対峙6
「驚いたね。タクトにプログラムの自動生成機能をつけたと言っていたが、ここまでとはね。」
数日後、プログラムソースを解析したご主人さまがため息混じりに話しました。
会議室にはご主人さま、浅見さん、多野さんと紫衣さんもいます。
タクトは自動生成したプログラムを二次元コード化し、それを私に読み込ませることで私に『感情』を植え付けたのだそうです。ご主人さまが画面に表示された解析結果を見ながら浅見さんをちらりと見ました。
「予測は?」
「ある程度は。でも会話ができるリーアだったから成り立ったんだと思います。」
「リーアちゃんに『感情』かぁ。うーん、感動だなあ。」
「多野くん、照り照りしてきたわよ。」
「今言うことか!?」
「ま、とにかくこの機能は削除するよ。いいね? 浅見くん。」
「はい。」
「え、なんで削除するんですか?」
多野さんの質問にご主人さまが苦笑混じりに答えました。
「他者であるアンドロイドをコントロールする危険な機能だ。目が合ったアンドロイド全てを虜にするような。」
「浮気し放題ってことですかっ!」
多野さんがまた目をキラキラさせています。紫衣さんが呆れたような冷たい目で多野さんを見ています。
「浮気……?」
私が首を傾げていると「浮気なんかしないよ!」とタクトが慌てています。
「浮気ならまだ……ってことはないけど、それこそタクトがアンドロイドを扇動して人間に取って代わる行動を起こすことも可能になるということだ。」
「そうですね。「負」の研究材料としては価値があると思いますが余りにも危険です。タクトから削除した後、ソースは厳重に保管しなければいけません。」
浅見さんの言葉にご主人さまが頷きました。
「タクトがここまで成長したのは自動生成機能のおかげでもある。試しに生成されたプログラムをコードに載せるのを停止させてみる。このプログラムは私たちだけの機密としよう。」
つまりタクトがスクラップされる懸念材料を一つ消したことになります。
その後、プログラムの自動生成機能は残し、瞳の奥の二次元コードに変換するシステムは削除されました。そしてしばらく不具合がないか観察期間が設けられました。
期間終了後に異常がないことが確認されたのでタクトの存在を国に報告することになりました。
私の書き換えられたプログラムソースも解析され、適切に修正されることも決まりました。




