表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の太陽 紺の月  作者: ミソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/39

彼は何者4

「ハッキングは犯罪ですよ。」

「知ってる。ハッキングしたのは僕じゃないけどね。」


 カエデの木の下にあるベンチに座り、目の前の噴水を見ています。雨の後の明るい日差しで水しぶきの中に虹ができています。

 

「そのハッキングした人がね、斎木教授に会うのを渋っててさ。でも会わないことには先に進めなくて僕も困ってるんだよ。」

「まあ、ハッキングしておいて何かを頼むっていうのは図々しいです。」

 タクトはまじまじと私を見ました。

「前も思ったけど君は普通のアンドロイドと違うんだな。普通のアンドロイドは会話が成り立たないし、判断もしないと聞いているけど。」


 セレブ達のお屋敷で働いているアンドロイドは、基本的に与えられた仕事を完璧にこなすことを求められているので話す機能がないか、よくて辞書代わりか計算機代わりに質問に答えるか、もしくは予定を読み上げるかです。

 アンドロイドに対して過度な感情移入しないように決められているのです。


「私はおぼっちゃまのお世話係ですし、斎木教授宅のアンドロイドとして特別枠です。」

「つまり研究対象というわけ? 斎木教授の家のアンドロイドは、みんな君のように話せるの?」

「私とご主人さまの秘書だけです。」

「へえぇ。」

 秘書アンドロイドは三十代男性の風貌をしています。私より少し暗めの銀色の肌に茶色の瞳。いつもダークスーツを着ています。普段はご主人さまと共に中央センターにいるため、お屋敷の方にはいません。

 

「それってでもトップシークレットだよね? 出歩いていて大丈夫なの?」

「この特区では公然の秘密です。セレブの中には私のような会話ができるアンドロイドを欲しがる方も現れるかもしれません。そのための試作品です。たしかに本来ならば実験段階なので、目的もなく外に出ることはありませんが。」

「……ふうん。」

 タクトはしばらく黙り込みました。

 

「将来、君みたいなアンドロイドが売り出されるってこと?」

「どちらかと言うと欲しがる方達の選別ですね。」

 ここに住む方達は、この特区ソピアに住むというステータスが欲しいのと共に、アンドロイドを使役しうる人格があるか試されているのです。

 アンドロイドは一人の人間に属し、その人間が亡くなるか適性がないと判断された場合は、アンドロイドは没収されます。そして適性がないと判断された場合はソピアを追放されるのです。

 

「ところで君は、浅見という男を知っている?」

「浅見さん、ご主人さまの助手ですね。」

「いなくなったことは?」

 私は口を噤み、まっすぐ前を向きました。

「……なるほど、これこそがトップシークレットなんだね。」

「……。」

「ねえ、教授が浅見を探しているってことはない?」

「……。」

「じゃあ言い方を変えよう。浅見は自分からソピアを出たのではなくて拉致されたとしたら?」

「……。」

「そして僕が浅見に作られたアンドロイドだとしたら?」

 タクトが首を傾げながらにっこり微笑みました。

「それを知ったら教授は浅見に会ってくれる?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