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ヲタク道へのすゝめ

作者: 宰相トマワ

みなさんこんにちは。或いは、こんばんは。ヲタク道へようこそ。これはヲタクを極めることによる精神統一を、哲学的観点を用いながら考察していくエッセイです。これを通して皆様の人生が実あるものになることを願っております。

 さて本題に入りますが、ヲタクはキモイと思いますか?結論、客観的事実としてキモイです。コロナ以降、ヲタクは人権を持ったふうに思われました。しかしそれは屋内で楽しめるサブカル文化が浸透しただけで結局突き詰めていったヲタクは何も変わっていないのです。

 ここまで読んで、落胆された方も多いでしょう。なんだ、タイトル詐欺では無いかと。しかし私はあくまでヲタクを貶めるつもりはありません。寧ろその「キモさ」こそ重要な心だと思っております。

 まず初めに、何故ヲタクは気持ち悪いと思われるのでしょうか。勿論劣悪な身だしなみや清潔感というのも非常に大きな要素でしょう。しかしルックスのみがヲタクの敬遠される要素でないことは確かです。今貴方の周りに美形のヲタクはいますでしょうか?その人は普通の美形の人間と比べてどうでしょうか?気持ち悪いですよね。つまりヲタクの気持ち悪さはルックスから来るものではなく本質的にはその内面から来るものなのです。

 ヲタクの内面が気持ち悪いと言われて多分みなさんふつふつと怒りが湧いてきたでしょう。人格否定とか、馬鹿にしてるのかと。しかし違います。その気持ち悪い内面こそがヲタク道の核心、精神統一の最も重要な鍵なのです。

 気持ち悪いと言う感情は、己を含めた大多数と異なる違和感から生じるものです。何故大多数の人間と異なる精神にそのような感情を抱くのかと言うと己が定まっておらず、大多数の人間という「最も答えらしいもの」になんとなく縋る不安定なものだからです。一方のヲタクには推しがいます。芯が定まっています。つまりヲタクの道を行くというのは誰よりも精神が強固で高尚なものなのです。

 次に、ヲタクの精神性の合理性について考察していきましょう。産業革命以前に於ける宗教の力は絶対的でした。今考えれば絶望でしか無い状況でも宗教により一定度の精神の安寧を得ることができました。しかし産業革命以降宗教の教えの過ちが技術革新により露呈していき挙げ句の果てにニーチェの「神は死んだ」という名言に繋がっていきました。これは神や霊という虚構を見て生身の個人を蔑ろにしてることに疑問を抱いたことで発せられた文言です。このニヒリズム的価値観は世界を覆いこの令和の世に至るまで隅々まで行き渡りました。これにより物的な豊かさは飛躍的に向上しましたがそれは同時に精神の不安定をもたらすこととなりました。信条も愛もないのです。

 そんな現代世界に新たな精神価値観をもたらしたのがヲタクです。ヲタクによる二次元崇拝は合理性を持ち合わせたプラトニズムと言いましょうか、崇拝対象は虚構でありながら虚構では無いという奇妙な二面性を持ち合わせています。三次元空間に於いてその存在は知覚できず、虚構と言える。しかし二次元空間には確かに存在しており、それは虚構では無いのです。二次元空間と三次元空間を繋ぐ隙間は、虚構を強制された解釈で洗脳される信仰とは異なり、純粋な愛により他者に阻害されることのない揺るぎない愛で埋められます。即ち、宗教の過ちを否定し遥かな昇華を経た存在なのがヲタクであります。既存の宗教を根底から修正し、新たな洗礼された心の拠り所となります。この新時代の現象は旧称を用いるのであればreligion2.0とさえ言えるでしょう。

 最後に、ヲタクの高尚性が分かった今その「道」とは何かを考察していこうと思います。これには大相撲の横綱道にも類似した点があると言えましょう。大相撲の横綱の道としましては、神の拠り所となり、絶対的な実力を持つこととなった己が、相手力士の相撲を全て受け止め、その上で圧倒することでその愛を振りまくというものです。ヲタクも推しから絶対的な存在で全て受け入れられ、その愛を無条件で与えられています。そしてヲタクは与えられた強大な精神と愛を持っています。そのためヲタクは何を言われようと受け止め、その揺るぎない精神性を持ってして愛を与えるべきなのです。ヲタクキモイと言われて怒っていませんか?それは己の精神を信じていないからです。推しを馬鹿にされてムキになっていませんか?それは推しからの愛を信じていないからです。どれだけ言われようが愛を持って立ち振る舞えば変態紳士と呼べ、変態紳士が一切の迷いを断ち切り、推しとの愛を全力で信じればそれこそがヲタク道なのです。

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