紅の逢瀬に銀の煌(きらめき)
今日はよくあるいい夜だ。紅の月見下ろす怪しい闇。
今はとってもいい季節だ。木の葉の色も紅に染まる。
うん。これはすっごくいい気配。
今にも姿を見せそうなのに
そこにいるのに顔を見せない。
ぼくらの出会いはいつもそう。
夜も夜中の深夜の逢瀬。
夜這い趣味の君の気配は
いつでもぼくをピリピリさせる。
そうして、ぼくは人目をさけて
君が来るよに誘いをかける。
ひらり、舞い散る木の葉の音と
共に紅月銀がひらめく。
ヒリヒリするよな刹那の後に
ぼくも答えて閃かせる銀。
刹那刹那に煌めく火花
ぼくと君との声無き会話
須臾を違えばお互いに
視界と命を紅く変えうる。
今宵は優雅にワルツのリズム
三つ打っては一つおやすみ
観客は空の紅眼
それでも二人は銀刃の夜踏会。
ぼくと君とはこの銀色刃を打つと
一番互いが理解しあえる
互いに声を交わす逢瀬は
ターゲットゆえに許されないから。
今はただただ紅のシズクを
抱く肉体だけれど
言葉を交わすことができたら
刃の音とはなにか違った
素敵な世界が広がるだろうか
互いの雇い主血の海に入れたら
聞けるだろうか君の声
銀の声響く紅の夜に
君に贈るは撤退の一太刀
一人残ったぼくの瞳は
紅の眼を見上げて誓う
愛しき君の声を求めて
次の逢瀬は手を打とう。