研修と物人化
「ここに来ても、勉強って奴はまとわりついてくんだな」
「まあ、今回は命にも関わるからそれくらいしてくれ。特に俺らの命が危ない。」
「グラスはまだまだ戦闘経験値が少ないですし、知識をつけておくだけでも、幾分かマシかと。」
「まあ、そうなんだけどよ…」
今は魔法研修に向かうところで、昨日はテイマー研修に行った。正直覚えることが多すぎて流石に疲れる。
「明日はモンスターの生態系の勉強もしなくちゃいけないし。はぁ、大変だな」
「魔法のコツはイメージを強く持つことです。呪文詠唱はそのイメージを連想させるために使われています。
その人が一定のイメージを作れるようになれば、少なくとも60歳には無詠唱ができるようになります。
短い人は5年ほどで習得してしまいますがね。」
もしかしたらこの年齢の体で無詠唱なのはとても珍しいのではないか。
だが、俺はその訓練過程をすっ飛ばして『無詠唱』を獲得してしまった。
その分イメージが湧きにくく、実力で勝ち取った者よりも威力が落ちているのだろう。
「魔法は本当に護身用だな」
そうこうしているうちに使えるスキルが増えていった。
『グラス.サウザンド』
〈スキル〉
『物人化』 『無詠唱』 『使役』 『ダメージ配布』 『幸運のパラダイス』
『神の押し付け転生』『突撃命令』『陣営展開』『視覚共有』
『突撃命令』:仲間を一斉に一箇所に突撃させる。
『陣営展開』:発動者を守り固めるように仲間を配置する。
『視覚共有』:仲間の視点を見ることができる
『ライ』 レベル4
〈スキル〉
『放電』 『帯電』 『交流』 『周期』
『周期』:相手の背後に回り込む。背後で使った場合は前に出る。相手のと距離はランダム。
『カエデ』 レベル3
〈スキル〉
『枯れ葉の舞』 『紅葉狩り』 『大地の恵み(レベル5時に解放)』 『ウッドブロック(レベル4時に解放)』
「少しは強くなったな。」
「本当に少しだけどね」
2人は物人化スキルでレベル上げをし続けている。
「そういえば、俺にもレベルって概念あるのかな?」
ステータスにはレベルの表示がグラスはない。いや、正確には
'''グラスだけ'''がない
「他の冒険者はついているのにな。」
「まあ、今そのことについて考えるのもいいけど、明日だってあるんだ。さ、寝た寝た」
現実をライに突きつけられ、グラスは布団から身を隠して突っ伏して寝た。




