「化け物の真実」
宝剣を返してもらうためお堂の化け物退治を引き受けることになった愛紗達
おまけに一刀が美羽達の人質(?)になってしまった。
お堂
どろどろ〜
時刻はすでに夜になっていた。
海「確かに化け物が出そうな雰囲気よね!? 」
桃香「でも大丈夫だよ。期待していますよ関羽さん、張飛ちゃん! 」
桃香が愛紗と鈴々の方を見ると
愛紗 「も…もちろんだとも!? 」
鈴々「が…合点承知なのだ!? 」
ガタガタッ!
二人の体は震えていた。
星「全くもう!二人してだらしがないな。早く化け物を退治して宝剣を取り返さないと一刀殿がどんな目に遭わされるかもわからんというのに 」
ピクンッ!
星の言葉に反応する愛紗
〜愛紗の妄想〜
七乃「さぁお嬢様をお嬢様と言いなさい! 」
ビシビシッ!
一刀「あぅっ!? 」
ムチで一刀を叩きまくる七乃
〜妄想終了〜
愛紗「急いでいかねばなるまいな!? 」
やる気を出す愛紗だった。
朱里「それではいきますよ 」
スッ!
そして愛紗達がお堂の中に入ろうとしたその時!
立ち去れ〜
愛紗「星!こんなときに冗談はやめろ! 」
星「何を言っているのだ?私は何も言ってはいないが? 」
愛紗「お前以外に… 」
立ち去れ〜
愛紗「なんてことを言うはずが…えっ!? 」
突然どこからか声が聞こえてきた。
しかもそれだけではない
ギィッ!
いきなりお堂の扉が開いたかと思うと
バァーッ!!
お堂から巨大な顔をした怪物が現れた。
それを見た愛紗達は
星「出たな化け物! 」
スッ!
武器を構える星だが
愛紗「うわぁーっ!? 」
ぎゅっ!
いきなり愛紗が星に抱きついてきた。
星「こら愛紗、離さないか!って私の胸を揉むでない/// 」
さすがの星も恥ずかしいようだ。
一方海は
鈴々「怖いのだ〜!? 」
海「ちょっと張飛、離れてよ!? 」
鈴々がしがみついていてまともに動けなかった。
朱里「はわわ!? 」
桃香「・・・ 」
こちらはこちらで驚く朱里と立ったまま気絶する桃香
鈴々「鈴々はもう帰るのだー!! 」
愛紗「まて鈴々!! 」
カランッ!
星「こら二人とも!武人が武器を捨てて逃げるでない!朱里もしっかり歩け! 」
朱里「はわわ!? 」
ズザザーッ!
海「劉備様、しっかり!? 」
桃香「・・・ 」
愛紗と鈴々が武器を投げ出して逃げ、その後ろを星が愛紗と鈴々の武器を拾い、朱里を引っ張りながら走り、さらにその後ろを海が気絶した桃香を背負って追いかけていた。
袁術の城
愛紗達が城に逃げ帰った時にはすでに朝になっていた。
星「全くもう!命の次に大事な武器を捨てて逃げるなんてそれでも武人か!♯ 」
愛紗「面目ない 」
鈴々「ないのだ 」
珍しく星が愛紗達を叱る。
海「それにしてもあんな化け物だったとわね!? 」
桃香「私なんて危うくチビりかけちゃったよ!? 」
みんなが話をしていると
朱里「でもあの化け物は偽物ですね 」
鈴々「どうしてわかるのだ? 」
朱里「暗くてよく分かりにくいですがあの化け物の中に人影があったんですよ。つまりあれは人が作った偽物ですね 」
愛紗「なるほど、暗いから作り物が化け物に見えたわけか 」
海「だからってどうする気よ? 」
朱里「化け物については一時置いておくとして宝剣を取り返すいい案がありますよ 」
桃香「ホント!?どうするの!? 」
朱里「実は… 」
玉座の間
美羽「(ぱくぱくっ)化け物退治はどうしたのじゃ? 」
一刀が作ったホットケーキを食べながら話を聞く美羽
朱里「それなんですが化け物を退治するには宝剣が必要でして… 」
美羽「ダメじゃ!宝剣は渡さぬぞよ 」
朱里「ですから袁術様に宝剣よりすごい渡し物があるので交換しようと思いまして 」
美羽「妾に渡し物があるとな? 」
朱里「はい。それはこの湯飲みなんです 」
スッ!
