「目覚めよ一刀!」
愛紗と翠が劉備に連れられて桃花村を出掛けてから数時間後
桃花村・庄屋の屋敷
朱里「一刀さ〜ん!いい加減に起きてくださいよ〜! 」
ゆさゆっさ
朱里は未だ寝ている一刀を起こすため揺さぶるが
一刀「ぐおーっ! 」
一刀は全然起きる気配がなかった。
朱里「こうなったら最後の手段として鼻をつまむしか! 」
※寝ている人の鼻をつまむと息ができないため人を起こすことができるのだ。(マネしないでください)
スッ!
そして朱里が一刀の鼻をつまむべく手を伸ばそうとすると
ガチャンッ!
伽留「大変だよ孔明(朱里)!? 」
いきなり高蘭(真名を伽留牙、通称伽留)が部屋の中に入ってきた。
朱里「はわわ!?どうしたんですか高蘭さん!? 」
朱里が聞くと
伽留「見張り台からの報告で賊の大群がこの村に攻めてくるらしいよ!? 」
朱里「はわわ!? 」
愛紗と翠はいなく、鈴々は風邪で寝込み、戦えるのが弓を使う伽留と数人の村人だけという厳しい情況であった。
朱里「とりあえず弓隊の皆さんは矢を放って賊が来るのを少しでも遅らせるようにしてください!それと誰か伝令を関羽さん達の所へ、その間に私は何とか策を考えてみます! 」
伽留「わかった 」
ダダッ!
朱里の話を聞いた伽留は直ぐ様駆け出していった。
朱里「(関羽さん、早く帰ってきてください!) 」
桃花村が危機に陥る数時間前、愛紗達が向かった先では
劉備「何進将軍、桃花村義勇軍隊長劉備玄徳、お呼ばれにつき参上しました 」
スッ
劉備が何進将軍に対して頭を下げる
何進「堅苦しい挨拶は別によい、他のものもすでに来ておるから入るがよい 」
何進将軍…大陸の中でもすごい権力をもつ人物であり曹操(真名を華琳)よりも高い位の人物。
翠「(この人が何進将軍!?) 」
愛紗「(確かに偉い人だな!?) 」
ゴゴゴッ…!!
愛紗と翠が何進将軍の出す覇気に驚いていると
華琳「あらっ、関羽に馬超じゃない 」
バンッ!
そこには既に華琳達が来ていた。
愛紗「曹操殿!? 」
華琳「へぇ、しばらく見ていないと思ったらあなた達劉備に仕えていたのね、それにしても今日はちびっこと男がいないようだけどどうしたの? 」
華琳が聞いてくると
翠「張飛と北郷なら今村で休んでるぜ 」
華琳「そう 」
華琳が言うと
劉備「おやおや関羽殿、曹操殿達とはお知り合いでしたか? 」
ぬっ
横から劉備が会話に入ってきた。
華琳「知り合いも何も関羽とは互いに裸を見せ合った仲だもの 」
愛紗「わーっ!わーっ!/// 」
聞き方によっては誤解を招く言葉である。
劉備「それはすごい仲ですね!? 」
さすがの劉備も少しばかり退いていた。
そして軍義が始まる。
何進「この先の砦に連合軍がいると聞く、その数はわからんが誰か向かうものはおるか?行けば褒美をたんまりとらせるぞ 」
だが軍義に出ていた華琳をはじめとする将達は誰一人として名乗りをあげなかった。
華琳「(冗談じゃないわ!いくら褒美をくれるといっても敵の数がわからないのに出陣するわけないじゃない!) 」
他の人達も華琳と同じことを思っていた。
ところが
スッ!
劉備「何進将軍、その役目私にお任せください 」
!?
いきなり劉備が手をあげたことにみんなが驚いた。
何進「おぉっ、劉備とやら行ってくれるか 」
劉備「はいお任せください 」
劉備が何進に言うと
華琳「あなた何を考えてるの!敵の数がわからないのに出陣するなんて馬鹿じゃないの! 」
華琳は劉備に言うが
劉備「我が軍をあなたのような弱虫の軍と一緒にしないでもらいたい 」
華琳「なんですって!♯ 」
ジャキンッ!
