知らぬところで…
会議室で先日の事件についての話し合いがされていた。
部屋の中で一番若い青年が進行役を担っており、事件の報告をしていた。
「まず、事の発端は87番です。87番がクーデターを試み、一級と二級で争いが起きました。その後、32番が爆発魔法を使用し、生徒たちは全滅です。威力の成果、死体の判別もできません。」
「32番は既に買取手が決まってたんだぞ!それが死んだとなったら冗談じゃ済まされないぞ。」
そう叫んだ中年は頭を抱えた。
ガチャ。
扉が開き、制服姿の男たちが入って来た。
「失礼する。これより国王陛下の命令のもと第五研究所の調査を行う。」
この件によって、国がこの施設ーー第五研究所にメスをいれた。元々、この第五研究所は言わば負の遺産で非人道的な研究を続けており、賢王と名高いシャルル1世にとって目の上の瘤であった。しかし、巧妙に非道な行いを隠していた。それが今回の件で調査というきっかけが得られた。
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アルムハイム王国城政務室では、国王に調査を行った調査室室長が第五研究所の件についての報告していた。
「陛下、調査を行った報告書です。また、研究結果についてまとめた資料もございました。廃棄しますか?」
「報告ご苦労。研究成果については研究者の名前を消して残しておけ。この研究成果によって助かる者もいるかもしれない。子供たちの犠牲が無駄になる。」
シャルル1世は一瞬悲しみを表した。
「は!了解しました。しかし、研究者の名前を消す必要はどうしてでしょうか?」
「それはな、研究者にとって研究で名を残す事は最高の誉れであるからな。そんなのを外道には与えたくなくてな。ただの外道と世に知られるのが一番良いだろう。」
「なるほど!陛下の御配慮に感動いたしました。すぐにそのように対応しますので失礼致します。」
そう言うと室長は部屋から退出した。
室長と入れかわるように一人の少女が入って来た。
「お父様、第五研究所の件はどうなったの?私が思うにクーデターを起こそうとした男の子が脱出と思うの!」
「アリス。どこでその話を聞いた?そもそもその話は今さっき聞いた話だ。まさか、盗み聞きしたのではないか?」
「それは秘密よ。」
「はぁ。それで、何故その少年が脱出したと思うのだ?あの爆発の中じゃ生きていないだろ。」
頭が痛そうに国王が要った。
「逆よ。爆発だから脱出できたのよ。そうすれば死んだと思わせるわ。それに、クーデターって変じゃない。事前に計画してないと行き当たりばったりになって上手くいかないわ。つまり、87番の目的は別にあるって考えた方が自然よ。」
(恐ろしいわい。切れ者よ。性別が男であれば次の国王にできたのに。器量は娘のなかで一番良いのに、正確がアレではなぁ。行き遅れにならなければ良いが…)
「それで本題だけど、87番を探して、伴侶にしたいの。」
「は?」
金鎚で頭を殴られたような衝撃がした。
話そうとしたが、呂律がまわらない。自分でも何言ってるのかわからない。
「落ち着いてよお父様。何も絶対に結婚するというわけでは無いわ。死んでたり、王国に敵対する場合もあるし。言いたいのは、もし王国側に引き込めるなら出来ることはした方が良いわ。」
「それで具体的にはどうするんだ?」
アリスは満面の笑みを浮かばせた。
「例の学校あるでしょ。学校の受験資格を平民も加えてくれればいいのよ。」
今回は会話ベースの文章にしました。恐らく説明不足が否めないので、後日修正致します。