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銀の太陽 紺の月  作者: ミソラ


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新世界へ3

 あの後、折に触れて件の捜査の進捗も教えてもらいました。


 原嶋杏香さんはとあるパーティーで某国のエージェントと知り合ったことが判明しました。

 当時、アパレル事業の資金繰りに苦労していた杏香さんは、その人物に資金提供を持ちかけられ、その見返りとして日本のアンドロイド技術を盗むことを依頼されたそうです。


 某国の技術も進んでいるのですが、日本の細やかな心の機微を掬い上げるような性能と、人間と遜色のない造形の技術を欲しがったようです。


 杏香さんはタクトを教育して某国に渡すところまで請け負ったのですが、タクトと過ごすうちに情が湧いたそうです。どんなに酷いことをしても純粋なタクトを某国に渡すのことに罪悪感を感じ始めた時に、タクトは暴漢に襲われました。

 その暴漢は某国の差金で、タクトがどこまで残酷になれるのか試したのだと。


「もう無理だ。」と言うタクトと、某国のやり方に疑問を持ち始めた杏香さんは、それならば故障したことにして学習したことを全て初期化するか、いっそのことスクラップしようと考えたのです。


 そしてタクトと浅見さんが杏香さんのもとから逃亡しました。

 杏香さんは逃亡先を予測していましたが、某国には捜索しているふりをして時間稼ぎをしていたそうです。

 しかし二人がソピアに入ったことが判明した時にごまかしきれなくなり、いっそのことタクトを破壊しようとソピアに戻ってきたそうです。

 あの杏香さんについていた警備用アンドロイドは某国によって改造された、杏香さんの監視用でもありました。


 そしてタクトに再会した時、タクトの表情に驚いたそうです。ソピアに入ってからのわずかな時間にとても成長していたのが感じられたので。

 だからあの時、警備用アンドロイドを引き連れて建物の中に入り、私たちを逃す隙を作ったのです。


 ご主人さまが現れた時、杏香さんはタクトが救われるかもしれないと安心したそうです。


 しかし罪は罪です。某国への技術漏洩は未遂に終わったとはいえ許されることはありませんし、今後似たような事例が起こらないとは限らないので裁判にかけられた後、判決が下されます。


 *


「杏香さまは僕にとって母親だったなあ。厳しいお母さん。教育虐待って言うの?」

「笑えないです。」

 鞭を使うお母さんはどうなんでしょう。

「でもねー、杏香さまが怖いお母さん、浅見が甘いお父さんって感じなんだよね。」


 なんだか羨ましいです。……多野さんは「お父さん」とは思えないし。強いて言えば紫衣さんは「お母さん」と言えないこともないけど怒られそうです。


「あ、でもやっぱりお母さんじゃないか。お母さんとはキスしたりあんなことしないもんね?」


 ……なんでしょうか、このモヤモヤしか感じは。とりあえずタクトの頭を叩きたい気分です。

 

 立ち上がり空を見ると陽が傾きかけ、先ほどまで白かった月がだんだんと光を帯びてきました。

「どうしたの? リーア。」

「いえ。……月が綺麗だと思いまして。」

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