朱里は懐から少し長めの湯飲みを取り出した。
朱里「この湯飲みはただの湯飲みではありません。お湯を入れるだけで蜂蜜の匂いがする湯飲みでございます 」
美羽「なんじゃと!? 」
コポポーッ
朱里が実験としてお湯を入れると
ぷぅ〜ん
確かに蜂蜜の匂いがしてきた。
美羽「これはすごいのじゃ!?宝剣と交換してたもう! 」
もちろんそんな湯飲みがあるはずがない。
実はこの湯飲みは二重底になっており、全体の2/5に蓋がしてありそこには蜂蜜がたっぷりつまっているというわけなのだ。
だが美羽にその事が理解できるわけがなく宝剣を渡してしまった。(七乃は知っていて黙っていた)
美羽「いいものが手に入ったらお腹が空いたのじゃ。七乃、仏木のおかわりを用意するのじゃ! 」
七乃「わかりました。一刀さん、おかわりお願いします! 」
七乃が言うと
一刀「ほいほいっ! 」
ホットケーキを手にした一刀が現れた。
それを見た愛紗達は
愛紗「一刀殿!? 」
星「どうやら無事のようだな 」
海「あいつを連れ戻すのやめにしません♯ 」
朱里「はわわ!?それはダメですよ!? 」
鈴々「うーっ!鈴々も彫っとけ木食べたいのだ! 」
桃香「あはは… 」
そしてその日の夜
一刀を連れ戻すためにも化け物退治をしなくてはいけないので再びお堂に来た愛紗達
お堂
朱里「それじゃあ行きますよ!作戦通りお願いしますね! 」
鈴々「合点承知なのだ! 」
愛紗「ではいくぞ! 」
ザッ!
愛紗達がお堂に近付くと
立ち去れ〜
バァーッ!!
謎の声が聞こえてきて、化け物が現れた。
それを見た愛紗達は
愛紗「うわぁーっ!? 」
鈴々「怖いのだー!! 」
バタバタンッ!
気絶して倒れる二人
だが倒れたのは愛紗達だけではなく
朱里「はわわ〜!? 」
桃香「きゃーっ!? 」
バタバタンッ!
何と!?全員気絶して倒れてしまった。
全員が倒れて少しした後
『ケケケッ! 』
化け物から声が聞こえてきて
バサッ!
化け物から二人の子供達が出てきた。
子供A「大人のくせに気絶するなんてバカなやつらだぜ! 」
子供B「さっさと金品奪ってやろうぜ! 」
スッ!
そして子供達が金目になりそうな武器を触ろうとしたその時!
キランッ☆!
ガシッ!
子供AB『うわっ!? 』
子供達はいきなり起き上がった愛紗達に取り押さえられた。
星「しかし化け物の正体がこのような子供だったとわな 」
子供A「重いんだよ!さっさとどきやがれ! 」
カチンッ♯
星「一つ言っておく、女に対して重いは禁句だぞ!♯ 」
ぐぐっ!!
子供A「いててっ!? 」
重いと言われた星は子供を強く押さえつける。
愛紗「さぁ観念しろ!どうしてこのような悪戯をした! 」
愛紗が子供達を問いつめると
?「それは私が説明します! 」
バッ!
