死体の場所は?
先の件の次の日。魔法の試行錯誤をおこなった。
爆発の固有性を使えるか試したら、思い通り使えた。
(しかし、固有性一つ組み込んだだけでより複雑になってしまった。改善方法を見つけた方がいいな。)
とは言え、固有性の模倣は可能であり、周りの子供たちより優位にあるのは間違いない。
(脱出計画にはまだ足りない。もっと時間が必要だ。)
爆発を使って壁を破壊して逃げるにしても追いかけられるだろうから、逃げたことを知られないようにしなければならない。
一番簡単なのは死んだと思わせることだが、死体を準備するのはこの施設では不可能ーーーーいや、この施設なら死体が手に入るぞ。夕食にでる肉は味付けもされておらず、ただ焼いているだけで一見したら焼かれた死体だ。問題は一人分の死体を集めることだ。状態を保ち、隠す場所が必要だ。しかし、現状ではこの方法も不可能だと結論づけた。
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そして、課題の発表日になった。1週間で同年代の二級も少なくなり、集まっても片手で数えられるくらいにはなっていた。
今日はいつもと違い観客がいた。観客は数十人にもおよび、全員貴族と見てとれた。
(貴族全員が纏ってる魔力が施設内の大人たちと比べて桁違いに多い。今のままじゃ勝てないな。)
課題の魔法を順番に発動していった。結果からいうと全員が成功した。その後は訪問客の対応に忙しいためか自由時間となった。
自由時間では魔法の発動の改善を試した。つまり、詠唱では限界があるため詠唱以外での方法を探した。この問題についての手がかりは、『詠唱による模様以外で発動するか』である。
例えば、模様を手で描いた場合はどうなのか。答えは、発動できた。詠唱と比べて、威力が高く、より高等な魔法がうてる。しかし、デメリットとして、模様を生成する速さが遅すぎた。また、事前にいくつかの模様を作った場合、魔力を通すと発動するので何らかの拍子で発動すると危険である。
改善策としては、模様を瞬時に描写するという結論に至った。しかし、その描写方法について頭を抱える事になった。
苦悩しているとき、二人の教官の会話が偶然耳に入った。
「この前よ、イライラして外で人を頭殴ったらそいつが死にやがってよ。マズいと思って上に報告せず、そのまま死体をメシにだしたんだよ。」
「おい、それってヤバくないか?メシに出したからっと言って骨とか残るだろ。バレなかったのかよ?」
「それが大丈夫だったんだ。ここの職員の内で暗黙の了解があってな。それが死体については聞かないようになってるんだ。そもそも、死体をメシに出すこと自体が外にバレちゃいけない問題だ。だから、どれがどいつの死体かなんて聞かないことにしてんだ。それに死体の残りはグラウンドの木の根本に埋めてるんだからそんなの管理しないだろ。」
あまりにも不用心な会話が聞こえ、計画の問題であった死体の確保が解決しそうだ。