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「数え役満姉妹」

麗羽の馬鹿のせいで渡してしまった宝剣を取り返しに袁術のところにいくことになった一刀達一行


そんなある日


一行がとある街を訪れていると


ガヤガヤ


一刀「何だか街の様子が騒がしいな 」


愛紗「祭りでもあるのでしょうか? 」


一刀達が街の様子を不思議に思っていたその時


桃香「あーっ!? 」


桃香が急に叫び出した。


鈴々「劉備お姉ちゃんどうしたのだ!? 」


星「強盗でも見かけたのか? 」


だが実際桃香が見たものは


バァンッ!!


一枚のポスターだった。


朱里「この張り紙がどうしたんですか? 」


海「ちょっと文章を読んでみなさいよ! 」


そして文章を読んでみると


一刀「何々…数え役満姉妹(シスターズ)本日講演決定 」


ようするにライヴのポスターである。


鈴々「数え役満姉妹って何なのだ? 」


鈴々が聞くと


桃香「知らないんですか!?いま大陸全てが応援している人気者ですよ! 」


とはいっても桃花村はどちらかというと田舎(いなか)の村なので知るわけがなかった。


桃香「張三姉妹っていう姉妹の一団なんですけど歌がすごくうまくてかわいい衣装も人気が高いんですよ! 」


海「劉備様は数え役満姉妹の支持者(ファン)だからね〜 」


桃香「キラリとした表情で眼鏡をかけた人和こと張梁、盛り上げ役の地和こと張宝、そしていつも明るい天和こと張角の三姉妹なんですよ!まさかこの街で講演やるなんて感激です〜!! 」


一人で熱くなる桃香に


愛紗「あのぅ劉備殿、我々は一刻も早く宝剣を取り戻さなければ… 」


愛紗が目的を言うと


桃香「(うるうる〜) 」


愛紗「うっ!? 」


チワワのような瞳で見に行きましょうよ〜。という桃香に愛紗は勝てず


愛紗「まぁ少しくらい寄り道をしても大丈夫でしょう 」


桃香「やったー♪ 」


寄り道を認めてしまうのだった。


その頃、数え役満姉妹の舞台である会場の控え室では


控え室


天和「付き(マネージャー)に聞いたけど今日もお客さん一杯だね〜♪ 」


地和「やっぱりみんなちぃを見に来たのよ 」


人和「姉さん達、あともう少しで開演するから準備しないとね 」


数え役満姉妹の三人が準備をしていると


天和「それにしても私達がこうして人気者になれるなんて昔だったら考えられないよね 」


地和「それもこれもみんなあいつのおかげよね♪ 」


実は彼女達は今でこそ大陸人気のアイドルだが前まではただの奇術師(マジシャン)だったのだ。


どうしてこうなったのかというと話は数ヵ月前に遡る(さかのぼる)。


数ヵ月前


天和「ではこの何もない箱に人が入ります! 」


人和「しばらくすると入った人が箱から消えます 」


スッ! ガチャンッ!


人一人が入れる箱の中に地和が入って扉を閉めると


天和「1・2・3! 」


パカッ!


箱を開けてみると中に入っていたはずの地和の姿がどこにもなかった!?


ガチャンッ!


人和「それではもう一度1・2・3 」


パカッ!


一度箱を閉じてまた開けてみると


ジャーンッ!!


地和「地和ちゃんだよ〜♪ 」


箱の中から地和が現れた。


ここで種明かしをしよう。実はこの箱は二重になっていて後ろの方に扉がついている。地和は箱の後ろに姿を隠しただけなのだ。


天和「どうもありがとうございました! 」


観客にお礼を言う天和だが


シーンっ


誰も見ていなかった。


地和「もうっ!何で誰も見てないのよ!♯ 」


人和「そりゃあ同じネタを何度もすれば飽きる人も出てくるわよ 」


実はこのネタはすでに十回以上繰り返されていた。


天和「だったら新しい奇術を考えるしかないよね 」


地和「たとえば剣を何本刺しても平気だとか、帽子から鳩が出るやつとか 」


古くさい奇術である。


人和「予算がないから無理よ 」


だが予算の都合で出来なかった。


天和「仕方ないけど次の村で稼ぐしかないよね 」


地和「あーもうっ野宿は嫌!大金稼いでお布団で寝たーい! 」


地和が叫んでいると


?「ちょっとよろしいですか 」


人和「何ですか? 」


眼鏡をかけた導師服を着た男が人和に話しかけてきた。


于吉「私の名は于吉といいます。先ほどの奇術を見てあなた達にプレゼントしたいのです。是非受け取ってください 」


スッ!


そう言って于吉は張三姉妹に一冊の本を渡した。


地和「何よこの古くさくて(カビ)がはえていそうな本は? 」


たぶん本にカビははえない


于吉「その本は太平要術といって持ち主の願いを叶える書物です。では私はこれで 」


ササッ!


そして于吉が去っていったあと


人和「この本どうする? 」


地和「あいつなんか胡散臭そうな雰囲気だし燃やして(たきぎ)がわりにしたほうがよくない 」


地和が言うと


スッ!


天和「燃やしちゃダメだよ!願いを叶えるのがホントだったら… 」


パラッ…


二人から本を奪った天和はページをめくろうとする。


地和「ちょっと姉さん!? 」


人和「勝手に開けたら大変だよ!? 」


妹達は天和を止めようとするが間に合わない!


天和「私達が大陸で一番の人気者になりたいなぁ〜 」


パラッ!


