★50 練習試合①
よろしくお願いします。
大臣とかが退出したあと、ハンサムが拘束した富士谷を指さしながら
俺たちに話し出した。
「この賑やかなぼうやが言うことも正しいから、男同士で練習試合をしてもらおう。
ぼうや、お前は勝てば解放してやるが、負けたら牢獄に放り込むからな。
せいぜい頑張れよ。
組み合わせはこっちで勝手に決めるから、しばらく待て。」
ハンサムに対して素朴な疑問を口にした。
「男だけなのか?」
「ばかやろー、男はいい女を守るために生きているんだぞ。」
ハンサムは女子たちを一瞥した。
「お前たちは、今は女の子だが、そのうちいい女になる。」
次は男どもを一瞥した。
「野郎ども、いい女を守るために戦え!」
なんかのスキルの効果か、たぎってきたよ!
「ヒロト、勝つのよ!」
結菜が俺をけしかける。
「ヒロト、怪我しないでね・・・」
愛海が俺を心配してくれている。
嬉しくてニヤニヤしていると、周りの男どもが俺を睨みつけていた。
視線のレーザー・ビームで殺されそう・・・
軍隊の練習場につれてこられた。
戦うことになったからか、久しぶりに会ったのに、誰も話をしていない。
「好きな武具を取れ。
殺すんじゃないぞ、殺せば殺人者として捕まえるからな。勇者でもだ!
だけど、回復魔法の第一人者を連れて来た。
死ななかったら元に戻してやるから、思いっきり戦え!
第1試合は、富士谷勇気(魔法戦士)対 南館大輝(捕手)だ。始め!」
緊張した感じの富士谷は悩みに悩んで鎧と長剣を選んだ。
南館は無造作に盾と鉄棒を選んでいた。
守備重視の戦士って感じだね。
向こうじゃキャッチャーだったから、そう変換されちゃったっていうことか・・・
富士谷が長剣で南館を何度も切りつけたが、南館の盾で完全に防がれていた。
富士谷が疲れてくると、南館は富士谷に向けて、右手の鉄棒を振った。
富士谷はきっちりと剣で防いだように見えたが、そのまま弾きとばされ、ごろごろ転がった。
「痛い、痛い。」
富士谷が泣き叫んでいる。
転がった時に自分の剣で体を傷つけていた。
治療が終わるとまた富士谷が喚きだした。
「ずるいぞ!卑怯だ!理不尽だ!
盾があれば攻撃できるはずがないじゃないか!」
「お前はバカか!戦いかたはいくらでもある。負けたのはお前が弱いからだ!」
ハンサムが決めつけたが、南館が富士谷を見下しながら言った。
「もう一度、今度は盾無しでやってやるよ。」
始めがかかったが、富士谷は攻めなかった。
しばらく待った後、南館は無造作に富士谷に近寄り、鉄棒を片手で振り上げた。
富士谷は避けようとしたが南館が大きく踏み込みフルスイングすると、
富士谷は半回転して頭から落ちた。左足をへし折られていた。
「痛い、痛い。」
富士谷が泣き叫んでいた。
それはさっきも見たよ・・・
「第2試合は、仏生寺善(武士)対 千家優姫(武士)だ。
男だけでいいのに、千家がどうしても戦いたいって言うからな。
だから同じ職種同士で戦ってもらう。始め!」
千家は長い髪を、ポニーテールにしている。
防具は着けていなくて、長剣を持っており、中段に構えた。
そういや千家は剣道部だったな・・・
対して仏生寺は腰を落とし、居合斬りの構えをしていた。
千家は小刻みに剣先を揺らしながら、チャンスをうかがっている。
仏生寺は千家に体の正面を向けるために少しずつ動いているが、距離は縮まらない。
千家が仕掛けた!
大きく踏み込み、面を放ったが、あきらかに届いていない、フェイントだ!
仏生寺の剣が一閃して、振り下ろされた千家の剣を両断した!
やはり居合いの初撃は凄いな!
「第3試合は、対馬宗次郎(魔法戦士)対 大林ヒロト(泥棒)だ。」
始めの声がかかる前に大騒ぎになった。
「やっぱり親子そろって泥棒じゃねーか!」
船見悠平が辺りを見回しながら言うと、
「なんでこの中にいるんだ?勇者の仲間を探すんだろ?
犯罪者を仲間にしていいのか?」
対馬も続いた。
学校では俺に対し嫌がらせをしていなかった奴らも隣の奴と話し出した。
船見、対馬、舛水からの俺への罵詈雑言が続く中、結菜の声が響いた。
「ヒロト、私の恋人なら胸を張りなさい!」
罵詈雑言はピタリと止んだ。
同級生みんなが驚愕している!
俺と結菜の距離感がやたら近いので、不審な目で見られていたのだが、
まさかコイツが、コイツが、まさか結菜の恋人だとは思っていなかったらしい。
下を向きそうになっていたが、胸を張って相手の対馬の目を見た。
対馬の目に憎悪の炎がさっきより燃え上がっていた。
俺だけでなく、相手まで奮い立たせているじゃない!
結菜の言葉により静かになったところに愛海の穏やかな声が響いた。
「ヒロトは犯罪者なんかじゃないわ。盗んだのは私の心だけよ。」
「ずるいわ、愛海!スキルも盗まれたでしょ!」
「スキルはプレゼントしたのよ。」
「ヒロトが最初に盗んだのは私の心ですー。」
愛海の発言で、同級生たちはまた、また息を飲んだ!
コイツが、コイツが、コイツが、結菜だけでなく、先生まで、2人とも恋人にしているとは!
なんなんだ?嘘だろ?ホントか?夢じゃないのか?って感じ。
隣の同級生とコソコソ話し始めた。
結菜と愛海が低レベルで揉めているとハンサムがいらだたしげに制止した。
「いい加減にしろ!」
俺が弛緩してしまった心に緊張感を高めていると嫉妬心からまた男どもが罵り始めた。
「泥棒って雑魚だろ、雑魚!上級職なら怪盗とかあるもんな!」
枡水三典が得意げに言うと、
「クズだ、クズだ!対馬やってしまえ、ぶっ殺せ!」
浅枝鈴也が顔を真っ赤にして怒鳴っていた。
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