浅見side4
タクトは閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げた。
「浅見。」
「うん、わかってる。」
俺は薄暗い部屋の中で次々と切り替わるモニターからパソコンの方に目を移した。
「……浅見、いいんだよ? 僕を使い物にならないようにして君が斎木教授の所に行けば全て解決するよ。」
「なに言ってるんだよ。」
俺の心の中は苦しみと喜びがないまぜになった。タクトにそんな判断をさせた苦しみと自分が作り上げたタクトが進化していることへの喜び。
タクトを見ると目を伏せて俯いている。本当に魂がないのかと疑ってしまうほど『人間』だ。
……そう、俺は神じゃない。禁忌を冒してしまったのだろう。でも自分が作り育てた存在をみすみす壊すわけにはいかない。そんなもののためにはプライドを捨てなきゃいけない。そしてタクトの行末に責任を持たなければいけない。
彼女がソピアに帰ってきた。まだこの建物が見つかるのは先だろう。
「そういえばタクト、独断でリーアにまた会ったんだろう? それはどうなんだ?」
タクトがバツの悪そうな顔をした。
「うん……。浅見に僕のデータを渡したら筒抜けなのはわかってるよ。でもねー……。」
俺は思わず笑ってしまった。
「え、なぜ笑うの?」
「いや。けどタクト、お前は俺の友達なんだよ。無理矢理データを取るようなことはしないよ。タクトは話せるんだし、お前の口から聞ければいい。」
タクトは黙り込んだ。多分ヒューマンなら真っ赤になっていることだろう。
「えーとね、明日も会う。浅見の食べるものを持ってきてもらうんだ。」
「え、斎木教授の家から? それはヤバいんでは?」
「そうかなあ、リーアならうまくやるよ。」
そういうことじゃない。タクトに比べればまだまだ自分は常識的だと思う。




