レリアンとノーレイリアン
夢で見たお話
書くか書かないかも分からないけど覚え書き
双眼鏡で貴賓席を覗いていると、銀色の髪に銀色の服、銀色の手袋に銀色のブーツ。先に丸い飾りのついた、触覚のような銀色のカチューシャを着けた色のないスラリとした男女が入ってきた
「レリアンだよ」と耳元で声がして、私はこくりと頷く
男性は女性の手をとって優雅にエスコートし、女性はもう片方に銀の小さなクラッチを持ち、2人は穏やかに互いを見ては微笑んでいた
私の隣にいるおばあさんは、溺れていた私を助けてくれた恩人だ
そして、この星のことをまるで知らない私を、ここへ連れてきてくれた
私を助けたとき、彼女は私にレリアンかい? と尋ねた
私は、いや…地球の…と答えたそうだが、正直それも良く覚えていない
おばあさんは、私にこの星にはレリアンとノーレイリアンとがいて、自分はノーレイリアンだと言った
それから何があったのか、はっきりとは覚えていないが、気がついたらここに連れて来られていた
何か、スポーツ観戦用のスタジアムで、彼女はレリアンとノーレイリアンの説明をしてくれた
私が双眼鏡で見たレリアンは、レリアンの中でも特権階級で、このようなスポーツを観戦するときでないとノーレイリアンの前には姿を現さない
もともとこの星はレリアンが作り、何かあればレリアンがすぐにやってきてサポートをしていたのだと
しかし、いつの間にかその交流が途絶え、ノーレイリアンはレリアンに何とかしろ! と乱暴に迫った
危機を感じたレリアンは、自ら区域を分断し、その奥で暮らすようになったのだという
そして今、ノーレイリアンは労働階級として、レリアンは管理階級として、そして一部のさらに優秀なレリアンは特権階級としてこの星にあるのだと
レリアンに対し、良からぬことを思うノーレイリアンもいるらしい
主にまだ学生やレリアンと接したことのないノーレイリアンが、楽して甘い汁を啜っていると
自分たちがレリアンに代わり、新しい体制を創ると息巻いているが、レリアンを上司として関わったことのあるおばあさんは彼らの優秀さを讃えていた
ノーレイリアンが上に立てば、今あるインフラの全てが壊れると
レリアンの優秀さを知っているノーレイリアンが、そういったノーレイリアンを冷ややかな目で見ているというのが現状のようだった
特にノーレイリアンの中でもレリアンと関わりのないノーレイリアンは、さほど優秀だとされてなくその鬱憤も溜まっているのかもしれないと思う
おばあさんはだから、特権階級と呼ばれるあの銀色の服を纏ったレリアンの優秀さを、まるで神のように眩しく思っているようだった
運動に関わっているようなノーレイリアンは、薄い萌黄の作業着を着た、まさしく労働階級者で、あの爽やかでスラリとした銀色との対比に、私も…くらりと目眩のするような眩しさを覚えた
そして中間層の、交わることの出来るレリアンとノーレイリアン
彼らは同じく身奇麗な普段着を纏い、ノーレイリアンはいちようにおばあさんと同じくレリアンを慕っているようだった
おばあさんはレリアンは私たちが2日も3日も考えても分からないことを、すぐに答えを出して指示をくれるのだと言う
それが正解かはさておいて、とても頼りになる存在なのだろうとは思った