女王の蛹
私の親友、宮内美結は、誰もがひれ伏すほど完璧な人間だった。彼女の本当の姿を記録したい――そんな想いから、私は卒業制作のドキュメンタリーカメラを、彼女に向けた。
恋人、友人、後輩。取材を進めるうち、彼女に心酔する「使徒」たちの証言に、私は、ある、奇妙な「法則」が潜んでいることに気づき始める。
彼女の「優しさ」は、本当に善意なのか。
彼女の「救済」は、なぜ、いつも完璧すぎるのか。
ファインダー越しに見えてきたのは、私が愛した親友の顔ではなかった。
人の心の弱さ(あな)を見つけ出し、そこに入り込むことで、魂ごと支配する、美しき怪物。
カメラは、回し続けてはいけなかった。
私が最後に映し出すものが、彼女の真実か、それとも、共犯者になった私自身の、絶望の記録かも、分からないのだから。
――これは、私の身に起きた、衝撃の実話である。
恋人、友人、後輩。取材を進めるうち、彼女に心酔する「使徒」たちの証言に、私は、ある、奇妙な「法則」が潜んでいることに気づき始める。
彼女の「優しさ」は、本当に善意なのか。
彼女の「救済」は、なぜ、いつも完璧すぎるのか。
ファインダー越しに見えてきたのは、私が愛した親友の顔ではなかった。
人の心の弱さ(あな)を見つけ出し、そこに入り込むことで、魂ごと支配する、美しき怪物。
カメラは、回し続けてはいけなかった。
私が最後に映し出すものが、彼女の真実か、それとも、共犯者になった私自身の、絶望の記録かも、分からないのだから。
――これは、私の身に起きた、衝撃の実話である。