華琳は死神鎌・絶を手にとって構える。
劉備「おやおや口では敵わないから武力でやるとはやはり弱虫のすることだ 」
華琳「くっ! 」
今この場で劉備を切り裂くことなんて華琳には簡単なことだが、もしそれをしたら華琳は弱虫扱いにされてしまう。なので華琳はうかつに斬りかかれなかった。
劉備「皆さんも知っての通り、我が軍には関羽と馬超がいる。この二人の豪傑がいれば連合軍なんて赤子に等しい!私は宣言します。何進将軍に勝利という二文字を差し上げましょう! 」
バンッ!
劉備が言うと
何進「あっぱれじゃ劉備殿、連合軍を撃破したらお主に莫大な富(財産)を差し上げよう! 」
劉備「ありがたきお言葉ありがとうございます! 」
そして劉備軍天幕
翠「曹操の言う通りだよこの馬鹿!♯ 」
軍義での話をした劉備は翠に怒られた。
愛紗「止めないか馬超殿、劉備殿だって連合軍を倒したい一心で決めたことだ! 」
劉備「そ…そうだとも!? 」
もちろん劉備の狙いは別にある。それはやはり褒美が欲しいためだけである。
翠「関羽!あんたおかしいぜ、何故こんなやつに肩入れするんだ!こいつのことが好きなのかよ! 」
愛紗「なっ!?///それは関係なかろう! 」
口喧嘩をしだす愛紗と翠
とそこへ
兵士「ご報告があります 」
一人の兵士が天幕に入ってきた。
劉備「何があった? 」
劉備が兵士に聞くと
兵士「桃花村が賊の襲撃にあい、至急帰還するようにと! 」
愛紗・翠『!? 』
さっきまで口喧嘩していたはずの二人が兵士の話を聞いて驚いた。
だが劉備は
劉備「帰還する必要はない! 」
バンッ!
劉備が言い切ると
愛紗「何を言うのですか!?村には鈴々、孔明、高蘭、一刀殿や村人達がいるのですよ! 」
愛紗は必死で劉備にいうが
劉備「だからどうしたというのだ?我々が今すべきことは連合軍を壊滅させることだ。そのためには村の一つや二つ犠牲にならないとね 」
劉備が言うと
翠「こ…この野郎!♯ 」
ブォンッ!!
翠は劉備に拳を繰り出すが
愛紗「馬超殿、やめろっ! 」
ピタッ!
翠の拳はもう少しで劉備に当たる直前に止められた。
劉備「さすがは関羽殿、私を助けてくださるとは… 」
そして劉備が愛紗に近づくと
グイッ!!
愛紗は劉備の胸ぐらをつかんだ。
ギロリッ!!
愛紗は劉備を睨み付ける。
劉備「何だその目は!?私を殴ったら反逆罪で逮捕するぞ!? 」
だが愛紗は
パッ ドスンッ!
劉備の胸ぐらから手を離すと
愛紗「あなたには殴る価値もありません。私が殴る人は信頼する人物すなわち北郷一刀殿だけだ! 」
バンッ!
愛紗は劉備に言い切ると
愛紗「失礼する! 」
スッ!
そのまま立ち去っていった。
翠「関羽が帰るならあたしも帰らせてもらうぜ 」
スッ!
そして翠も立ち去るのだった。
一人残された劉備は
劉備「・・・!? 」
魂が抜けたように呆然とするしかなかった。
その少し前、桃花村では
シュシュンッ!
賊「ぐはっ!? 」
伽留率いる弓隊が何とか賊の進行を遅らせていた。
賊「怯むな!盾で防げば弓なんて怖くない! 」
カカカンッ!
だが賊達は盾で弓を防いで進行してくる。
伽留「くっそー!あいつら盾使うなんて卑怯じゃん!♯ 」
これも戦略といえよう
伽留「(こうなったら仕方がない) 」
スッ パンッ!
