対峙3
「タクト。」
いつのまにか私の背後にタクトが立って笑顔で私を見下ろしていました。
「リーア、よかった。壊れてなくて本当によかった。作り直せても僕にとってのリーアは今目の前にいるリーアだよ。」
「……タクト、リーア。とりあえずここから離れよう。」
音を立てないように雑木林の中を移動します。
「リーアはどこで彼女に捕まったの?」
「この雑木林の入り口です。」
「タクトが会えないって手紙を出したよね? 自分の判断で屋敷に帰らずここまで来たの!?」
「浅見、声が大きいよ。」
「けどさ……。あ、それよりリーア、君のGPSは生きてる?」
「はい。生きています。」
「じゃあもうすぐ来るか。アンドロイドがこんなところにいたら中央センターからすっ飛んでくるよ。」
私たちは腰の高さまで茂った草の中にしゃがみ込みました。かろうじて建物が見えます。なぜかさっきからずっとタクトが「よかった、よかった。」と呟きながら私の頭を撫でています。
そこへ中央センターの車がやってきました。
「早かったね。」
浅見さんがふふっと笑いました。
「逃げる時に原嶋さんがタクトを監視する回路は切って、タクトが原嶋さんの位置情報を感知する機能は残したんだ。だから原嶋さんが近づいて来たのはわかっていたんだ。……リーアが来たのは誤算だったけど、いい方に進んでくれたよ。」
「ほんとだよ。すごく焦ったんだからね。どうして来たの?」
「わかりません。」
「わかりませんて……。」
中央センターの車からご主人さま、多野さんと何人かの職員と警備用アンドロイドが降りてきました。
「しかし中央センターの警備用アンドロイドは二体かあ。原嶋さんのアンドロイドは改造してあるんだよ。大丈夫かなあ。」
「僕も出た方がいい?」
「最終手段だね。その必要が出る前に動くよ。」
「タクトは恋人用アンドロイドなのに強いのですか。」
「うん、原嶋さんの要望があったのと、やっぱり逃亡する上で何かと安心だから強化しておいた。」
「そうですか。」
浅見さんは私を見てなにか考えているようでした。そしてちらっとタクトの方を見ると、タクトは視線を逸らしました。
建物の前ではご主人さまと原嶋さんがなにやら言い争っています。
「そろそろかな。行こうか。」
浅見さんががさっと音を立てて立ち上がると建物の前のヒューマン達の視線が集まりました。
「話し合いは終わりましたかー?」
「浅見くん!? リーアまで?」
「タクト!」




