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★92 恩

よろしくお願いします。

題名変えました。



5月22日


今日は結菜の誕生日で夕方からパーティだ。

40階のボス部屋はまだ見つかっていないが、

そんなこと忘れて結菜をどう楽しませようかと考えていたら、

血相を変えたルシュクルが飛び込んできた!


アンジュ、ミシェル、ディアナ、メーヴェ、トゥーレも来たが、

ルシュクルを心配そうに見ている。

何事なの?


「ヒロトさんたちがプレドナのクラン「アンタレス」を全滅させたってホンマか?」

ぜーぜー言いながら、ルシュクルが問いかけてきた。


アンタレスを筆頭にたくさんの悪漢どもに襲われたが、全て返り討ちにしてやった。

理も非もなく襲われたから、何度同じ場面に遭遇しても同じように殺すだろう。

だけど、出来れば誰にも知られたくないが・・・

愛海に懸想していたボーメルを殺したことはロロラン、グレイスにも言っていない。


「ああ、本当だよ。」

ただならぬ雰囲気なので優しくシンプルに答えた。


ルシュクルは唇を震わせながら話し出した。


「アンタレスのメンバーの奴隷やったけど、アイツらが帰ってこーへんなって思っていたら、

奴隷から解放されてたんよ。だから、カラカスに逃げ出して来たんよ。

 ヒロトさんたちが助けてくれてたんやな・・・


 またパーティを作って、戦闘職じゃないメリッサに入ってもらって、

また借金を抱えて、今度は大けがして・・・

 何で助かったんか考えもせんとのうのうと冒険者を続けてるって

アタシ、ホンマに最低やな?ゴメンなアホで、恩知らずで、ホンマにゴメン・・・」


ルシュクルは深く傷ついているようだ。

ゴメン、ゴメンと言っていた。


「謝るのは俺もだよ。

アンタレスを殺したことは内緒にしたかったんだ。

ルシュクルたちのことを考えていなかったよ、ゴメンな。」


俺の謝罪にルシュクルは答えず黙り込んでしまった。

なんなんだ?


「ルシュクル、今日はユウナさんの誕生日パーティだよ。

また別の日にしようよ。」

ディアナが恐る恐るルシュクルに話しかけたが、やはり聞こえていないようだ。


「ゲイス、前のギルド長が冒険者をわざと借金漬けにしてたってホンマか?」

意を決してルシュクルが叫んだ。


これだったのか!訊きたかったのは!

胃が冷たく、重い。答えたくない。だけど・・・


「そうだ。女の冒険者を騙して返せない借金を負わせていた。」

「ヒロト!」

グレイスが言うな、もういいと声を上げた。



「いずれ誰かから嘘を交えて告げられるかもしれない。

もうルシュクルは真実に手が届いている。

真実を知り自分で乗り越えるしかないんだ。」


みんなに聞こえるように大きめの声でゆっくりと話した。


出来るだけ穏やかな表情を作ってルシュクルの目を見た。


「ゲイスは、狙っている女冒険者にギルドと契約をさせた。

クエストを失敗したときに違約金が膨大となるやつだ。


そのクエストをアウグストたち盗賊によって失敗させ、

借金のカタに女冒険者をドレイとして、娼婦として売り払っていたんだ。


バカンデール男爵がゲイスを捕まえたとき、売り払われた女たちを救おうとしてくれた。

だけど、ドレイや娼婦としての契約はちゃんとしたもので、それを無効に出来なかった

ってくやしそうだったよ。」


ルシュクルは涙をこぼし、唇を震わせながら話し出した。


「ゲイスさんは新人のアタシたちに優しく指導してくれたんや。

金がなくて困ってるアタシに提案したんや。


プレドナの商人の護衛をやってみんか?

今の護衛が値をつり上げたから、替えたいそうやって。


これからずっとお願いしたいそうや、やってみんかって。

そやけど、大事な商品やからプレドナに運べへんかったら弁償してもらう必要があるって。


ディアナは危ないって言ってたんやけど、もうどん詰まりやったし、

アタシが引き受けることにしたんや。


そしたら盗賊に襲われたんや。


みんな命は助けてもらったけど、クエストは失敗して凄い借金を抱えたんや・・・

それでディアナは娼婦に、アタシたちはドレイになって・・・


そやけど、そやけど、命が助かってよかったって思っていたんよ・・・・」


ルシュクルが号泣しはじめた。

俺はどうすればいいのか全然わからない!

ディアナが優しくルシュクルの背中をなでていた。


「アタシがアホなせいで、返せへん借金をしたんやな・・・

アタシがアホなせいで、みんなを巻き込んでしもうたんやな・・・

アタシがアホなせいで、みんなが奴隷や娼婦になってしもたんやな・・・」


「ルシュクルのせいじゃないよ。ギルドを信じちゃうのは当然だよ。

騙す方が悪いんだからね。」


さらに優しく答えてみたが、ルシュクルはふるふると首を振って泣き続けた。

「アタシのせいで、みんながひどい目にあってたんや・・・」


俺も涙が止まらなかった。


俺はルシュクルの両肩を強くつかんだ。

「ホントにルシュクルは悪くない!

全部、騙す方が悪いんだ!


その次に悪いのは国だ!

子どもを守ろうとしないで、ほったらかしだ!


文字や計算を教えれば商人や他の仕事もいっぱい出来るようになるのに!

騙されないようになるのに!

戦闘能力がないのに冒険者になったりしないのに!

不幸な子どもが減って、幸せな子どもが増えると国の利益にもなるのに!

ルシュクル、お前たちは絶対に悪くない!悪くないんだ!」


だけど、ルシュクルはふるふると首を振って泣き続けている。


俺はルシュクルを抱きしめてしまった!


「お前は失敗したよ。

だけど、そんなの俺が全部許してやる!

お前を責める奴がいたら、俺がぶん殴ってやる!


もう泣くのはやめて笑ってくれ!

俺たちと出会ってから、ずっと笑っていたじゃないか!


俺たちがずっと守ってやるから!

昔のことはそっと置いて、これからは笑ってくれ!」


ルシュクルも俺をぎゅっと抱きしめた。

抱き合いながら2人とも大泣きが止まらなかった・・・


結菜に軽く引っ張られて我に返った。

言い過ぎをちょっと責めているようだ。

だけど、言わずにはいられなかったんだ!


ルシュクルはようやく泣き止んだが、俺の胸に頭をくっつけ下を向いたままだ。

「・・・恩が大きすぎて返せへんけど。」


「俺たちを親だと思えばいい。

誰だって親から受けた恩は返せていない。

その代わりに子どもを大切に育てているんだ。

孤児のお前たちは、俺たちが親としていっぱい甘やかしてやるからな。」


「・・・親とは結婚できひんやん。」

「ん、何か言ったか?」


「ホンマにそれでええのん?」

「ええよ。まずはみんなで美味しいものを食べよう。

あとは、そうだな、お前たちに文字と計算を教えてやるよ、愛海先生が!」


「いい考えね!」

ツッコまれると思っていたが、愛海は喜んでいた。


「ええー、ソレ甘やかしてないやん!」

ルシュクルがようやく笑顔を見せてくれた!


読んでくれてありがとうございます。

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