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銀の太陽 紺の月  作者: ミソラ


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11/39

彼は何者5

「あなた……本当にアンドロイドなんですか?」

 ゆっくりと顔を向けた私にタクトは綺麗に微笑んだ。

「アンドロイドは……そんなふうには笑いません。それに、肌の色が……。」

 

「僕は恋人用アンドロイドなんだよ。」


 アンドロイドやロボットとはあくまで人口減による労働力を補填するための存在であり、その他の用途は固く禁じられています。肌の色をヒューマンと同じようにすることも『感情』を持つことも世界で禁止されています。

 かつてAIに『感情』を持たせる開発を行ったこともあったようでしたが、危険だということで禁止されたのです。

 それは『悪意』の『感情』を持ったAIが兵器となりうるロボットないしアンドロイドに搭載される恐れを防ぐためです。『感情』のないロボットが兵器に使われるより『悪意』の『感情』を持ち自己で判断ができるロボットが兵器になる方が危険だとされたからです。

 

 私はじっとタクトの瞳を見ました。よく見ると黒に見えた瞳はインクをこぼしたような紺色をしています。その瞳の奥にアンドロイドにしかない二次元コードが見えました。


「僕は、禁じられた存在なんだよ。」


 動けない私に向かってタクトは淡々と言いました。今まで与えられた情報にはないことが目の前で起こり、回路にバグが起こったようです。私は目を閉じて情報の整理をします。それを理解しているタクトは私が動くのをじっと待っていました。


 私がゆっくりと瞼を上げると、タクトは安心したように微笑みました。


「時間をかけて説明するから、一つ一つ理解していって。わかった?」

 私は頷くこともできず、タクトの瞳を見ました。プログラムされていること以外のことを理解することができるかどうかわからなかったからです。しかしタクトはお構いなしに話し始めました。


「浅見に僕の作成を依頼したのは、あるセレブの女性だ。君の住むこのソピアの他にリゾート地にも屋敷を持っていて、そこに滞在する時に彼女を慰めるために作るよう依頼した。うーん、依頼したというより脅迫した、が正しいかな。」

「……特区の外で?」

「うん。」


 ソピアの外でアンドロイドを所持する事なんて有り得ません。大多数のヒューマンにとってアンドロイドの存在は脅威です。

 アンドロイドは知的能力も身体的能力もヒューマンよりはるかに高い。そして、タクトのように完璧な容姿も持てます。

 だから、それを理解し使いこなせる能力を持った者のみ使役することができます。労働力の補填としてのアンドロイドを使いこなすだけでも難しいのです。

 そして選抜を経て選ばれたヒューマン達が住むのが特区(ソピア)なのです。

 そしてアンドロイドはソピアから出られません。出た途端にGPSで追跡され遠隔操作でスイッチが切られます。

 

 その選ばれたはずの、ソピアにも住居を持っているセレブが、天才と言われる研究者を拉致し『感情』を持った自分の理想のアンドロイドを作らせたというのです。

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