《もう消えた伝承》
むかし、むかし、そのまたむかし。毎年起こる川の氾濫。村人みんな悩んでいたそうな。ある夜の村の長者の夢の中。一匹の白蛇が出てきたそうな。
白蛇は村の池の守り神。
生贄を捧げれば村を守ってやろう。
7人捧げたらもういらぬ。
村人みんなで頭を抱えた。生贄になんぞなりとうない。みんな口々騒ぎ立て、大人どもは話し合い。小さきわが子も年老いた親も。誰も出したくないと頭を抱えて。
影で聞いてた長者の末の娘。
「私が身を捧げましょう」
池に身を捧げる生贄の娘。池の神様は約束を守る。川の氾濫から村を守ったそうな。
選ばれた娘は親孝行者の美しい娘。村一番のべっぴんじゃ。白蛇は娘の家に礼をした。家を栄えさせてやろう。
金はじゃんじゃんわいたそうな。じゃんじゃんじゃん。
だが、娘の母親は毎晩泣いたそうな。
いまはもう、娘は選ばれん。
代わりに、底を見た子が消える。
神様が怒っておるのか、それとも――
もう忘れられたヤクソク。ただソコにあるだけのもの。
――七来池には気を付けろ。
――七来池の・・・・・・様。一度誘われたら捕らわれる。
――黄昏時には気を付けよ。姿を変えて来るのだから。
――・・・・・・様から助かる方法。ただ、水滴を辿ればよい。
――七来池には気を付けよ。喰われずも狭間の闇に落とされる。
そして二度とは戻れない。
むかしこっぷりごぼうの目。




