位牌
昔から、この家には位牌がたくさん置いてあった。
本家だという話は祖父から聞いていた。
なんでも、ずっとずっと昔の室町時代に、今いるところの藩を治めていた当主の支えとなった人物が家祖で、家老のうちの一人とされたという。
自分はその長男で、この家を継ぐ立場にある。
といっても、何があるというのは詳しくは聞かされていない。
15歳になったら教えてくれるといっていた曾祖父は、10歳の時に死んだ。
代わりに祖父が15になったら教えるということになっている。
あと一年。
位牌を前にして、お盆になると、何を教えてくれるのかがとても気になる。
今の世の中でも、こんな風な家があるということ、それも自分に家だということが、何よりも驚きだ。
「ご先祖様、どうかお見守りください」
これまでも、これからも。
ずっとずっと未来も。
自分の子孫がいつの日にか、自分と同じように手を合わせてくれる。
その時よりもずっと未来まで。