんだ?才能も知識も低い?多種多様は種類問わず取得出来るってことかな。まだ、たくさんとはいいがたいが、多様な呪文を問題なく使えたのがそれか。才能も知識も低いのは、もしかしたら上位呪文的な、高度なものは使えないのかもしれない。まさに俺の性格そのもの、浅く広く知識と種類だけは無駄にあったもんなぁ・・・病気のせいで飽き性だったし。だとすれば、魔王城の近くになれば、俺の無双も微妙になってくるかもしれないな。やはり、仲間の能力は高いに越したことはないな。

「魔王のレベルってどのくらいなの?」

マリスに聞くと、はてなマークが浮かんだ顔をする。代わりに、テディが答えてくれた。

「噂だと、魔王様のレベルは500くらいだって。」

「そうなのか!?知らなかったのだ・・・」

魔王のレベルに関する事項秘匿感は半端ないな・・・なんだったら家出したときに聞いたというレベルで見た目が変わることしか知らないのだろう。

「魔王って、見た目はどのくらいの年齢なの?」

興味で聞いてみた。

「魔族は基本は不老長寿なのだ。だからどんなにレベルを上げても、人で言う20歳前後で止まるらしいのだ。」

なるほど。マリスの容姿から、かなりの美丈夫であることは間違いないだろうな。

「まあ、20レベルくらいならすぐだよ。」

そういって頭を撫でてやる。なんだかちょっと不満そうなのは、知識の欠落による不安からか。りりィやミディはどうなのだろうか。実年齢に関係なく育つなら、レベルで大人になってしまうのだろうか・・・?テディは・・・獣の姿だったのだから、あまり参考にはならなそうだしなぁ。ま、レベル上げをする過程で分かるか。


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