「ついてきた者」
何進将軍の猫耳を治すため治療薬を探しに三手に分かれた一刀達
そして南蛮象のへそのゴマを探しに行った一刀、愛紗、桃香、鈴々、朱里はというと
ぎゅっ! ぎゅっ!
一刀「え〜と…!? 」
さっきから愛紗と桃香が一刀の腕にくっついていた。
桃香「愛紗ちゃん、一刀さんが歩きにくいから離れたら? 」
愛紗「そういう姉上こそ離れてください 」
バチバチッ!
いま二人は一刀の間で激しい火花を飛ばしあっていた。
朱里「はわわ!?一刀さんを取り合って修羅場ですね!? 」
一刀「二人とも止めてくれよ 」
一刀が言うと
愛紗・桃香『一刀(殿・さん)は黙ってて! 』
一刀「うっ!? 」
男には強い一刀だが女には弱かった。
一刀「それにしても鈴々 」
鈴々「何なのだお兄ちゃん? 」
一刀「さっきから気になっていたけどその箱は何だ? 」
一刀は最後尾を歩いていた鈴々の背負っていた巨大な箱に興味があった。
鈴々「これは荷物を取りに部屋にいったら持っていくようにとタンポポの字で書いてあったから持ってきたのだ♪ 」
あきらかに怪しすぎる。そう思った一刀は
一刀「鈴々ダメだ!その箱を置くんだ!? 」
鈴々「どうしてなのだ? 」
一刀「前に話してあげただろう。大きな箱には化け物が入っているって!? 」
一刀が化け物と言った瞬間
愛紗「ひっ!? 」
鈴々「怖いのだ!? 」
ぎゅっ! ドシンッ!
愛紗は更に一刀に抱きつき、鈴々は荷物を下ろして一刀の方に寄っていった。
桃香「(プクッ♯)私だって怖いもん!! 」
ぎゅっ!
更に桃香まで抱きついてくる。
一刀「(何でくっついてくるの!?)とにかく少し離れてて、俺がその箱をぶっ壊す! 」
ジャキンッ!
一刀は得物の『聖魔閻龍神刀』を取り出すと
一刀「『俄龍四神だ…』 」
必殺技を箱にぶち当てようとする!
その時!
パカッ!
箱の蓋がひとりでに開くと
タンポポ「ちょ…ちょっと待ってよ!? 」
バンッ!
箱の中からタンポポが現れた。
愛紗達『タンポポ!? 』
一刀「やはりそうか 」
スッ!
そして一刀は必殺技を放つのをやめた。
しばらくしてタンポポからどうしてこんなことをしたのか事情を聞くと
タンポポ「だってさぁ〜、お姉さま(翠)やお兄さん(一刀)達が旅に出るのを見ていたらタンポポも行きたくなったんだもん連れてってよ♪ 」
タンポポは言うが
鈴々「これは遠足じゃないのだ!とっとと帰るのだ! 」
タンポポに帰るよう言う鈴々だが
タンポポ「ふ〜ん鈴々、タンポポにそんなこと言っちゃっていいのかな? 」
鈴々「どういうことなのだ!? 」
タンポポ「確か朱里の部屋にあった硯を… 」
タンポポが最後まで言おうとすると
鈴々「わぁーっ!わぁーっ!わかったのだ。タンポポも連れていくのだ! 」
一刀「何かあったのか? 」
鈴々「な…何でもないのだ!?とにかくとっとと行くのだ! 」
タンポポ「にひひっ!そういえばどこに向かっているの? 」
タンポポが朱里に聞くと
朱里「実は前に水鏡先生のところに寄った時に南蛮象のへそのゴマがあるのを思い出しましたからそこに向かってるんです 」
愛紗「朱里もうれしいだろう 」
桃香「水鏡先生と鳳統ちゃんにあえるもんね♪ 」
朱里「はいっ♪ 」
しばらくして
水鏡先生の家
サッサッサッ!
雛里「ハァ〜… 」
朱里の友達である鳳統こと雛里が入り口でため息を吐きながら掃除をしていると
朱里「雛里ちゃ〜ん 」
タタタッ!
雛里「朱里ちゃん!? 」
朱里が駆け寄ってきた。
朱里「久しぶりだね雛里ちゃん♪元気だった? 」
雛里「私は元気だよ♪ 」
前は朱里を嫌っていた雛里だったが今ではすっかり仲良くなっていた。
朱里「今日はみんなも一緒にいるんだよ 」
朱里が言うと
スッ!