お堂から女性が現れた。
しかもお堂にはたくさんの子供達がいた。
お堂の中
愛紗達は話を聞くためお堂に入れてもらうことにした。
女性「私達は袁術のひどい取り立てにあって家を失った者達です。この子供達の親は遠くで出稼ぎに行ってるんです 」
子供A「袁術はひどい奴だ!いつもいつも俺達から高い税金を取って自分は贅沢三昧しやがって! 」
女性「そしてこのお堂を壊されるということを聞いてしまったのです。このお堂を壊されてしまったら私達は住む場所がありません!だから化け物が出るということにして人を近寄らせなかったのです 」
話を聞いた愛紗達は
星「なるほどみんな苦労しておるのだな 」
鈴々「袁術が悪いのだ! 」
海「この子達を追い出してまであの男(一刀)を取り返す必要なんてありませんよ!あいつはこの町に置いておきましょう! 」
朱里「それは困りますよ!? 」
桃香「あ〜ん!どうしたらいいんだろう! 」
みんなが悩んでいると
ガサッ!
茂みから何かが移動した。
愛紗「(!?。今のはもしや!?) 」
愛紗が思っていると
朱里「こういうのはどうでしょうか?私達が化け物に変装して袁術さんに民を大事にするよう脅かす(おどかす)んです! 」
海「孔明、あんた今日は冴えてるじゃない!? 」
桃香「その手でいこう! 」
しばらくして
袁術の部屋の前
鈴々「準備万端なのだ! 」
ジャンッ!
化け物の姿でスタンバイする愛紗達
愛紗「こんな姿で大丈夫なのか? 」
星「大丈夫だとも!愛紗なら素顔で子供が泣くくらいだからな 」
愛紗「星!♯ 」
朱里「はわわ!?静かにしてください!? 」
桃香「それじゃあ皆さんいきますよ! 」
そして化け物に変装した愛紗達が美羽の部屋にいこうとしたその時!
美羽「ひぇ〜っ!? 」
美羽の部屋から美羽の叫び声が聞こえてきた。
愛紗「何事だ!? 」
海「何が起きたのよ!? 」
スッスッ!
愛紗達が部屋を覗いてみるとそこには
ゴゴゴッ…!!
美羽「はわわ!? 」
目の前に迫る鬼に怯えまくる美羽がいた。
鬼『袁術!貴様の民を思わぬ心に怒りを感じて地獄からやって来たのだ!俺の怒りを静めたければ税金を取るのをやめて貧しい人々を大事にしろ!♯ 』
美羽「わかりましたのですじゃ!?これからは貧しい人々を大事にするから許してたもう!? 」
鬼を前にしてびびりまくる美羽
鬼『それと人質になっている男を解放しろ!でなければ貴様を食ってやる!♯ 』
美羽「ひぇ〜っ!?解放するから食わないでほしいのじゃ〜!? 」
鬼『それならよろしい 』
スッ!
そして鬼は消えていった。
この状況を見た愛紗達は
桃香「お…鬼が!? 」
海「鬼なんて迷信ですよ!? 」
朱里「はわわ〜!? 」
鈴々「怖かったのだ!? 」
星「愛紗もびびったであろう!? 」
星は愛紗の方を見るが
愛紗「・・・ 」
愛紗は気絶しているわけでもなく平然としていた。
そして次の日の朝
一刀「やっと解放されたぜ! 」
一刀が美羽の城から出てくると
鈴々「お兄ちゃん! 」
ガバッ!
いきなり鈴々が飛び付いてきた。
桃香「一刀さん無事でよかったです 」
海「こいつなんて別にどうなってもいいじゃん 」
朱里「はわわ!? 」
星「これでまた揃ったわけだな 」
一刀「そういうことだ!宝剣も返ってきたし桃花村に帰ろう! 」
みんなは翠達の待つ桃花村に帰ることにした。
だが愛紗は一刀を見つめてこう思っていた。
愛紗「(昨夜に気配を感じたのと鬼の正体はやはり一刀殿だったか) 」
実は昨夜、茂みから移動したのは気になって様子を見に来た一刀であり、その後隣の部屋に潜み、気を鬼の形に変えて美羽に説教したのだった。
このことは愛紗しか知らないことになるのだった。
次回、北郷三羽烏の三人が登場