大地の恵み、物人化
電気の網に捕えられたフェニックスはもがく。
だがその行為も虚しくシュガンやカエデの技が飛ぶ
「『紅葉狩り』!」「『岩砕き』、『岩投げ』!」
シュガンも『岩砕き』を覚え、『岩投げ』のスピードが上がっていた。
舞う3本の斬撃、まっすぐ向かう岩。それらは常人は耐えられない弾数であった。
「は、は、は、また落とすか。」
フェニックスは動かなくなる。
「意外と弱かった?」
「オレらが早く決めないと危なかったけどな。」
「ま、倒せたからいいんだべ!」
「……はい。」
どこかカエデはよそよそしい。
「そうだ。こいつは仲間にできないのかな?」
「物じゃないから無理なのか?」
「確かに表示も出ないしな。」
グラスはフェニックスの死骸に近づく。
そして素材を回収しようと触れたその時だった。
また、赤く光りだす。
「我はフェニックス。別の名は不死鳥である。」
「グラス、よけろ!」
「遅い。『火砕流』『フレアドライブ』」
体をねじらせ上空へと飛び立つ.
そしてその火は隕石のように落ちてくる。
「ちっ全体攻撃ってとこか。シュガン、できるだけ『身代わり』!」
「『炎楽堂』」
フェニックスの合図で周りが火に囲まれる。
そしてとても逃げられるような状況ではなくなった。
「ライ、さっきの『エレクトリシティ』ってやつできるか?」
「ぁダメだ。この広さじゃ展開できない。」
フェニックスの放つ火の隕石とご本人の、いやご本鳥の突進が襲いかかる。
「まずい。なかなかにまずい。どうにかできないのか、」
「あの、グラス様。一つ試したいことが。」
「カエデ,,,」
「それは……」
「ふっやはり人間などこんなものか。我は不死鳥。あの体がある限り何度でも復活してみせる。」
「流石ワラスたちのフェニックス様だな。1つの技で複数を攻撃できる一石二鳥の技の持ち主。」
「やはり元勇者のテイムモンスターなだけあるな。もう200年も前の話だそうだが。」
「不死鳥って寿命もないのカモな。」
「フレアドライブ」
またフェニックスは突進する。もう電気トラップなどない。安全である。
「『大地の恵み』!」
カエデがその言葉を放った瞬間、地面が轟く。湧き上がる。
「なっなんだ?」
遡ること作戦会議。
「『大地の恵み』を使います。」
「それって回復じゃ、」
「正確にはその地点の恩恵を受けるという技です。なのでこの火山地帯で使えば…」
「回復ではなく、火山が噴火して攻撃手段に、」
「更に相手は鳥。空中戦は得意ですが、地面に落としてしまえば攻撃は可能です。」
「わかった。だがどうする。」
「できるだけ時間を稼いでいただきたいです。そして相手が油断し切って突進してきた時、そこが狙い目です。」
「わかった。」
技ではない火砕流や土石流が山を下る。
吹っ飛んできた岩もある。それは真上から降ってくるため、フェニックスも不意打ちを喰らった。
「グア、」
落ちる火の鳥、グラスたちはカエデに攻撃判定を全て受け、無効化していく。
「さ、、最後に畳みかけろ!弱っている今がチャンスだ!」
また飛ぶ斬撃、放たれる岩、念のためライは『交流』でフェニックスの動きを止める。
そしてまたフェニックスの体から赤きオーラは消え去った。