伽留は弓を置いて手を合わせると
伽留「水よ、我に力を! 」
伽留が言った瞬間
ブシューッ!!
桃花村の近くの川が勢いよく噴射し
賊達『ぐわーっ!? 』
ドドドーッ!!
賊達を一気に流した。
実は伽留には水を操る力があるのだ。
伽留「(いけないっ!これ以上水を使ったら川の水がなくなってしまう!?) 」
シュンッ
伽留は川の水がなくなってしまうを防ぐため操るのをやめた。
賊「おっ!水がおさまったようだぞ、それ進軍だ! 」
だが水がおさまったのをチャンスとみた賊がさらに進軍をしてきた。
伽留「あーもうっ!早く帰ってきてよ関羽! 」
その頃、庄屋の屋敷では
ヨロヨロッ
鈴々「愛紗がいない分鈴々が頑張るのだ〜!ゴホッ! 」
鈴々が風邪で倒れている体に鞭を打って歩いていると
朱里「はわわ!?一刀さ〜んいい加減に起きてくださいよ〜! 」
ゆさゆっさ!
必死で一刀を起こす朱里を見かけた。
朱里「こうなったらホントに鼻をつまみますよ! 」
スッ
朱里が一刀の鼻をつまむべく手を伸ばしたその時
鈴々「何するのだ朱里? 」
後ろからいきなり鈴々の声が聞こえてきて
朱里「はわわ!? 」
ずるっ! ドシンッ!
驚いた朱里は一刀の服をめくりながら倒れてしまった。
朱里「もう鈴々ちゃん!いきなり驚かさないでくださいよ! 」
鈴々「ごめんなのだ。ってあれ?お兄ちゃんのお腹に何かくっついているのだ 」
スッ
鈴々は一刀の腹を指差すと
朱里「はわわ!?これは!? 」
ババーンッ!
一刀の腹の上に一枚の葉っぱがあった。
朱里「この葉っぱは麻酔草(架空の植物)ですよ!? 」
麻酔草…体のどこにでも張り付けるだけで眠らせる草。張り付いている間は剥がさない限り何をしても絶対に起きないし、張られた人も起きることができない。一種の麻酔薬だが今では滅多に手に入らない貴重種である。
鈴々「つまりこの葉っぱを剥がせばお兄ちゃんは目を覚ますのか? 」
鈴々が朱里に聞いてくると
朱里「そのはずです!きっと洞穴で一夜を過ごした時に偶然一刀さんのお腹に張り付いたんでしょうね 」
ベリッ!
そして朱里は勢いよく葉を剥がした。
ドクンッ!
その直後!?
桃花村・入り口
賊「さぁて、とうとう村に到着だぜ! 」
伽留の頑張りもむなしく賊達は村の入り口に到着してしまった。
賊「よしっ!侵入だ 」
ピタッ!
そして賊が門に触れた瞬間
ドッカーンッ!!
賊達『ぐわーっ!? 』
いきなり賊達がぶっ飛ばされた。何故ならば
一刀「寝起きの運動にはちょうどいいな 」
バンッ!
門には一刀が立ち塞いでいたからだ。
一刀「さぁ!賊共、来るなら来いや! 」
気合いを入れる一刀
そしてその頃、
紫苑「あのぅ、桃花村はどちらでしょうか? 」
男「桃花村ならあっちだよ。それにしてもあんたみたいな子連れのべっぴんさんがあの村に何か用か? 」
男の質問に紫苑は
紫苑「嫌ですわべっぴんさんだなんて///前にお世話になった人がいるんです。さぁ、行くわよ璃々 」
璃々「うんっ!お母さん 」
桃花村に向かう紫苑親子
星「ふふっ、皆に会うのも久しぶりだな 」
同じく桃花村に向かう星
愛紗「待ってろよ鈴々! 」
パカパカッ!
馬を急がせる愛紗と翠
今、豪傑のみんなが桃花村に急ごうとしていた。