モヒトリの街、物人化
「まあ、だからと言っても特に関係なくないですか?」
「いや、仮に仲間になったら俺らにダメージが来る可能性がある。そもそもこっちでダメージ配布を持っているから二重でダメージ配布が働いた場合どうなるのか見当もつかない。」
これはゲームじゃないが、スキルの重複によるバグのようなものが起きるかもしれない。そうなった場合はどんな作用が起こるのかは見当がつかない。
「まあ、普通に『選択死権』っていうスキルが本当にあるのかもね。転生者だし。」
「この後はどうするんだべ?」
「とりあえずコソノニークに戻ろうかなって思ってる。まあ、ギルドが今どういう状況なのかわかってないしね。」
「あれ、グラスサウザン?いや、今は火山にいるはずだわ。こんな寄り道してる場合じゃなかったわね。早く偵察に行かないと。ヒサカツがニコニコしながら怒っちゃう。」
集会者の1人、ジョールオウヒは聞いていた情報からグラスを偵察しに遅れて行った。
だが、もう終わっているとは思いもしなかったのである。
一方グラスドリトバー火山とコソノニークの間の街[モヒトリ]で観光していた。
「よお、そこの兄ちゃん。肉焼き串一本買ってかないかい?」
「いただくよ。5本くれ。」
「1人じゃ食えねーよ。1本100gくらいあるんだから。」
「腹には自信がある。」
勿論仲間の分もあるが、戦闘しないと見えないため、そういうことにする。
「そういえばな、このモヒトリって街。魔王が訪れたことあるんだってよ。」
「へーって魔王!?」
「どうも人間の調査をしに来たみたいでよ。魔物を殺す理由を調査しに来たって話。やっぱ魔王も頭領ってことなのかもな。」
「それ、誰が言ってた?」
「時々来る武器商人がいるんだ。そいつの嘘くさい昔話だけどな。」
「なんで嘘くさいんだ?」
「だって魔王なんているわけないじゃねーか。そんな知性持った魔物、聞いたことねーよ。」
フェニックスは自我があった。そしてその側近も自我のようなものを持ってた。
だがそれ以外は確かに自我を持った奴は・・・
「ん?どうしたべ?おいどんの顔じっと見て」
「シュガンってもともと自我があったのか?」
「自我はねーけど使命はあったべよ。守るってだけしか覚えてねーけえど」
「カエデもか?」
「私はグラスに『物人化』されてからですね。ドライアド(木の精)っていう代弁者はいましたが。」
「フニクスも」
「我はもともと話してたではないか。」
「なあ、魔王の名前ってわかるか?」
「なんだっけなあ、いや、聞いたことないな。武器商人に聞いてみろ。あいつ1か月に一回くらいくるから。」
「次はいつぐらいだ?」
「この前来たばっかだからなあ。20日後くらいだと思うぜ。ほら、肉焼き5本」
「そうか、ありがとう。釣りはいらない」
合計金額ぴったり渡してしれっと移動した。
「一回言ってみたかったんだよな。」