そして天和がページをめくった瞬間


パァーッ!!


太平要術から光が放たれて


シャキンッ!


三人の服が変わっていく!?


そして光が弱まると


人和「何なのよこの服!? 」


地和「目立ちまくりじゃない!? 」


天和「かわい〜い♪ 」


ジャーンッ!!


三人の服は普段の町娘のような服からアイドルが着そうな服に変わっていた。


地和「おまけに何だか知らないものが出てきたわよ 」


スッ


天和がそれを拾って


天和「何だろうねこれ?(高音) 」


地和「姉さんの声が急に大きくなった!? 」


人和「どうやらそれは声を大きくする道具のようね!? 」


ちなみに天和が拾ったのはマイクである。


天和「じゃあこれを使って大好きな歌を歌おうよ♪ 」


地和「歌か 」


人和「いいかもしれないわね 」


実は彼女達は歌がうまいという能力があった。だが声が大きく出せないというので断念したのだ。


天和「私達の歌を大陸中に広めちゃおう! 」


三人『おぉーっ! 』


こうして今では一部を除いて大陸中で知らない人はいない数え役満姉妹が誕生したのだった。


現在


地和「よーしっ!今日も観客をちぃの(とりこ)にしてあげるんだから! 」


やる気の上がる地和だが


ガタッ!


人和「姉さんどこいくの? 」


天和がいきなり立ち上がった。


天和「ちょっと会場近くを見に行ってくるよ♪ 」


人和「ちょっと姉さん、時間が… 」


天和「すぐに帰るからさ〜♪ 」


ダッ!


そして天和は控え室から出ていった。


人和「まったく、姉さんはいつまでたっても天真爛漫(てんしんらんまん・無邪気ということ)ね 」


地和「姉さんが天真爛漫なのは治らないって、まぁ普段着だから私達だとわからないでしょ 」


その頃、一刀達は


ガヤガヤ


数え役満姉妹のコンサート会場に来ていた。


桃香「早く早く!早くしないと入場券が売り切れちゃいますよ! 」


数え役満姉妹のコンサートを見るには入場券が必要なのだ。


鈴々「あっちのお菓子を食べたいのだ! 」


愛紗「二人とも落ち着け! 」


入場券を買いたい桃香とお菓子を食べたい鈴々とで意見が分かれている。しかもどちらか片方をとればもう片方が手に入らない状況だ。


一刀「だったら別行動にしないか?それぞれ行きたいとこがあるらしいしさ、開演の時間前に集合したらいいじゃん 」


一刀が提案すると


朱里「その手がありましたね 」


海「あんたって意外と頭いいじゃない 」


というよりも単純すぎて朱里が思い付かなかっただけなのだが


桃香「賛成!そうと決めたら海ちゃん、趙雲さん一緒にいこう! 」


ビュンッ!!


鈴々「愛紗と朱里は鈴々についてくるのだ! 」


ビュンッ!!


そしてこの場に一刀だけが残ると


一刀「作戦通り(にやりっ) 」


一刀の目的は何がなんでもそれぞれ別行動にすることだった。その理由は…


一刀「愛紗がいると『無駄遣いしてはいけません!♯』って怒るからな、さっき見かけた抱き枕を買ってこよっと♪ 」


誰にも気づかれず抱き枕を買うためだった。


そして一刀が抱き枕を売っている店に向かっていると


?「放してください! 」


どこかで女の子の悲鳴が聞こえてきた。


一刀「いまの悲鳴は? 」


きょろきょろっ


一刀が悲鳴の出所を探していると


バンッ!


女の子が二人の男に襲われていた。


?「放してください! 」


男「いいじゃねぇか 」


男「俺達と一緒に遊ぼうぜ胸のでかい姉ちゃんよう! 」


ぐいっ!


嫌がる女の子の手を無理矢理引き寄せる男達。周りの人は巻き込まれたくないとばかりに知らん顔。


?「(やっぱりちぃちゃん達と一緒に待ってればよかったよ〜) 」


もう分かっている人もいると思うがこの女の子は天和である。会場近くを見に来たところ男に絡まれたのだった。天和が泣いていると


ドカッ!☆ミ


男「ぐえっ!? 」


バタリッ!


天和の手を握っていた男が急に倒れた。


天和「何が起きたの!? 」


スッ


天和が倒れた男の後ろを見てみると


一刀「女の子を泣かしちゃいけないよ 」


バンッ!


そこには一刀が立っていた。


男「この野郎!正義の味方気取りかよ! 」


ジャキンッ!


男「死にやがれ! 」


シュッ!


天和「きゃっ!? 」


男は懐に隠していた小刀で一刀を切りつけようとするが


サッ!


一刀「遅すぎ…なんだよ! 」


ドグボッ!!


男「ぐほっ!? 」


小刀を軽く避けた一刀は男の腹に一撃を食らわした。


一刀「大丈夫でしたか? 」


男達を倒した一刀が天和に聞くと


天和「はいっ!ありがとうございます!/// 」


一刀「(何で顔が赤いんだ?) 」


どうやら一刀の姿を見て惚れてしまったようだが鈍感な一刀が気づくことはなかった。


天和「あの、よかったらお礼を… 」


一刀「やべっ!?急がないと売り切れるかも!?それじゃあまたね! 」


ダッ!


そして一刀は本来の目的である抱き枕を購入しにいった。


一刀が去った後


天和「あの人、かっこいいな 」


また一刀に惚れた人が増えたのだった。


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