続々と一刀達が現れた。
一刀「朱里って本気を出すと早いんだな!? 」
愛紗「普段の朱里とは思えませんね!? 」
いつもこのメンバーで走ると朱里がビリなのだが今回は朱里が一位だったようだ。
そして
水鏡「あらあら、朱里の声がしたからもしやと思ったら 」
スッ!
水鏡先生が現れた。
朱里「水鏡先生、お久しぶりです! 」
水鏡「元気そうでなによりですよ朱里。皆さんも遠いところを遥々よく来てくれました。今日は日も暮れますし今夜はここで泊まっていってください 」
タンポポ「やったー!暖かい布団で寝られる♪ 」
鈴々「おいしいご飯が食べられるのだ♪ 」
ご飯と布団で喜ぶ二人
しばらくして
夕御飯の時間
ドンッ!
タンポポ「わぉーっ!? 」
鈴々「すごい御馳走なのだ♪ 」
テーブルに並ばれた御馳走に喜ぶ鈴々とタンポポ
雛里「あのぅ先生、私の知らない料理がありますけど一体? 」
雛里が水鏡先生に聞くと
水鏡「それは北郷さんに作り方を教わったからよ 」
一刀「お口にあえばいいけどね 」
一刀が言うと
ガツガツッ!
鈴々「お兄ちゃんの料理はおいしいのだ♪ 」
タンポポ「ホントだよね。いいお嫁さんになるよ♪ 」
一刀「俺は男だよ!! 」
タンポポにツッコミを入れる一刀
朱里「それより先生、聞きたいことがあるんですが 」
水鏡「何ですか? 」
水鏡先生が聞くと
朱里「この家に南蛮象のへそのゴマがありましたよね 」
朱里が言うと
雛里「(ドキッ!?) 」
何故か驚く雛里
水鏡「ありますよ。確かあれは倉庫の棚のどこかに…取ってきます 」
スッ!
水鏡先生が行ってしまうと
雛里「(ガタガタッ!?) 」
何故か小刻みに震える雛里
そして
水鏡「おかしいですね?確かまだ残っていたはずですけど 」
愛紗「無いのですか 」
桃香「じゃあどうしよう? 」
みんなで考えていると
鈴々「そんなの簡単なのだ!南蛮象っていうくらいだから南蛮に行けばいいのだ♪ 」
タンポポ「鈴々にしては真面目な答えだね!? 」
水鏡「南蛮ですか、だったら地図があったはずです 」
バサッ!
水鏡先生はテーブルに地図を広げた。
水鏡「現在位置がここですから南へ行けば何日かかるかわかりませんが着きますよ 」
朱里「ありがとうございます水鏡先生 」
南蛮への行き方を知った一刀達
さっそく出発!…と言いたいとこだが
愛紗「もう日が暮れましたから今夜は泊まった方が良さそうですね 」
水鏡「お部屋の方ならたくさんありますからゆっくりしてください 」
一刀「ではお言葉に甘えます 」
今日は泊まって明日南蛮に向かうことにした。
朱里「雛里ちゃん、一緒に寝よ♪ 」
雛里「う…うん 」
ちなみに女の中に一刀がいると危ないという愛紗の判断で一刀は愛紗達とは別の部屋で寝ることにした。
桃香「さて、明日も早いから早く寝よっと♪ 」
スッ!
桃香は着替えと剣を置いて寝ようとする。
鈴々「そういえば桃香お姉ちゃんいつの間に剣を持ってるのだ? 」
鈴々が桃香の剣について聞くと
桃香「ほら、前に楽進さん達と一緒に山賊退治をした村があったじゃん。その村の人が山で見つけた剣を私にくれたの 」
愛紗「見事な剣ですね 」
桃香「なんでも、一振りするだけで悪を切り裂く宝剣なんだって 」
鈴々「すごいのだ!? 」
桃香「でも私には重すぎて振れないからうまく使えないんだ。一刀さんの得物も剣だから一刀さんに剣の使い方を教えてもらおうかな♪ 」
桃香が言うと
愛紗「姉上、剣の使い方なら私が教えてあげます! 」
桃香「でも愛紗ちゃんのは偃月刀じゃん 」
愛紗「似たようなものです! 」
愛紗はこれ以上一刀を桃香にとられたくなかったのだった。
そして桃香達がそんな話をしている頃
カサカサッ
みんなが寝静まるなか、誰かが家の中で物音をたてるのだった。