小僧!出産の時だ!
お題でいただいた言葉を入れるという遊び
・小僧!出産の時だ!
私は人の数より鹿の方が多いような田舎に産まれ育った。
だが思春期の頃はそれが嫌で嫌で仕方がなく。
高校卒業と同時に逃げるように都会の企業に就職した。
それから幾年、バリバリ働き実家に帰ることも無かった…が、今...
実家の畳に寝転んでいる。
ミンミンと骨の髄まで夏の虫の声が響く。
「あ"あ"ぁ〜暇だぁ〜」
と叫びながら起き上がった、窓の外を見つめると遠く、畑のあぜ道を虫取り網を振りかざし、黄緑色の虫カゴをぶら下げた小学生たちが楽しそうに走って行った。
昔、男のコ達に混じって遊んでいたのを思い出す。
あの頃は何もかもが新しくて楽しかった、いつも皆で遊んでいた山、川、師匠と呼んでいた見知らぬおじさんと良く遊んでもらったものだ。
男のコ達に混じっていたのもあったが、からかいの意味を多く含み小僧と呼ばれていた、その度にムキになって言い返し笑われたものだ。
今思えばとんだ変態中年オヤジだが、あの頃は親や、学校の先生が教えてくれないことをなんでも教えてくれた。
年齢も名前も知らなくて、中学校に上がると友達も増え男達と離れると共に師匠に会うことも無くなった。
なぜこのド田舎に帰って来たのか、話は簡単だ、都会の街で男と出会い、結婚し、子供が出来た、よくある話里帰り出産と言う奴だ、まぁまだ産むまでは時間があるが仕事を今まで頑張って来た分の休暇ととることにした。
昔は嫌だったこの町も、今はとても気持ちがいい。しかし、住むとなると話は別で 不便この上ない。絶対に帰る。
今日、一番近くの私が産まれた病院に初めて顔を出すことになったいる、まだ時間はあるがすることもないので親の車を借りて病院へノロノロと向かうことにした、予定より三十分も早く着いたが担当をしてくれる先生が空いているということですぐに診察を受けられることになった。
ドアを開けて後ろを向いている白衣にむかい挨拶をする
「どうも、お世話になります」
と、その瞬間くるりと椅子が回転し見覚えのある顔がこちらを見ていた
「小僧!出産の時だ!」
これは高校一年生の夏に書いたお話です笑
ガキが精一杯背伸びしている所を、笑ってやって下さい。
初心者ですので、所々お見苦しい部分はありますが
ご容赦のほど よろしくお願い致します。