サイ…リンタイア、物人化
商人が来るまであと10日を切ったところ、グラスの下にゲンア・ヒサカツが現れた。
「久しぶりだね、グラス君。僕のことは覚えているかな?」
「一応。」
「一応かw。そうだ。君と話がしたかったんだ。どうだい?そこらへんでお茶でもしながら。」
「いや、レベル上げときたいなって思っているんですけど。」
「君、レベルないだろ?」
「…!」
「転生者の特徴を教えてあげられるよ。情報ギルドよりももっと詳しく。」
「…わかりました。でも昼までで。」
「それじゃあ、行こうか。」
前にヘイリと来たカフェのような場所ではなく、今度は川の近くにあるレストランのような場所に来た。
「ここはこの世界のサイ○リアだよ。」
「サイ○あるんだ。」
「ここではリンタイアっていう名前だけどね。」
「ミラ○風ドリアって」
「ここはメチズーコドリアだ。」
「もはやどこですかそこ。」
グラスはミラ○風ドリアことメチズーコドリアと辛○チキンことトーホヒットチキンを頼んだ。
「さあ、本題に入ろうか。っと言っても取り調べじゃないから安心して。普通に同じ『転生者』のよしみで話したいだけなんだ。」
「わかりました。ちなみに国はどこでした?」
「まあ、日本だな。僕が飛ばされたのは今から20年ほど前だな。当時高校生だった。その時は『これが異世界転生か!?』って1人で盛り上がってたね。厨二病でもあったから。」
「俺も日本です。千野茂定って名前だったのでグラスサウザンに。」
「やっぱ日本人か。サイゼって外国あるのか?って思ってたし。」
「俺は引きこもってゲームばっかしてましたね。その時に轢かれそうな子供助けて、そのトラックの荷物に押しつぶされて今って感じです。ちょうど1年ぐらいですかね」
「僕はとことん厨二病だったね。その影響で隠密スキルばっかり。」
「嫌ならいいんですけどなんで死んだんですか?」
「夜道で刺されたの。通り魔ってやつかな。あたりも暗かったし、通行人も少なかった。本当になぜあのタイミングであんな道通ったのかわからないって苦悩してた時もあったね。」
まあ、やはり『転生者』は死んで来ているのだなと改めてグラスは実感した。
そしてヒサカツは遠くを見つめて言った。
「この世界さ、魔王は倒したけど、平和を保つって大変なんだよ。僕らをよく思わない荒くれ者も、欲と権力に塗れたどうしようもないクズ貴族も、この幸福に包まれたギルドを狙ってる。勿論、やつらは平和を壊したいのではなくて、自分の手の中に収めたいんだ。やっぱり金は取れるしね。あとはくだらないプライドとかだよ。」
「そうですか。でも、やっぱり魔物だからって無差別に倒すのもっっっっっっって最近思ったりしますね。」
「まあ、君はテイマーのような能力も持っているからな。仕方のないことだよ。」
「火山の話は聞きました?」
「ああ。君が呼びかけたのだろう?火の鳥にあったら話を聞いてやれって。そのおかげか火山での死者数も減ったよ。ありがとう。」
「じゃあ、そろそろ俺は」
「改めて提案しよう、僕らの仲間になる気はないか?」




