『本』質ーーー[1]
[○]となっているのは、後々一つにまとめます。
唐突だが、今、日本の季節は夏だ。
僕も夏服に姿を変え、日々を過ごしていた。
しかし、しかしだ。
この世界、どうやら今は冬らしい。
正直、滅茶苦茶寒いです。
現代日本の暖かさと、暖房の力に毒された僕では布団から出ることは出来なさそうだった。
せっかく起きたが、二度寝をするしかない。
そう思って芋虫のように丸まったが、ドンドン、ドンドンドンというノックの音が聞こえてきた。
どうやらもう朝が、いや、マイスがきてしまったようだ。
召還された後、僕らは突如沸いて出てきた執事やメイドに連れられて騎士の宿舎やメイドたち、召使いの住む部屋へとやってきた。
なんでも「百人近い勇者が召喚されることは想定していなかった」らしい。
百人近くメイドや執事を潜ませていて何を言うかって話だけど、目立つのはチキンなハートでは無理だった。
僕に割り当てられた部屋は新人騎士の部屋でその新人騎士の名前はマイスと名乗った。
なかなか明るい良い奴で、ちょっとおつむが弱いのも魅力的だと思う。………多分。
で、ノックしなくてもいいのにわざわざノックしてから入ってくるマイスはやっぱり良い奴だ。うん。
「もう朝の七時だぞ!もう起きろよー」
「そんな大声で叫ばなくても僕は起きてるよ」
赤い髪に赤い瞳。地球で言えばヨーロッパ人っぽい彫りの深い顔立ち。
実にファンタジーな顔だと思う。
「キタロー、朝飯を食いに行くぞ。食い終わったら大聖堂に行くからな!」
「何で?」
「何でって、何が?」
「いや、だから何で大聖堂に行くの?なんかあんの?」
昨日僕たちが召喚された巨大な広間のある建物が大聖堂だ。なんでも、豊穣の神という戦の女神を祀ってぉる建物で築三百年の由緒ある建物だそうだ。
けど、大聖堂に何をしに行くのだろう?
何か説明でもされるのだろうか?
「いや、姫様が色々説明してくれるらしいぞ。なぜ召喚したかとか、そこらへんを色々と」
「へぇ、つまんなさそうだけど重要だね」
「そうだな。『書』に関しての説明もあるからな。滅茶苦茶重要だな」
「しょ?」
「ま、今は飯の方が重要だ重要!さぁ、早く着替えろ!席取れなくなっちまうぞ!」
マイスの言う『しょ』と言うのが気になるけど、今は仕方ない、着替えて食堂に行きますか。
ぬくぬくとした布団に名残惜しさを感じながら僕は手早く着替え、マイスの部屋を後にした。
書くのも遅く、中々投稿できないので細かく分けることにしました。
きりのいいところ、例えば章が一つ終わったときなどに編集します。