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銀の太陽 紺の月  作者: ミソラ


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浅見side1

 大学院を卒業する頃には、俺にはすっかり将来への希望なんてものは消え去っていた。

 幼い頃から『天才』『神童』ともてはやされていたが、成長するにつれ妬みや利害に晒されて好きな研究の幅も狭まっていた。その中で唯一フラットに評価してくれていたのが斎木教授だ。


 その後、斎木教授を中心とした特区ソピアの構想に携わることになった。もしかすると思い切り好きなことができるかもと思ったが、蓋を開けてみれば規制にがんじがらめに縛られた計画だった。

 

 俺は当然不満だったが、教授は「ここはスタートラインなんだよ。アンドロイドに対して忌避感を持っている人間はまだまだ多い。古い小説のように『アンドロイドやAIに乗っ取られる』みたいなね。」と頭を掻いた。

「結局、アンドロイドを制御するのは人です。アンドロイドだって人間がいないと存在していけないのに。」

「それを理解できないんだよ。残念なことに国の中央でも。『感情』を持ったAIがアンドロイドをまとめ上げて人間を襲うと本気で思っている。」

 俺は呆れてため息をついた。

 

「でもね、浅見くん。みんながそう考えるのもわかるよ。システムを作るのは人間だ。どうしてもバグがあったり漏れがある。AIの学習機能も未知なところがある。だからこの特区で試験してブラッシュアップして実績を作っていくんだよ。」


 俺は渋々了承した。


 斎木教授は俺のことを認めてくれているが、所詮俺は一介のセンター職員だ。しかも作るのは俺の理想とはかけ離れたアンドロイドばかり。


 そんな中、同僚の多野が斎木教授の下でメイドアンドロイドを作った。リーアだ。会話ができる第一号アンドロイド。

 俺は悔しかった。俺に作らせてもらいたかった。


 出来上がったリーアは規定に則った銀色の肌をしているが、ある程度の会話をするアンドロイドだ。状況判断をして適切な返答をする。これからもっと学習していくだろう。

 素晴らしい出来だと思う。でも俺ならもっと……。

 その思いをぶつけるように論文を書き、色々なところへ送った。公表される前に斎木教授がどんな手を使ったのか潰して回っていたようだが。


 それにさらに不満を募らせていた時に近づいてきたのが原嶋杏香だ。俺にとっては偶然、彼女にとっては必然で出会って、悩みを聞いてくれた。いや、悩みではないな。愚痴だ。


『あなたがとても才能に溢れた人だってわかるわ。ね、もっと話が聞きたいわ。すごく興味があるの。』

 彼女はにこっと美しい顔で笑い、金色の粒が煌めくシャンパンのグラスを傾けた。

 それから何度か会い、そして彼女は言った。

『浅見さんが好きなように作るのに協力したいわ。そのためにはこのソピアを出ることになるけど私が援助してあげる。』

 その頃には彼女に対するほんのりとした恋情があったのかもしれない。

 

 何度かの葛藤をしている時、学会でソピアから出ていた俺を一台の車が迎えに来た。

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