『決闘』の裏と物人化
「グハッ」
兵士は目の前でうずくまっている。
「よくもライを、絶対に許さない。」
「兄貴の仇、とってもいいでっしゃろ?」
「流石に腹の虫が治りません。」
その場にいた全員が攻撃の手を向けた。
「待って!」
そこに7歳ぐらいの女の子が現れた。
「ヘイリさんをいじめないで!」
「あのねお嬢ちゃん。彼の方から仕掛けてきたのよ?」
「でもここまでしなくてもいいじゃん!」
「1人仲間がやられてんや。許すわけにはいかへん。」
「……それでもダメ!」
「ちょっと待って。兵士の様子がおかしい。」
「早く願いを言ってあげな。そうじゃないとそいつは死に近い苦しみを受け続ける。」
えっと3体が声をあげる。
いつも近くで聞いていた声、イタチみたいな姿。
「「「ライ!」」」
「あれ、知らなかった?決闘中死んだものは生き返んだよ。敗者は痛みだけ終わった後願いを言うまで続くけど」
「心臓に悪いし、聞いてねーよバカ」
「それより早く聞こうぜ。こいつがオレらに『決闘』を申し込んできた理由。」
<願いが承認されました。解放します。>
「はあ、やっと終わった。『決闘』を仕掛けた理由だったよな。ついてきてくれ。」
「そういえばこの子は?」
「あたしはコナノコ・オンジ。ヘイリの妹みたいな感じに思ってて。」
「さ、みんなのところに帰ってなさい。」
「はーい」
オンジは駆け足でどっかに行った。
「あの子についても話す。とりあえず行くよ」
今度は取調室ではなく、カフェのようなところの個室に連れていかれた。
「じゃあ、話そうか。まず、いきなり『決闘』を申し込んだことはお詫びしたい。」
「なぜか聞いたら許せるかもね」
「まあ、ゆっくり聞いて欲しい。まず、転生者かどうか聞いたね。この国は今、新たな転生者を待っていたこともあるが、追い払う準備もあった。」
「どう言うことですか」
「君、多分だけど初めて村に行った時、何も証明なしで入ってギルドマスターと会い、試練を受けて合格。そして勇者の話を聞いて向こうの兵士に荷物を調べられ、荷物護衛のクエスト受けてこの街に来たでしょ。」
「はい、完全にその通り」
「じゃあ、転生者で間違いないな。これは全ギルドマスターに通知が来ていてね。
『身分がなくて成長速度が早く、この世界のことをあまり知らない人物はコソノニークに全ギルド許可証を渡して連れてこい』ってね。」
「今まで俺がやってきたことは全部この都市に情報が来てるってことですか」
「飲み込みが早いね。まあ、スキルとかも分かっているものは来てるよ。でも俺みたいな『判別者』って呼ばれる兵士には一切聞かされていない。」
「つまり『判別者』は全ギルド許可証を持っている冒険者を取り調べと『決闘』で能力を判断して上へ伝えると。」
「そういうことだ。」
「『決闘』の理由はわかったけどなんでこうして『転生者』を集めているんですか?もしかして魔王的な何かが復活したから討伐隊的なものを作ろうとしているんですか?」
「いや、そう言うわけではない。君に頼みたいことがある。」
「それは?」
「冒険者戦争に終止符を打って欲しい。」




