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事件は暗礁に乗り上げる

『本日未明、東京都――市の赤屋さん方、間宮さん方から火災が発生し、この二棟が全焼しました。焼け跡からは、赤屋利一さん、清彦さん、亜美さん、優さん、間宮貴人さん、麗香さん、美咲さんの七名の遺体が発見されましたが、遺体には不自然な点が多く、警察では殺人事件として、捜査を進めています。また、赤屋綾子さん、悟さんと連絡がつかず、現在警察は二人を事件の重要参考人として捜索しています』


『先日未明に発生した東京都――市の火災で、行方不明の重要参考人とされていた、赤屋綾子さん、悟さんが、付近の山中で遺体で発見されました。遺体は土に埋められた状態で発見されており、警察は何者かに殺害された後に埋められたとしています。事件の重要参考人となる二人の死に、捜査は行き詰まりを見せています』


 ――署、赤屋家間宮家殺人放火事件捜査本部では、捜査会議が開かれていたが、進展しない捜査に本部長は苛立ちを抑えられずにいた。


「どうなってるんだ! 赤屋綾子、赤屋悟が容疑者じゃなかったのか!」


「しかし本部長。二人は明らかに殺害されてから、埋められています。赤屋綾子は絞殺、赤屋悟は毒殺です。どう見ても自殺とは考えられません」


「じゃあ、誰が彼らを殺したっていうんだ?」


「私が思うに……一家心中ではないかと」


「一家心中だと?」


「ええ、赤屋家はかなり借金で苦しんでいたようですし、その動機としては十分でしょう。おそらくは一家心中で赤屋家の誰かが残りの家族を殺している最中に、間宮美咲がやってきてしまった。これは、彼女の遺体が赤屋家のほうで発見されていることからわかります」


「それで?」


「彼女に見られてしまったので、殺した。そして、彼女の家族に不審に思われるかもしれないと、彼女の両親も殺害。その後、証拠隠滅に火を放ったといったところでしょうか?」


「ふうむ。しかし、何故赤屋綾子と赤屋悟の二人は山に埋めたんだ? それに、見られたから間宮美咲を殺すというのも納得がいかない。証拠隠滅で放火したというのもだ。心中ならばそんなことをする必要はないだろう? 自分も死ぬつもりなんだから。それに、何よりも焼け跡から見つかった赤屋家の人間は全員、他殺体で発見されているんだ。彼らのうちの誰一人として、殺すのは不可能だ」


「ちょっと待ってください。もしかしたら、他殺ではないかもしれません。赤屋清彦は、首にナイフが刺さっていたことで他殺にされましたが、階段から落ちた形跡があるんでしょう? だったら、家に火を放った後で、階段から転げ落ち、持っていたナイフが首に刺さってしまった、ということも考えられるはずです」


「確かにそうならば、赤屋清彦が犯人だろうが、それはあくまで推測の域を出ない。状況証拠しかない上に、その証拠もかなり曖昧なものだ」


「だとしたら、犯人は一体誰なんです?」


「誰かに恨まれているってことはないんだな?」


「それはないようです。周辺の住民や親戚にも聞き込みをしましたが、赤屋家、間宮家ともに、悪い評判は聞いたことがありませんでした。それどころか、地区の組合の面倒事を積極的に引き受けてくれたり、愛想もいいと良いことしか聞きませんでしたよ」


「まあ、最近はそこまで深い近所づきあいもしないからな。表面上は取り繕ってても、裏で何してるかなんてわかんないからな。死人にこんな事いうのもあれだが」


「確かにそうですね。二軒が全焼してしまったのも、消防車を呼ぶのが遅れたかららしいですし。みんな、誰かが呼んだだろうってことで、自分から連絡を入れようとはしなかったようです」


「全くひでえもんだよな。せめて、もう少し焼け残りでもあれば色々と証拠でも見つかったんだろうが、あれじゃあどうしようもない。お手上げだよ」

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